1章 炎と愛の戦士、シャイニールビー誕生!
1章 炎と愛の戦士、シャイニールビー誕生!
愛華は待ちに待った松見中学校の入学式を迎えた。クラス分けで自分のクラスになった101の教室に入ると、隣の席になった明るい茶髪のショートヘアで活発そうな雰囲気の子が話しかけてくる。
「私、輝東希実よろしくね」
「私は、日野愛華。こちらこそよろしくね」
愛華は、これから始まる新しい生活に胸をふくらませた。
学校から帰ると、お母さんが夕飯の支度をしている。
「お母さん、今日のご飯何?」
愛華がお母さんに聞くと、
「愛華の好きなハンバーグに、ケーキもあるわよ」
とお母さんが言う。
「やったー!」
愛華は鼻歌交じりで機嫌よく、一度荷物を置くため、部屋に戻った。
部屋で夕飯ができるまでと思い、新しく買ってもらったスマホをいじっていると、
「助けてクク…」
微かにそんな声が聞こえた。辺りを見回すが、部屋にはもちろん愛華以外は誰もいない。愛華は空耳だと思い、再びスマホをいじり始めた。
「助けてクク…」
再び同じ声が聞こえ、やっぱりなんかいると思い、愛華はもう一度部屋を見回す。やっぱり愛華以外は部屋に誰もいない。愛華は、ベランダに出てみることにした。するとぬいぐるみのようなものが、空から降ってくる。それは、愛華の顔にぶつかりベランダに着地する。
「痛-い!」
愛華は突然の出来事にびっくりして、思わず叫ぶ。愛華の声に反応して、お母さんが愛華の部屋の扉をノックする。
「愛華、どうしたの?」
ドアの外から、お母さんの声が聞こえる。
「何でもない。ちょっとタンスの角に小指ぶつけちゃって…」
愛華はその場しのぎの嘘をついた。
「もう気をつけてよ…」
愛華の言葉にお母さんはそう言って、キッチンに戻っていった。愛華は一息ついて、部屋を見渡す。部屋には、猫のぬいぐるみのようなものがいる。ベランダから入ってきたようだ。
「私は、ジュエリー王国からやって来たクォーツクク。よろしくクク」
そして、愛華に向けてそれは喋り出した。ぬいぐるみが自発的動き、喋っている状況に愛華は困惑する。
「なんでぬいぐるみが喋っているの?」
愛華は、素直に疑問に思ったことを聞いた。
「ぬいぐるみじゃないクク。そして君は、ジュエリー王国を守護してきた戦士の生まれ変わりなんだクク。君の名前は何クク?」
「私は、日野愛華。私が戦士の生まれ変わり?」
「そうクク。ジュエリー王国を滅ぼしたドンゲル王国が、地球にやって来ているんだクク。これを使って、変身して、戦って欲しいクク!」
そして、愛華はピンク色のコンパクトを渡された。
「それは、シャイニングコンパクトクク」
そのとき、少し遠くで大きな物音が聞こえた。
「どうやら、もうドンケル王国の襲撃が始まったようクク!ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモと叫んで、変身して、倒すクク!」
「よく分からないけど、困っている人をほおっておくことなんてできないよ」
そのとき、愛華の体がピンク色の光に包まれた。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
クォーツの言葉の通りにすると、愛華の赤みがかったポニーテールヘアがパステルピンクのボリュームたっぷりのポニーテールヘアに変化し、赤いリボンに茶色のブレザー、赤いチェック模様のスカートの制服が中心にルビーのついたピンク色のリボン、白のパフスリーブの袖、白のフリルがついたボリュームたっぷりのピンク色のワンピース型の衣装、白の靴下は赤いリボンのついたピンク色のロングブーツに変わる。
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
愛華は無意識にそう名乗る。
「えー!何これ?」
シャイニールビーとなった愛華は、自分の姿の大きな変化にびっくりして声を上げる。
「早く、ドンケル王国を倒しに行くクク!」
クォーツに連れられてルビーが行くと、そこでは人々が襲われ、苦しんでいた。
「待ちなさい!」
「誰だ!」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「俺は、フェアー。ドンケル王国幹部の1人。あのジュエリー王国の戦士が復活? まあいい、まずはこいつで腕試しだ。サラバ!」
長身のスラっとした男性のように見える人は、そう言って去っていった。
「ちょっと!」
すると、異形の怪物が現れた。襲われた人々は、その場に倒れている。
「あれは、トイフル。ドンケル王国の悪の化身クク。襲われていた人達は、心の輝きを奪われてしまっているクク」
「私はどうすればいいの?」
ルビーはクォーツに聞く。
「コンパクトに力を込めて、ルビー・ファイアーと叫んでトイフルを倒すクク。そして、ルビーの愛の力を使って心の輝きを奪われた人々を目覚めさせるクク」
「分かった!やってみる」
ルビーはクォーツの言葉に頷き、思いを込めてコンパクトに力を込めた。
「ルビー・ファイアー」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
トイフルは跡形もなく、消え去った。
「ルビー・パワー」
そして、ルビーの赤い光で心の輝きを奪われた人々は再び立ち上がった。
「良かった…」
ルビーは安心して、変身を解除してその場を後にした。
家に戻ると、クォーツが部屋にいた。やっぱり現実であった。
「後、愛華のほかにも戦士は3人いるクク。愛華にも戦士探しに協力してほしいクク」
クォーツの必死そうな声が愛華の部屋に響く。こうして、愛華の戦いが始まった。