【完結】自由と終焉。
【BGM・教会風バロック音楽・哀しげな旋律】
ポコタです、ニャン。
最終回はおもに私のモノローグで語らせていただくニャン。
ゼノギアスのDISC2みたいな感じニャ。
ニャンニャンうるさいぞ、と苦情が入りそうなので、光の玉バージョンでしゃべらせていただきます。
ポコタにとって一番楽しい頃がありました。それは『時間旅行』。過去なり未来なり自由自在~♪そう言っていた時が懐かしいです。
基本自分一人だけで行動していた彼も時間旅行だけはポコタも連れて行ってくれました。実時間2年くらい続けた大旅行でした。瞬間移動と空を飛ぶ能力で、なかなかエキサイティングな旅でした。ポコタのお気に入りは人間の起源を探っていた時でした。やはり宇宙人が…おっと、トップシークレットですニャ。今はその時ではない、とだけ言っておきます。
未来についてもシークレットが多すぎます。ただ、今から100年以上経っても、人間は、文明は滅んでいない、それだけは教えておきます。
しかし、時間旅行から帰ってきてから、彼は変わっていきました。いや、彼がポコタに変な質問をした、実時間一年経った時から、兆しはありました。
彼は自らタブーにしてきたものを、どんどん破っていきました。『あるやり方』を思いついてから。
「世界の偉人すべてを生き返らせる自由を!そして10分後、元に戻す自由を!」
彼はこの、『10分後に元に戻す自由』を、とても気に入ったようです。「世界をめちゃくちゃにしても、10分で元に戻るんだ。別にかまわないだろ。」そう彼は言っていました。
世界の偉人、といってもどれだけの人数かはポコタにも把握できませんでした。でも、伝記に出るような人はほとんど生き返ったようです。アインシュタインなどは、たった10分で今の科学技術を把握し、とても難しい、重要なことをメモに書き、消えていったそうです。
彼が火星に行ったということは覚えていますか?彼はそれより途方もない、無謀な行動にでました。「宇宙の果ての果てまで行く自由を!そして10分で戻れる自由を!」行ってしまいました。バイバイニャ~。と、10分で戻ってきました。彼曰く、なんか全体的に青っぽい、よくわからん世界だったと、ボーっとしながら言っていました。
それと同じくらい無謀な、最大限の過去と未来にも行ったようです。ポコタがどうだったか聞くと、過去だと、なんか何もない所に木の枝が一つだけあった、と。それ以外口を開きませんでした。最大限の未来だと、宇宙のような空間で、とても小さな光の粒があった。さわろうとしたけど熱すぎてだめだった。それだけ言って丸一日ボーっとしていました。よくわからんニャ。
それ以外にも、全人類に影響が及ぶくらいのことを何度もやりました。彼の名誉のため、口にするのはやめておくニャ。18禁なこともいっぱいやっていました。サルニャ。
実時間6年くらい経ったころ、終わりは近づいていました。意外と短いと感じますか?100年とか1000年とか経つと思いましたか?(寿命も自在です。)それだけ『破滅』は近くにあったのニャ。
彼はみずからの命すら自由の力で使い、元に戻そうとしました。ここらへんで彼はもう壊れていたと思います。自らの命をそまつにあつかうのは、もはや人としての一線を超えているとポコタは思います。
「一度死んで地獄に行く自由を!そして10分後に戻る自由を!」
地獄というものが本当にあるのかポコタにもわかりません。もしかしたら、マンガの世界に行った時のように、彼の夢の世界のようなものだったかもしれません。戻ってきた彼は真っ青な顔で、ハァ!ハァ!と息を切らし四つん這いになりました。その後の彼の言葉では、血のような赤一面の世界で、無数の悪魔が飛んでいたり悪鬼が人をなぐり続け、熱い血の雨が降り、俺は10分間で何度も殺されたと。彼は頭をぶんぶん振り回したニャン。そして…笑ったニャン。大声でとても楽しそうに。
そんな風になってしまった彼をなぜポコタは放っておいたか。ポコタは彼に『自由の力』を与える役目。アドバイザーとして質問に答える役目。これしかすべきことはないのです。でも…それでも…ちょっと…なんでもないニャ。
終焉はもうすぐです。
彼は以前 失敗した、人類の全ての英知を得る自由を再び願いました。自分の脳の記憶容量を『無限大』にして。結果、成功したニャ。彼は狂喜乱舞しました。この知識と知恵さえあれば、『完全な自由の力』も本当に完全に扱える。彼はおろかな勘違いをしました。「俺は神になったんだ!」そして唱えました。
真 実 の 神 を 殺 す 自 由 を !
その瞬間、世界は断絶したニャン。彼は神という存在をあなどっていたニャン。絶望的にあなどっていたニャン。世界は、いや彼は、そこで終わったニャン。
神とは、古今東西あらゆる神話、偶像、物語に出てくるモノよりはるかに高次元の存在なのです。いや、高次元という表現でもおかしいのです。二次元、三次元、四次元、どんどん連なっていく次元、それでもおよばない、高い低いというモノサシでは測れない、世界を内包するような存在です。ひとことで言えば、とんでもない存在ニャ。
神を言葉にすればその時点で神のカケラになってしまう。(つまりここで言っている神も神のカケラニャン。わけわからんニャ。)
彼はその神に『完全な自由』の力を使った。完全なはずなのに、神に負けた。ありていに言えば、神の逆鱗にふれたニャン。
物語の終わりの前に、ポコタの正体を教えます。ポコタは、私は、あなたたちと同じです。気づいたらそこにいた、そう、人間や動植物と大差ない存在です。ただ、誰かに『完全な自由』を与える。その使命だけはわかっていました。生き物の本能と同じです。物語の最初に私は自分のことを神的、創造主的な存在と言いました。そんな気がする、くらいの認識でした。天使、とも表現しましたが、この結末を見ると、不本意ながら、悪魔だったのかもしれないニャン。
彼も『終わった』のでポコタも帰るニャン。どこへ?どっかニャ。
では、さらばニャン!
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20xx年5月11日午後11時00分
ポコタとはじめて会った、その時間、気づいたら俺はそこにいた。そうか、全てが終わったんだ。永い楽しい夢でもあり、悪夢でもある自由が。俺はこの結末を、あらかじめ知っていた。20xx年5月27日午前10時10分、『完全な自由』に疑問をいだいた俺は、こう願った。
(もし俺が取り返しのつかない自由を願った時、全てを元に戻す自由を!そしてその後『完全な自由』を放棄する自由を!)
俺は自由の力を使ってみる。「ここに肉まんを出す自由を。」
ポン!とは出てこない。ああ、本当に終わったんだ。
記憶がほんのちょっとずつうすれていく。やがて元の日常に戻るんだろう。
ふと、部屋を見渡す。机の上に、一枚の紙が置いてあった。紙には、ネコの肉球みたいなスタンプが。まさか!紙をうらがえす。それはポコタの手紙だった。
「ポコタです、ニャン。この手紙を読んでいるということは、全てが終わったんですね。失敗したら全て元に戻す、かニャ。この願いだけだったら、クズニャン、カスニャン、ゴミニャン。でも自由を放棄した。まあまあニャ。及第点にゃ。(最後だからって態度は変えないニャン。)ただ、もしこの願いであなたが助かったと思っていたら、それは傲慢ニャ。おこがましいニャ。あなたは神のおこぼれにあずかっただけニャ。神の慈悲ニャ。神が本気を出したら、けちょんけちょんニャ。まあ、それはいいとして、ひとつありがとうを言いたいニャン。あなたにとっては、ただの気まぐれだったかもしれニャイが、このネコの体をくれたこと、とてもうれしいニャン。一緒にマンガを読んだことも、時間旅行をしたことも、楽しかったニャン。あ、無重力でクルクル回ってジタバタしてたのを思い出したニャン。あれは笑えたニャン。プー!クスクス、ニャン。最後に、辛いこともいっぱいさせてしまいましたが、ポコタとしては最高のプレゼントをしたつもりだったニャ。それだけは疑わないで欲しいニャン。じゃあ、元気で、バイバイニャン。」
涙ぐみながら、俺は最後の、『自由の力』を使う。
「ポコタといつか再び会える自由を!」
さあ、あたらしい旅の始まりだ。『本当の自由』を探す旅だ。
困難な旅だぞ?覚悟はいいか?
《終ニャン!》
Future is hope, maybe.デルロットです。
実質処女作の、略して【自由】、終わりました♪
いろいろ(かなり)改善点があるけど、
自分では気に入っている作品です。
ほぼ思い付きで始めた自由の物語。
書いている途中で、しっかり書くとしたら
相当長くなることに気づきました。
後半ダイジェストなのも
細かく書くと長編になってしまうからです。
そんな力まだない。
登場人物が主人公とポコタだけなのも、
人物を増やしただけ、その分書く量も
膨大に増えるからです。
そもそも、小説を書くに至って、まずは
短編小説をいくつか作って、それから
長編か、とにかくしっかりしたものを、
と思っていたので、この作品も
一話完結の、あっさりしたものに
するつもりでした。
笑うセールスマンみたいな?
でも、逆に言うとこの【自由】の話は
長編にかなり向いていると思います。
もっと慣れて、地力がついたころに
挑戦したいです。
主人公に名前をつけてあげて、
友達や女の子など登場人物を
いっぱい作ってポコタも再登場。
自由の力はもっともっと
広げられると思います。
力を他の誰かに分け与えて
心理戦をしたり、
世界の様々な問題を解決したり。
ちなみに、最終回の(設定上の)BGMは
ゼノギアスの「悔恨と安らぎの檻にて」です。
いい曲なので探してみて下さい。
ゼノギアスのDISC2は否定的な意見が
多いみたいだけど、僕は大好きです。
世界の終末感、いい意味での宗教感。
その他、細かい話は活動報告に
書くと思います。
では、この文章を読んでいる
かなり希少なかたへ、
本当にありがとうございます。