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ピカレスク・ロマンス  作者: 行雲流水
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~転生したら悪役令嬢だったので攻略対象全員NTR!~

推していた乙女ゲーのブランドが倒産した。

薄々やばい予感はあったんだ。 どこかで見たシナリオの焼き直し、どこかで見たキャラデザと似たようなキャラが出てくる短編を乱発してたし、ひどい時にはパッケージと立ち絵のデザインが違ってた。

最新作にいたっては制作発表から二年たった今年になっても何の情報も出回ってなかったし。

それでも12年間、高校生の頃から推していたブランドの倒産情報を見て、私は会社の女子トイレで悲鳴をあげた。


LINEで姉に泣きつきながら帰宅ラッシュの電車にゆられ、私はぼろぼろ泣いていた。

混雑した電車内だというのに私の周りだけ変に空いていたけれど、もう取り繕う余裕もなくて、学生時代に共同サークルで私が考察本を出していたことを知る姉に泣きついていた。

姉は当時流行りだしていた音声出力ソフトでキャラのイメージ曲を作っていて、私がその歌詞を書いたりもして、あの頃は本当に楽しかったな、なんてことを思い出しながらスマホを握り締め、化粧も涙でぼろぼろ落としながら駅に着いた電車から降りると、最寄駅の階段を登っていた。


「日本、優勝おめでとう!」


街は私の悲しみとは真逆に賑わっていた。

スポーツの大会で日本が十年ぶりの優勝を果たしたとかでフェイスペインティングをした集団が抱き合っていた。

前からも盛り上がった集団が下りてくるのが見えて、私は泣きながら道を譲ろうとして、足を踏み外した。


「え?」


パンプスのヒールが折れた、そう理解すると同時に顔は天井に向いていた。

階段を転げて落ちていくのが妙にゆっくり感じられた。

その中で私は――もう一度、あの乙女ゲームを遊びたかったな、なんて考えて涙をこぼしていた。



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