始まりからのハジマリ
この作品はもしかすると読む方からすると、荒が多いかもしれません。
ですが、ちゃんと書ききりたいと思えるまで自分で話は練りこみました。
最後まで読んでいただけると幸いです。
プロローグなのであえて作品として、別に記載
―――いつでも不幸はやってくる――――
僕の生まれた家は魔術に長けている家柄で、僕の父は魔術への探究を毎日自室に籠っておこなっている。
そんな父が大好きだった。いつも僕を妹と母に内緒で、部屋に招き入れてくれて魔術を教えてくれる。優しいあの父が大好きだった。
だが父がある日から変わってしまった。母の死だ。
事故で母を亡くし、妹二人と僕を面倒見なくてはいけなくなった父は追い詰められていた。生活費はある。だが、父は酒に手を出し魔術研究を辞め、アルコール依存になってしまった。
僕は長男として家を、父を、妹たちを守らねばと思った。
僕は父から教わっていた魔術、そして父の部屋にあった錬金術の本にも手を出した。
父は読んではいけないと言っていたが、僕は知識を貪りたかった。
食事を用意しお風呂に入れてあげてから、錬金術の研究書物と魔術書物を読み漁った。
その時見つけた金の作り方。砂金を少量用意し、錬金術により複製を作り金の延べ棒へと製錬できることに。だが、その記述の横に父の字で記されていた。
禁忌、この記載が他にもあるものがあった。だが、禁忌だろうとやらねば。妹たちを満足させてあげたい。父にまた、あの父に戻って欲しい。魔術にも錬金術にも費用はかかる……。その一心から僕は錬金術と魔術で家計を支えていった。
そんな生活から10年が過ぎ、妹たちは立派に学生として魔術に励んでいる。父は依存から徐々に抜け出して今は家の庭で作物を作りながら、基礎魔術で農業を愉しんでいる。
望んだ父の姿ではないが優しい父に戻ってくれた。それだけでも嬉しかった。
20歳を過ぎた僕は家計を未だに錬金術で支えていた。あの延べ棒もまだある。そして魔術も極め18歳の頃には学び舎で成績に長けていたため魔術師とまで呼ばれ、先生方からも賞賛された。
今となっては錬金術は使っていない。勉強だけは隠れて続けている。
やっと手に入れた平穏だった。夕方延べ棒を換金に行き、家に着いた。
父の野菜を使う夕飯、団欒が嬉しかった。その日までは―――
夜が更けていき家の灯りを消した時だった。
ガラスの割れる音がして飛び起きた。
誰かが家に入ってきた、街から外れた場所にある家なので侵入しやすいとはいえ、何で!?
「おい、ここであってるのか?」
「ああ、あいつが言うには、ここのガキが金を持ってるって話だ」
かね………まさか!?
バレた、用心していたのに換金に言った際に付けられていたんだ……くそ!
隣の部屋は妹たちが寝ている部屋で1階は父の寝室がある。大丈夫だろうか……。
心配なのに脚が竦む……動けない。
突然家が揺れると同時に響く爆発音。
「大丈夫だ!!出てくるなよ!!」
父の声だった。
パァンと軽い音がその直後響いた。銃声―――
「父さん!!」
部屋を駆け出して階段を降りようとした時だった。
カチャリという音と男の影。
すぐさま階段横の壁に隠れる、階段を昇ってくる音。
「おいおい、隠れんのか?お前の父ちゃんは戦ったってのによ?」
あの爆発音は父さんの魔法だったんだ。
「ち……面倒かけんなよ。お前の家にあんだろ?たんまりとさ?渡せばすぐ帰るぜ?」
「嘘だ」
「嘘だ、と言い切るか……わかってんねえ〜お前の父ちゃんにはきっと顔を覚えられてるし……生かしちゃおけないよな」
僕は咄嗟に相手の前に出てしまった。
「父さんに何をした、さっきの銃声は?」
「さあな、もうひとりが抵抗で打っただけだから当たってたらどうだかな?」
「くそがああ!!」
感情が昂り殴りかかったが、蹴り飛ばされてしまう、そして蹴り飛ばされた先は妹たちの部屋の前。
「お兄ちゃん!?」
「出てくるなよ。僕が開けるまで出てくるな」
部屋に響く引き笑い。
「そこに女がいるのか?ん?」
「関係ない、だろ……」
「関係ある、女は殺さず、生かしておいて後で楽しませてもらわないとな?」
男が近寄って銃口を向ける。
「だから、お前は要らんわけよ、バイバイ」
引き金に手がかかる、それと同時に魔力を集めていた拳を向けると同時に男が吹き飛び階段の手すりにぶつかり、ぐにゃりと折れる。
初めて人を相手に魔法を使った……加減はできなかった。
「あけるぞ」
妹たちの部屋の取手に手をかける。
開けた瞬間、男が立っていて、妹たちは目も当てられぬ姿になっていた。
「遅かったな?」
「……」
「ああ、これ か?いやぁ俺が来た途端声あげようとするからツイな」
「生かしておくんじゃなかったのか?」
男はなんのことだと言うように首を傾げた。
「声挙げられちゃ困るしな、まあただこっちのちっこい方は少し楽しませてもらったわ、こっちは妹になるんか?」
次女のサイネだ。その瞬間だったサイネが飛び起き男の首元に食らいついた。
「あ?んだよ、生きてたのか、よっと」
髪を引っ張られサイネは首元の肉と共に引っ張り上げられた。男はすごい出血をしながらも軽々と投げた。
「いってーな……くそがあああ!!」
持っていたナイフを投げサイネの眉間を貫ぬいた。
「……お前なんで動かねーの?妹殺されてなんで動かないんだ?」
余りにも非現実すぎて動かなければと思うも、体が思考の意を反して動かなかった。
「つまんな、下にいたじじいと同じくらい反抗してくれよ」
「父さんは……」
「死んだ」
「そうか……」
男は近づいてきて僕の首にナイフを当てた。
「お前は金の在処を言う、そうすりゃ生かすけど?どうするよ」
「言うくらいならお前を殺す方が簡単だ」
「はっ、この状況で殺すとか出来んのかよ!?やってみろよ」
「もうやってあるんだよ」
「はあ?何を?」
僕は相手の怪我している首のところを自らの首で指さした。
「ここに魔術で高濃度の酸素を大量に送った。心臓に届いているはずなのに……なぜお前は死なないんだ?」
「そんなの簡単なことだ、俺は自分の体に……」
男は自らの服を脱いで見せてきた。
刺青。至る所に魔術式が書いてあるものだ。
「こうやって、魔術対策してある……そしてお前が俺に使った魔術返すよ」
身体が急に重く、苦しくなった。
「なんだっけ、血中に酸素が大量に入ると呼吸出来なくなるんだろ?」
気持ちの悪い笑い声、息が吸えない目が霞む……。
「じゃあな、家族仲良く天国で暮らせよ、天国があるなら」
眩しい。
ここはどこだ。
上手く喋れない……。
「ほらみろ、産まれたぞ」
「やったわ……あなた……」
「おめでとうございます、男の子ですよ」
何だこの人は目が霞んでよく見えない。
「目元なんか、お前にそっくりなんじゃないか?」
「そうなのかしら……ね」
そう、僕は生まれ変わった。
ここに。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
拙くて申し訳ないです。
ですが、これからのストーリーに期待してください!!