74 それぞれの成長
あれから、5年の月日が経った。
学園での様々なイベントは、全て延期もしくは、そのイベント自体が消えてしまうことが多くなった。
理由としては、現学生の生徒が死んでしまう事案が多く発生してしまったからだ。
そのため多くのイベントは、見直しが必要となった。
勿論それは冒険科や他の科にも大きな影響を与えた。
冒険科では、ダンジョンに年齢制限を設け、ランクもD以上となった。
ランク自体も見直されS~Hランク、そこからH+、H、H−といったランクごとに三段階に分けた。
他の科では、騎士科や魔法科など王宮から直接、担当者が着くようになった。
そして、何より5年もたてば風貌もすっかりと変わってしまった。
初めにリアム、10歳にも関わらず身長は160㎝越え、元世界で例えると中学一年生ぐらいの身長だ。
体格もごつくなり、下級生の騎士科の生徒、修剣士を2人従えるようになった、だがバカは変わらない...
次にマリー、身長150㎝ぐらい、こちらも結構な高身長になり、スレンダーな体つきとなった。小学6年生ぐらいの身長だろうか?
真面目な明るい姉さんと言える人柄となった。
ミュウはというと、身長145cmぐらい、正直10歳なら平均ぐらいだがリアムがいるせいで少し小さく思える。大人しい性格は、変わらずじまい。そして何より、最近困ったことがあり、腕に抱きついてきた時の感触である。腕に明らかに成長したであろう胸の感触が伝わってくるので少し困ってしまう。
そして、ルナリア、こちらもミュウと同じくらいの身長であるがミュウよりもどこかとは言わないが大きくはない。スラっとした感じの体つきとなった。王族ということもあり、周りにはしっかり者という印象があるんだろうが、パーティー内では、今も変わらずドジが目立つ。
最後に僕はと言うと身長は、なんとミュウたちと少ししか変わらず148㎝ぐらい、リアムのせいでこれまた小さく感じてしまう。そして、髪も長いせいか学校内では美少女と言われる始末となった。あれ昔と変わってない...?
「せんせー、この魔法の原理教えてくださーい」
これといった変わったことは、生徒である者が何故か教師として働いていることだけだった。
「はいはい」
教師として働かされるのは、Sクラスでの上位成績者のみ、それぞれの最も得意分野での下級生での勉強を教えるようになった。もちろん、様々な条件を追加させてもらい給料と研究室を貰うことで承諾した。
元々、心休まる場所が教室内だけだったので学校でのプライベート空間が与えられるのはとても大きかった。
だが、最初から教師として受け入れてもらえるはずがなく最初は、少しだけいがあっていたのは確かだった。
下級生、しかも下のクラスの人からしたら実力差がわかりきっているうえ、偉そうに教えているように見えたのだろう。
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廊下まで聞こえる騒ぎ声、40人での下級生なら当然かと思いながら教室に入る。
「これから教えることとなる上級生のレオン・クロードウィルです。よろしくお願いします」
レオンは、挨拶をするが教室内での騒ぎは止まらない。
「はぁ~仕方ない」
レオンは、手を叩き魔法でその音を上げ全員に注目させた。
「ようやく静かになったか、それじゃ授業に」
「けっ、上級生になんか教えて貰わなくても俺は十分に魔法は使えるぜ」
授業を始めようとすると一人の男子生徒に止められた。
「俺はSクラスだぜ。そこらの生徒と一緒にするな。上のクラスに混ぜてくれ」
「はぁ~、まぁこういうやつは出ることはわかっていたけどな。他に文句があるやつはいるか?正直こうなることは分かっていたからな。まずは君たちの実力を見る為に場所を用意したからついてきて欲しい。そこで判断してやろう」
レオンのその言葉に生徒たちは騒ぎ出す。
いきなりなことで驚いているのだろう近くの生徒通しで喋りだす。
「さてとりあえず移動しようか?」
生徒たちは、大人しくレオンについていき新しくされた訓練所に向かう。
「単純なルールを決めよう。僕対君たち全員だ。勝利条件は、3分間の間に僕を気絶させること。ここの訓練所ではどんな怪我をしても訓練所内での特殊な結界を出たら全て元に戻るので手加減なしで構わない。もちろんこちらも手加減はしないよ」
「へっ、この魔法科に今回の主席がいるんだぜ余裕に決まってる。数も40人以上がいるんだ。負けるわけがない。なぁ、そうだろノア」
「馴れ馴れしく呼ばないで、全くバカなんだから」
そう5年たったということは、5年前生まれたノアも入学していることになる。
そして今回の主席は、なんとノアがなっていた。
「では、始め!!」
開始した瞬間、一斉に魔法がレオンに向けて放たれる。
「流石に、これは耐えられないだろう」
「それはない。この程度は、傷もついてないよ」
「まぁ、そうだな」
ノアが言った通り、レオンは、無傷でなにごともなかったような顔をしている。
「さて、少し教育が必要なようだ」
レオンは、地面に手を付けるとそこに魔法を掛ける。
「まぁ、どうにか処理してくれよ」
「あれ土魔法で作られたゴーレムかよ!!」
レオンは、ドラゴン型のゴーレムを作りだした。
「に、逃げろー」
広い訓練所と言えど尻尾が当たるだけで次々と吹き飛ばされる。
「さて、この程度か」
「みんな火魔法でゴーレムに攻撃して」
ノアが指示にしたがいゴーレムに火魔法を放つ。
「全然効いてないぞ。どうするんだ?」
「こうするのよ。火魔法止め」
全員が火を止めた後、ノアは、ゴーレムに氷魔法を放つ。
「もう一度火を」
再び火魔法での攻撃が放たれゴーレムにひびが入る。
急激な温度の変化による劣化がゴーレムに起こったのだ。
「はぁ、はぁ、やっと壊れた」
「なんだもう息切れか?」
「お前も魔力は心もとないだろ。しかも適正魔法は、土魔法の様だしな」
「それは残念だ」
レオンは、全ての属性の魔法を生徒前で見せる。
「な!一体どんな原理を」
レオンは、そのまま全ての属性魔法を合わせ訓練場内を覆うような結界を張る。
「さてと、こっからは体術の時間だ。覚悟しろよ」
「何言ってんだ?これでもくらっとけ」
魔法を発動させようとするが魔法は、発動することもなく消えてしまった。
「言っただろこっからは、体術の時間だ」
レオンは、急接近し相手の腕を掴むと軽々と投げ飛ばす。
「ふむ、34番は、対処出来ず、受け身もなしか。さて次だな」
レオンは、次々と放り投げていく。
結局、対処できる者がおらず全員気絶でのレオンの勝利で終わった。
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「くそ〜、一体何なんだあの先生」
「ほんと強すぎですわね」
「Sクラスである僕たちでさえ無傷とか少しショックだ」
「当たり前ですよ。あれ、私のお兄様だもん」
「「「え?」」」
ノアの一言でSクラス内の、少なくとも魔法科を受けた全員驚いていた。
「ちゃんと自己紹介してたじゃない。レオン・クロードウィルって」
「騒いでいたせいで聞こえてなかった...」
「じゃ、あなたに魔法教えていたのって」
「お兄様ですよ」
「「「はぁ〜」」」
全員が納得するかのように重いため息をする。
「そりゃデタラメの魔法使いになるわけだわ」
「四属性使いの兄だもんね」
適正魔法検査でのノアの結果は、火・風・土・水といった異例な状態が出たのだった。
これもレオンの魔法に触れすぎたというべきかそのせいで最初の検査の時に4つの適正魔法がでてしまったのだ。
結果的にノアの二つ名が入学当初から決まってしまい、そのままSクラスへとなってしまったみたいだ。
実力もそれはもうあり過ぎるわけであり、必然的に主席になってしまったのだろう。
そんなわけでSクラス内での話が広まり魔法科志願者が多くでたのは、言うまでもなかった。
Twitter ID @Loewe0126
投稿日など報告しています。
DMで好きなキャラなど言ってくれたらそれを閑話で書こうかと思っています。
質問箱も用意しますので気軽に絡んでくれて結構です。
よかったら、ブクマ、感想をお願いします。
誤字報告ありがとうございます。




