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男の子なのになぜか聖女と呼ばれてます...  作者: レーヴェ
6.学園イベント
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68 魔の森

「目視二匹、ヴァンウルフだな」

「了解」

「先に一匹射止める」

 マリーは、力強く矢を引き正確な射撃でヴァンウルフの脳天を射止めた。


「キャゥン」

「ガゥ!ガゥゥゥ」

 一匹死んだ殺されたと分かった途端に、その方向に向かっていきなり吠え出した。


「風伝・斬風」

 レオンは、刀を取り出し、吠えた方に刀を振りかざした。


 その瞬間、とてつもない風同士のぶつかり合いが生じた。


「おらよ!」

「キャゥン」

 斬りつけるギリギリまで急接近していたリアムが、ヴァンウルフを斬りつけ、ヴァンウルフは息絶えた。


 そのまま急いで死体を回収し、その場から急いで立ち去る。


 嗅覚が効く魔物対策として狩りをした瞬間に離れないと血の匂いで追ってきたりするからだ。

 なるべく後を残さないようにして立ち去るのが森において基本である。


「はぁ、いきなり魔法を使う魔物か...」

「この森に魔法を使わない個体の方が少ないよ」

 ヴァンウルフの先ほどの吠えは、威嚇ではなく魔法の発動とした攻撃だった。


 ヴァンウルフは、自分で矢が飛んできた方にいると考えとの場所に対し攻撃を仕掛けたのだ。


「これ私一緒に来た意味あった?」

「一応保護者でしょ」

「ま、まぁそうだけど」

 木の上という安全地帯からリーシャは只々レオン達の戦闘を見守っていた。


「どう見てもA級の冒険者の動きにしか見えないんだけど。一体どうなっているの?あと精神面も冷静過ぎでしょ!」

「まぁ、こんな環境にいたら自然とそうなるんじゃないかな」

 そうこの世界の子供は元の世界に比べ精神的に数倍進んでいる。


 元の環境と比べこちらの環境は常に死と隣合わせ、森に一歩入った瞬間に殺されてもおかしくない弱肉強食の世界が広がる過酷なものだ。

 元の世界と違い普通に学校に行けて、ご飯が食べられるわけではないのだ。


「さてと、リーシャあまり木の上に行かない方がいいよ」

「え?なんで?」

 そう言った瞬間にリーシャの足に蔓が巻きついていく。


「うわぁ!な、何これ?」

 リーシャは、突然、足を持ち上げられ宙ぶらりんにぶら下がっていた。


「オゥゥゥゥ」

「切り裂いて、風の刃(ヴァント・ラム)

 すかさず、ミュウが魔法でリーシャが吊られている蔓を切る。


「こ、これって」

「トレントだね。この森では普通に生息してるよ」

「オゥゥゥ」

 普通の木と思っていたものから顔のような浮かび上がり目を光らせ襲いかかってくる。


 トレントは、手であろう部分を地面に突き刺す。


「急いでジャンプしろ」

 レオンの咄嗟の呼びかけに全員反応し、ジャンプをすると地面から木が突き出てくる。


「あぶねっ」

「私の知ってるトレントより数倍でかいけど。私もやられっぱなしでは行かないんだからね」

 リーシャは、弓を構え最大限に引き強烈な矢の一撃トレントの中心目掛けて放った...


「オゥゥ」

 トレントは、ひるむことなく攻撃を続ける。

「あ、あれ?トレントの弱点の場所を射抜いたのに...」

「弱点て核か何かがあるわけか?」

「トレントには基本的に真ん中に核となる部分があって、そこを貫くと倒れるはずだけど」

 刺さりが甘かったのかリーシャの放った矢は貫通どころか只々突き刺さっていただけだった。


「シルヴィ、あの矢の所目掛けて投げて、ルナリアとミュウは、水魔法を足元に」

「承知した」

「水を足元にやったらみんな逃げてね」

「「了解(分かった)」」

 そういった途端、一斉に別れ、ルナリアとミュウは、トレントの足元に水魔法で水を撒く。


「行くぞ、主様」

「おう」

 少女の姿であるシルヴィは、レオンの首元を掴み矢が刺さって方に投げる。


「付与魔法・紫雷(しらい)

 レオンの手に、パチパチと腕に電気が発生する。


「やぁ!!」

 レオンは、そのまま矢を深く差し込む。

 そしてその矢は、そのままトレントを貫き、濡れていたトレントと地面のおかげでトレントの内部に電気が走り、轟音と共にトレントが裂けていく。


「はぁ、流石に疲れたなぁ」

「う、嘘。あのトレントが...」

 リーシャは、思わず驚いてしまった。


「さてと、そろそろ帰ろうか?」

「う、うん」

 トレントの戦闘を終え、そのままレオン達は帰ることにした。


「じゃ、リーシャよろしく」

「そこは任せて!」


 この森は、エルフぐらいしかまともに歩けない迷いの森とも言われるほどのものだ。

 トレントの生息地のため木々にマークをしたところで意味がなく、足跡を頼ろうにも先ほどのように魔物もたくさん出る為、足跡も頼りにならない。

 空中にいくか、風を頼りに出れる方向に歩いていくしか方法はないのだ。

 幸いエルフという種族は、こういった森の中で生活するため風には敏感らしく、入ってきた方向などは感覚で分かるようになっている。


「はぁ、やっぱりこの森、ダンジョンより数倍疲れる」

 前衛の負担が大きいのか帰り道の中思わずリアムが呟いた。


「まぁ、前衛が一人だからな。たまに参加してるけど」

 レオンも一応前衛に参加はしているけどタンクとしての役割は、ほぼリアムが背負っているので負担はレオン以上にあるのだろう。


「仲間を守るタンクだ、しっかりと守ってくれよな」

 レオンは、肩を落として歩くリアムの背中を強く叩く。


「いってぇ、そんなことは言われるまでもねぇよ」

 そんな他愛のない会話をしながらもレオン達は無事に森から脱出するのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

「な、なんだあれは?う、うわぁ!!」

 真夜中、平原が広がる中、男の叫び声が響いてくる。


 月明かりに照らされた、何か分からない黒い塊、それを見た途端に何かに撃ち抜かれたように胴体に大きな穴が空き男は倒れる。


「ニクイ、コロス」

 その塊に近寄った魔物は次々と殺され、その塊が動いた後は血の道が出来上がっていた。 


「ニクイ、コロス...」

 どこから声を出しているのか、黒い塊が呟きながらクロードウィル領に向かうのだった。



Twitter ID @Loewe0126

投稿日など報告しています。

DMで好きなキャラなど言ってくれたらそれを閑話で書こうかと思っています。

質問箱も用意しますので気軽に絡んでくれて結構です。


よかったら、ブクマ、感想をお願いします。

誤字報告ありがとうございます。

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