65 覚悟の違いと買い物
試合が終わり、医務室に運ばれたリアムとフェヒターの元へ向かった。
「う、うぅ。俺は負けたのか...」
「あ、おはようフェヒター」
「負けたうえ看病まで、情けないな」
「まぁ、そういうな。看病できる人がいないんだから」
夏休みに入るということなので医務室には人がいなかった。
そのため、レオンが代わりに看病をしていた。
看病と言っても気絶している二人を眺めているだけだったが万が一の可能性もあるため見守る人は必ずいないといけなかった。
「完敗だな」
「そりゃ、まだ僕は負ける訳にいかないからね」
レオンは、笑顔で即答する。
「なぁ、レオン、俺には何が足りてない?」
自信を無くしたのかフェヒターがレオンに質問してきた。
「君は、何の為にその剣を握る?貴族の名誉の為か?力を保持したいからか?親に言われたからか?そんな生半可な覚悟で強くなりたいと思っても君は弱いままだ」
「剣を持つ理由...そんなことで強くなれるわけ」
「ないとどうしてそう言い切れる。想像だけで作れる魔法があるならば思いだけで作られる強さだってあるんじゃないか?」
フェヒターは、レオンの言葉に何も言い返さなかった。
「物語の勇者や英雄は、必ず誰かのためにその力を奮っている。拐われたお姫様や自分を育ててくれた故郷や共に競い合った友のために、詭弁だと思ってくれても構わない。だけど、強さの秘密なんてそんなものだよ」
レオンは、拳をフェヒターの胸にあてる。
「君は、君という主人公を描いたらいい。きっといつか誰かを守るために君は強くなるさ」
「お、おいやめろ」
会話をしてる途中、後ろから声が聞こえてくる。
「リアムも起きたみたいだな。もう大丈夫ならさっさと起きて体を慣らした方がいいよ」
「ま、待ってくれ、お前は何のために剣を握るんだ?」
少しの間をあけレオンは、笑顔で答える。
「俺は、好きな人を救うために剣を振る。例え相手が神であっても彼女を救うためなら世界だって壊しても構わない」
まるで別人が答えたような面影がそこにはあった。
いや、これが彼の本性だろうとフェヒターは、思わずそう思ってしまうほど彼の雰囲気が一瞬変わったのだ。
「次に会うまでにまた強くなれよ」
「あぁ、次は負けない」
覚悟の違いを見せつけられ、フェヒターは、起き上がり医務室から出て行った。
「よう、リアムその顔どうしたんだ?」
リアムの顔には、沢山の悪戯書きが書かれていた。
「賭けで負けたから何も言えねぇ」
「レオンに一撃でも攻撃を与えられなかったら気絶してる時に悪戯書きしてもいいという賭けだよ」
リアムは、悔しがりながら黙りこみ、代わりにマリーが答えてくれた。
顔には、猫のような髭や瞼に目を書かれていたり、ほっぺたにぐるぐる渦巻など完全におもちゃにされていた。
「まぁ、惜しかったんじゃないかあと少し頑張れば届いていたかなぁ」
「うるせぇ、お前がまだまだ余力を残してることは目に見えてんだよ」
あれだけ激しい戦闘をしてながらレオンは、息が上がらず、おまけに魔力もまだまだ余力が残っていた。
「まぁ、さっさと起きろよ。今日防具の買い出しに行かないと行けないんだから」
「はぁ、厳しいな」
「さっさと顔のそれ落としてこい」
「はいはい」
リアムは、起き上がり医務室を出てトイレの方へ向かって歩いていった。
「さてと、さっさと買い物しにいこうか」
「「はーい」」
ルナリアだけは王城に戻る予定なので王城まで見送りその後に買い物する予定だったが...
「一緒に過ごしたらどうだ?」
「いいのですか?」
まさかの国王兼ルナリアの父親であるケーニヒが外泊しかも最も危険地帯である土地クロードウィル領に行く許可がおりてしまったのだ。
「どうせ何があってもレオンが守ってくれるだろう。そうだ、どうせならルミ騎士団長も護衛に就けよう」
ということになり、ルナリアもクロードウィル領に共に行くこととなった。
「とりあいず、買うものは」
「マナポーション、矢数本にあとナイフ、干し肉と飲み物だな」
「これだけ買えばそこそこ持つだろ」
買ったものを次々と鞄にしまっていく。
「流石に買い込み過ぎだと思うけど...」
鞄が重いと感じるほど、マジックバックがパンパンになってしまった。
「さてと、さっさと帰っていくとするか」
「「「「おー」」」」
そのまま走って屋敷へと戻っていった。
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投稿日など報告しています。
DMで好きなキャラなど言ってくれたらそれを閑話で書こうかと思っています。
質問箱も用意しますので気軽に絡んでくれて結構です。
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誤字報告ありがとうございます。




