64 剣刀(闘)
「全く、凄まじい剣術じゃのう」
「シルヴィは参加しないで良かったの?」
「ん?主からの願いじゃからの。流石に妾は参加せんよ」
ルナリア達は、観客席に座りながらレオン達の戦いを観戦していた。
「それにしても、本当にレオンって剣も強いね」
メロディの素直な感想が出た。
「主は、まだ本気をだしておらぬな」
「本気って二刀流のこと?でも神具は、流石に二つも出せないんじゃ?」
「わからぬ、主の神具は、特殊すぎるからのぅ」
シルヴィは、レオンの戦う姿を思わず見つめる。
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「はぁ!!」
剣を大きく振りかざすフェヒター、レオンはその攻撃を左手に握りしめた刀だけで受け止め弾き返し、そのまま右手で魔法を当てようとする。
「させるかよ!」
咄嗟に、リアムが右手を切り落とすかのように剣を振るいレオンは、魔法を撃つのをやめ思わず手を引っ込めた。
「片腕のみで弾かれるとは...」
「あいつのペースに呑まれるなよ」
リアムは、フェヒターに注意を促す。
「ほら、まだまだいくよ。ライト」
レオンは、光魔法を放ち、二人の視界から消える。
「透明化の魔法か...」
「フェヒター!」
「わかってる」
お互い、背中合わせになり、砂が散布に警戒する。
透明化と分かった時点で頼りになるのは、下にある砂、そして音のみだ。
そのため、背中合わせで周りを警戒するしかないのだ。
「フェヒター、あいつの攻撃を受け止める時、いつもより腰を低めにして耐えれるようにしておけ」
「了解だ」
リアムのアドバイスをフェヒターは素直に受け取る。
「さてと、無駄に警戒してくれてありがとね」
地面が少し盛り上がりそこから炎が飛び出てくる。
「下だ!!」
二人は、それに気づき急いで躱す。
「あっぶね~」
完全な不意打ち、地面に違和感がなかったら燃やされていてもおかしくなかった威力だった。
「まぁ、これくらい避けてもらわないとな。だけど、流石に一人は先に潰そうかな!」
レオンは、フェヒターを水平に斬りつける。
「うぐっ」
レオンの一撃を上手く受け止めきれず、フェヒターは吹き飛んでしまい壁に激突する。
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「今、一瞬目の色変わってなかった?」
「見間違いだろ、てかどうやってあの攻撃に気づいたんだ?普通なら右手切り落とされてるだろ」
観客席からそんな声が聞こえてくる。
「と、いうことは主の神具は、ツクヨミかのぅ」
「ツクヨミ?」
「主の神具の名じゃ、あれは厄介じゃのう。あやつら如きでは、手に余る」
「それだけ強いの?」
「あの神具は、本来の強さは夜に発揮するものじゃ。じゃが主は、自分の魔力だけであの神具を使いこなしている。相当な魔力量と魔力操作が必要となるものじゃ」
「そこのドラゴンは、よ~くわかってるみたいだね」
メロディとシルヴィが話している中、突然席の隣にエレノアが転移魔法で現れた。
「普通に来たらよかろう」
「いや、そこは驚かせたくて、つい」
ムカつく顔をシルヴィに向けながらもいきなり現れたエレノアに対し、三人は声も出さずに驚く。
「エレノア学園長、よくわかってるってどういうことですか?」
「そのまんまの意味だよ。そこのドラゴン、えっと、シルヴァ」
「シルヴィじゃ!!」
「あぁ、それそれ」
エレノアとシルヴィは、仲睦げにそんなボケとツッコミをする。
「神具っていうのは、成長するにつれて色々な効力をもたらすものに変化するものもあることは知ってるよね」
「はい、剣から炎がでたり、斧から雷がでたりとかですよね。後は神装ぐらいですか?」
「そう、だがそれらには魔力が必要となると今の研究者の推論だ。実際に使っていると体力を消耗するしね」
「それと、今のレオンの神具が関係あると?」
エレノアは、レオンの神具の方に目を向ける。
「あの神具は、目に何かしらの影響を与える効果をもち、彼はその為に必要最低限の魔力を目に宿し剣を躱した、ということかなシルヴィ」
「さぁ、それは妾には、わからん。ただ、主は、目に魔力を流していたのは確かじゃな」
シルヴィは、能力に関して一切喋らず、レオンが褒められ、上機嫌になった。
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「フェヒター!!」
「よそ見してる暇はないぞ」
リアムは、その声に反応しレオンの攻撃を受け止めた。
「さて、できれば降参して欲しいが」
「するわけねぇだろ!!」
「まぁ、そうだよね。さて、一人減ったことだしリアムが望んでることをやってやるよ」
そう言った途端、周りがピンク色に色づいていく。
「千本桜...」
「まだまだ」
桜の花がレオンの右手に集まり、刀の形を形成していく。
「我は桜人なり、桜と共に戦う力を我に授け給え、コノハナサクヤヒメ」
レオンの右手に桜と同じ色の刀が握られていた。
「ここに来て二刀流かよ」
「さて、少し前みたいな酷い結果は残してくれるなよ」
レオンは、二刀流を披露したその次の日リアムと試合をしほんの数秒で勝敗がついてしまったことがあるのだ。
その日からリアムは、毎朝レオンに挑み、負けを繰り返した。
「せめて、1分は持ち堪えてくれよ!!」
レオンは、リアムに対し刀を振るうが予想もしない所から剣が振るわれる未来が見えた。
「あの一撃で気絶してなかったのか」
「はぁ、はぁ。まだ負けるわけにいかないからな」
レオンは、振るわれる前に交わし、その人物と対峙する。
先ほど吹き飛ばされたフェヒターが剣を杖代わりにして立っていた。
「大丈夫なのか?」
「問題ない」
明らかにボロボロな姿のフェヒターをリアムは心配するが、フェヒターは気にせず剣を構える。
「だけど、これが最後の一振りとなる」
「なら、僕もそれに答えよう」
フェヒターは、剣を力強く握りしめる。
今で感じたことのない殺気がレオンから放たれる。
「はぁぁぁ!!、断切!!」
フェヒターは、最後の力を大きく振りかぶる。
そしてレオンは、もう一つの剣技をフェヒターに与える。
「花伝・向日葵!!」
レオンの刀が炎に包まれ、八連撃の攻撃がフェヒターの剣を壊し、体へと直接あたる。
フェヒターは、試合不可能と判断しエレノアは、フェヒターを回収した。
「さて、これで1対1だな」
「今のは初めて見るな」
「なら、他の技も見せてやるから頑張って避けろよ」
今度はレオンの刀から冷気が漂ってくる。
「花伝・雪月花!」
四連撃の攻撃、そこから氷の華が咲き誇る。
リアムは、咄嗟に足に強化魔法を付与し大きくジャンプをし躱す。
「火の次は氷かよ。なら、こっちも地割れ」
剣を地面に叩きつけ地面に亀裂が走る。
レオンは、ジャンプして躱すがリアムは追撃し、空中で剣を振ってくる。
「風伝・斬風」
「な!」
刀から放たれる斬撃、リアムは、振るのやめ攻撃を受け軽々と空中で吹き飛ぶ。
「あぶねぇ。強化魔法が間に合ってよかった」
地面に激突する瞬間に、強化魔法を貼り衝撃を抑え、急いで立ち上がる。
「まだ、受け止められるんだな」
「まだまだ」
立ち上がるリアムにレオンは刀を振り下ろし、リアムは咄嗟にその攻撃を受け止める。
「さっさと終わらせようかな」
「そんな甘くはねぇ」
リアムは、力押しで斬り上げレオンを押し返す。
「はぁ!!、衝撃刃」
リアムは、剣を大きく振りかぶり、レオンはリアムの攻撃を受け止める。
「はぁ!」
リアムの剣に重みがましていく。
「水伝・水流牙」
咄嗟に右手だけで強化魔法を付与し、左手で斬り上げる。
「うぐっ」
受け流しからの攻撃、いきなり片手になったことで剣にかけていた自分の体重が裏目になり躱せなかったのだ。
「火伝・烈火」
突きの一撃がリアムの体に突き刺さる。
「がはっ!」
リアムは、空中に押し出されてしまいそのまま気を失ってしまった。
「勝者、レオン!」
先ほどの一撃が決め手となり、短くも長く感じた対決は幕を閉じた。
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「まさか神具を二本出すとは...」
エレノアは、信じられない光景に思わず動揺してしまう。
過去どの記録を見ても神具を二つ出すものはいなかった。
可能性があるとしてもあの神具が二つで一つの神具ならば可能性があったが、先ほどの確実に神具の詠唱を聞いたのでその可能性が極端に薄いとエレノアは感じた。
「どういう仕組み?」
「さぁ?妾には、主の神具の仕組みはわからないからのぅ」
シルヴィは、一部知っている神具の仕組みを適当に誤魔化す。
「まぁ、兎も角、数か月ここまで強くなるとは予想外すぎたかな。お気に入りの途中経過を見れて満足満足!」
「そうか。なら、急いで仕事をやってもらわないとあなたに夏休みはないですが...」
「ル、ルーカンス!!」
逃げようとするエレノアをルーカンスは、頭を叩き気絶させる。
「全く、こいつは秋にどれだけイベントごとが多いか...」
そのまま、気絶したエレノアを引きずりながら部屋へと強制的に連れて行くのだった。
Twitter ID @Loewe0126
投稿日など報告しています。
DMで好きなキャラなど言ってくれたらそれを閑話で書こうかと思っています。
質問箱も用意しますので気軽に絡んでくれて結構です。
よかったら、ブクマ、感想をお願いします。
誤字報告ありがとうございます。




