62 回復魔法の授業
「次の方、どうぞ~」
回復魔法での授業それは、冒険者の怪我の治療だった。
毎日何百人と怪我をするので練習には丁度いいらしい。
そして、無料で治療をしてもらえるので更に人が集まり、他の人もわざわざ教会ではなく冒険者ギルドに来る人もいる。
だが、そのデメリットとして初心者が多いので軽傷ぐらいしか治すことができず、治す際に激痛が走ることも多い。
無料ということでお金がない人達は、その治療を受けるしかないらしい。
そして、現在そんな冒険者ギルドでの治療だが、現在、外にまで長蛇の列が出来上がっていた。
「ありがとう~、腰の痛みが治ったわい」
「はい、お大事にして下さいね。次の方~」
そうレオンに対し長蛇の列ができていたのだった。
痛くない治療、ほとんど傷を治してくれて、更に可愛いとまできたものだ。
どんな人物にも種族にも嫌がることなく笑顔で癒してくれるためギルド内では密かに聖女様や天使様などとレオンが知らぬ間で二つ名がつけられていた。
これらの要素が無料との噂を聞き、多くの人が駆け付けレオンは、授業中休む暇なく、回復魔法を使うこととなるのが定番になっていた。
「すごい列ですね」
「まぁ、確かに可愛いしねぇ~」
「男性冒険者の方も、もう何人か告白するくらいだしね」
「なにそれロリコンじゃん。てか、あの子男の子なんでしょ」
「女性冒険者達からも人気高いよ」
「さぼってないで仕事してくれるかしら?」
「「す、すみません」」
受付内でそんな会話が聞こえてくる。
「まぁ、彼がいるおかげで、ギルド内の治安が一気に良くなったなぁ」
「し・ご・と!!」
「は、はい...」
レオンが来てから2ヵ月、ギルドを受ける人が急増し、それまでギルド内で起きていた喧嘩などの騒動も起きていない。
そのせいか、今までギルドでの依頼が少ない時もあったがの激変した。
市民の方々も入りづらいと感じていたギルドも今は、一日30件以上の依頼が常に届くようになっていた。
そのため、受付の人たちも大忙しにはなったが、給料が倍以上増えたため喜んでいる人しかいなかった。
「本当に人が多いのう」
「シルヴィも止めてくれてありがとね」
シルヴィは、ギルドでは常にレオンを守るようになった。
主に、強引にレオンに迫ってくる人たちを強制的に帰すようしてくれている。
可愛い少女の見た目だが元はドラゴン、力で敵うわけがなく、大人しく帰るか返り討ちになる者が続出した。
授業内での十分間の休憩中
「なんで、今日もこんなに人が...それに、何故か私が治療したときに嫌そうな顔するんだろう...」
「あはは、なんでだろうな?」
明らかにレオンを睨みながら不満を愚痴る。
彼女は、同じく回復魔法を学ぶ同級生リフレ、残念ながらSクラスではないがAクラスという彼女も才能の持ち主だ。
回復魔法の授業は、基本的にペアでギルドに行くことになっている。
そして、そのペアで偶然一緒になったのが彼女である。
「どう考えてもあなた目当てが多い気が...てか、本当に男なの?」
「男ですよ、最初にあった時に胸を触ってきたじゃないですか!!」
「はぁ~、それもそうだけど」
リフレは、大きなため息をつきながら落ち込むしかなかった。
「なんか負けた気がするわ~」
「さっ、休憩終了。治療再開だよ」
「うぅ、また人が...」
再び並びだす長蛇の列、その光景を見るだけでリフレの心は疲れ果てているのだった。
「お疲れ様」
「はぁ~、お疲れ」
リフレは、魔力を使い果たし、既に疲れ切っていた。
「リフレは、次の授業ないの?」
「あるにはあるけど、休憩しないともう魔力がない。というかあなたはなんで魔力切れてないの?私の倍以上の人数、治療していたはずなのに」
「まぁ、人より魔力が多いからね。あれくらいの人数ならまだいけるかな?」
「ある意味完敗ね...」
「それじゃ僕は、待ち合わせがあるから。また明日ね」
「うん、また明日」
レオンは、そのままダンジョンに潜る準備を手早く済ませ、リアム達がギルドに来るのを待つのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ、はぁ、お待たせ」
「リアム、遅刻だぞ」
「仕方ないだろ、騎士科からギルドまで結構離れてるんだから」
騎士科が終わり全速力で走ってきたのか、リアムは、息切れしていた。
「まぁ、いつもどおり討伐依頼受けていくか?」
「そうだな、夏休み前にまだ結構稼ぎたいからな」
「いや、あの森に潜るならまだまだ技術が足らないけどな」
「あの森って?」
ルナリアが質問してきた。
「そういえば、ルナリアは、知らなかったな。魔の森だよ」
「魔の森?」
「クロードウィル領にある森で強い魔物の巣窟だよ」
ルナリアは、興味深々で話を聞く。
「まぁ、普通に狼や熊の魔物がでるから、危険な場所だからね。普通は、行こうとは思わないな」
「へ、へぇ、けどそんな近くに領があるの?」
「まぁ、そこがあの領のおかしな所じゃないかな?」
「あはは、一度は行ってみたいかな?レオン君の生まれ故郷に...」
ルナリアは、魔の森よりもクロードウィル領がどんな場所かどうか興味深々になっていた。
「とりあえず、ダンジョンに行くとしようか」
「ん、早くいく」
珍しくミュウが食い気味にレオンの背中を押しながらダンジョンに急がせる。
「お、押さないで」
「早く、早く」
そのまま、レオンを押しながら5層からダンジョンを潜るのだった。
Twitter ID @Loewe0126
投稿日など報告しています。
DMで好きなキャラなど言ってくれたらそれを閑話で書こうかと思っています。
質問箱も用意しますので気軽に絡んでくれて結構です。
よかったら、ブクマ、感想をお願いします。




