55 学園ダンジョン
いつも通りの登校だったが教室に入るだけでやたらに視線を向けられる。
注目されているのは現在人の姿であるシルヴィがレオンの右腕を取りずっと引っ付いているからであった。
そしてそれに何故か対抗してミュウがレオンの左腕にこれまたピッタリと引っ付いていた。
「何でミュウまで引っ付くの?」
「なんとなく...」
レオンと目線を合わせないままミュウは、左腕をさらに強く抱きしめる。
「お前ら早く席に着け、授業をするぞ」
背後からルーカンスがやってきて生徒達は慌てて席に着いていく。
「今日の午後は冒険科の見学だ。その前にお前たちに配るものがある。名前を呼ぶので順番に受け取りにきてくれ」
名前が次々と呼ばれ生徒の手元にはそれぞれカードのようなものが配られた。
「それは生徒証兼冒険者カードだ。冒険科でなくともSクラスには全員ダンジョンに入る資格があるとされているためそれを見せると冒険者でなくとも一応入ることは可能となる。まぁ、身分証になるから決してなくすなよ」
「学園にダンジョンがあるんですか?」
「あるぞ、現在の最高到達地点は50階層。ダンジョンの階層は恐らく100階層はあると思われる」
「「「おお~」」」
思わず生徒達から声が出てしまった。
「と、いってもお前らでは行けて5層が限界だろう。地上とは違う様々な地形があるダンジョン、それに加え階層を降りるごとに魔物の種類、強さ、トラップが変わってくる。ダンジョンに潜り死んだやつも少なからずいる。自分が強いと思い慢心するやつはダンジョンに呑まれるぞ」
ルーカンスの発言に先ほどのざわつきが嘘かのように静かになった。
「ダンジョンに挑む際は必ずパーティーを組んでいってくれ。一人で挑むことは原則として禁止だ。また詳しいことは冒険科の体験で話をする。今日のホームルームは以上だ」
丁度いいタイミングでチャイムが鳴り授業の為に各々準備をしだす。
「主よ、妾は外に行きたいぞ。正直言って退屈だ」
「ま、まぁ、そういう事いうなよ、僕も退屈なんだよ」
最初の授業で寝てしまったので今日こそは起きていようと思っていたが退屈過ぎて寝そうになっているレオンであった。
どうにか眠気に耐え、午後の冒険科の体験をするために教室に行くこととなった。
「学園用冒険ギルド、ここでは様々な依頼、ダンジョンでの手続きをしている場所だ。まぁ、どれも学生用だがダンジョンに関したら一般の者も多くいる」
「はぁ~」
「どうしたレオン、そんな重い溜め息なんてついて」
「いや、なんでもない」
学園用冒険ギルドに近づくとそこでは王都にあるギルドみたくバカ騒ぎが聞こえてくる。
もちろんルーカンスはそんなことはお構いなしに入っていく。
そして、レオンが入った瞬間一気にギルドは静まり返った。
「せ、せい」
男性が突然何かを言いかけた瞬間誰かに頭を殴られ気絶してしまった。
レオンは、一瞬聖女と言われかけたと思いビクッとしてしまった。
「お待ちしておりました。ルーカンス様、さぁ、こちらへ」
眼鏡をかけた受付嬢らしき人が現れ、奥の部屋へと案内してくれた。
「どうぞ、ご自由に席にお座り下さい」
受付嬢は、笑顔を絶やさず生徒たちは言われるがまま席に着く。
「では、冒険科及びギルドの説明をさせていただきます。冒険科では簡単な依頼、ランク的にF~Dの依頼を受けることになります。D以上のランクは、現在のあなた達は受けることは出来ません。次にダンジョンについて説明させていただきます。ダンジョンは、様々な場所に点在しております、冒険者以外でもダンジョンに潜ることは可能です。挑む際はパーティーを組んでいってください。誰か一人でもギルドに救出願いを出すことができれば生き残る可能性は高いです。ダンジョン入り口に置いてあるメモ用紙に名前を絶対に書いて下さい。名前を記載されずにダンジョンに行った場合、誰が入ったか、いつ出てきたのかの確認が出来ず、死んでしまった例があるので記載は絶対して下さい。こちら側の話は以上です。何か質問は?」
受付嬢は、淡々と説明をした。
「D以上の依頼を受けるにはどうしたらいいんですか?」
「依頼をある程度こなすとギルド側が判断し昇格クエストを渡します。無事その昇格クエストをクリアできた場合ランクを上げさせていただきます。現在のあなた達のランクはFランクです。例えSクラスであるとしても例外ではないです」
受付嬢は、冷たい目線を向け生徒達にいった。
「今朝もダンジョンに潜り、重症を負った者が学生で出てきました。慢心することなく、ダンジョンに挑んで下さい。では、これ以上質問がないようなので私はこれで」
受付嬢は、ドアを開け出ていってしまった。
「今日の午後はこれだけだ。後は自由にしてもらって構わない」
ルーカンスも出ていってしまい生徒たちは少し戸惑いながらもパーティー組むことをはじめていた。
「じゃ、ダンジョンの下見でも行ってみようか」
「お、そうだな。どんなところか一応見てみたいし」
リアムは、早く行きたくて体がウズウズしていた。
「レオン様、少しお時間よろしいでしょう?」
レオン達は、ドアを開け誰よりも早くダンジョンに挑もうもいう気持ちだったがドアの横に立っていた受付嬢に呼び止められた。
「受付のお姉さん、一体どうしたんですか?」
「お願いします、少しついてきてくれませんか?」
重く張り詰めた顔をしていた受付嬢を流石に断ることが出来ず、医務室の方に連れて行かれた。
とある病室、カーテンで見えないようになっていたベット、受付嬢はカーテンをそっと開ける。
そこに眠っていたのは、足が欠損してしまった少女だった。
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そちらで投稿日などを告知しようかなと思います。
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なんと、なんとですねそろそろこの小説が10万pvに届きそうなのです。
そしてその記念として短編ですがホラー小説を投稿したいと思っています。
ジャンルが初めてなのであまり期待しないでください。




