4 祝福の儀の為に王都に行くみたいです
魔法騒ぎから4年が経ち5歳になりました。
はっきりと言葉がわかり本に書いている内容もわかるようになりました。
まぁ、本の内容が分かるという事は書斎に入り魔道書を片っ端に読みふけっているわけである。
ほとんどの魔法を覚えたが...
父親であるジギルに男なら外に出て体を鍛えろと言われるのである。
ジギルは辺境伯であり、元々冒険者らしい。
ちなみに、冒険者をしている時に母親であるユリアに出会ったらしい。
この領地の近くに森があり、そこに魔物が多いため防衛の役目を果たしている。
やっぱり魔物がいるのか...
そんな事は置いといて今日は大事な日らしいので正装
に着替えるのだが...
「あの〜、一人で着れるので出て行ってくれませんか?」
「行けません、ユリア様に、レオン様をしっかり見ておくように言われたので...」
最近メイドの目がいやらしく見えます。
まるで僕を狙ってるかのように...
鏡を見たが確かに見た目は女の子のようだ
メイドは赤ん坊に見たからかそこまで大きい訳でもなく年齢はそこまで離れてなさそうに見える。
「はぁ、着替えるので反対を見といてくれませんか?」
「そ、それもダメです」
仕方ない。あの手で行こう。
「あっ!」
ドアの方を指差した瞬間メイドがドアの方に目を向けた。
今だ!!
秘儀・早着替え
前世の学生の時に覚えた技で演劇の助っ人をやる時に使っていた。
1人2役をするときに多用していた気がする。
「もう、何もないじゃないですか...あ、あれ?いつ着替えたんですか?」
「ドアの方を見た時にですよ。さ、お父様の所にいくよ。」
露骨にがっかりしたメイドのミルだった。
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「よし、来たな。さっさと馬車に乗れ」
「何処に行くんですか?」
「王都にある教会だ。2、3日はかかるからな、その間にお前を鍛えるから覚悟しとけよ」
嫌すぎる。まだ魔法の勉強をしたいのに...
ため息を吐きながら馬車の中に入っていくと僕以外にも3名ほど子供が乗っていた。
「同行者でこの領地の子供だ。仲良くしてやってくれ」
なるほど、だから馬車が多いのか...
無口そうな女の子に、明らかに緊張している女の子、
そして、機嫌が悪そうな男の子の3人だ。
まぁ、まずは挨拶からだな。
「レオン・クロードウィルです。よろしくお願いします。」
取り合いず笑顔だ。笑顔
「ミュウ、よろしく」
無口そうな女の子が次に言った。
青というか水色というかそれに近い髪の色をしている。
この世界は髪の色の種類が多いんだな。
「ま、マリーです。よろしくお願いしましゅ。」
緊張しているのか、人見知りなのかわからないがオレンジ色に近い明るい髪色をしている。
噛んだのが恥ずかしいのか、顔が赤くなっている。
「そんな、緊張しなくても構わない。レオでもレオンでも気軽に友達と接するようにしてくれないかな?」
「わ、分かりました。れ、レオ君って呼んでもいいですか?」
「あぁ、構わない。よろしくね。マリー」
「リアムだ。」
男の子はリアムというのか赤黒い髪がカッコいいと思う。
なんで、そんなに機嫌が悪いんだろうか?
「なぁ、俺たちは売られるのか?」
「・・・は?そんなわけないだろ」
いきなりの質問に驚いたが機嫌が悪い理由がわかった気がする。
「僕たちは王都で祝福の儀を受けるんだよ。そこで神様から加護を貰うんだよ。」
「教会ならこの領地にもあるはずだ!」
「多分だが幼い時から王都を体感させるのも目的だと思うよ。いつかは領地を出て王都で働くためにね。王都の方が家族を養うのにも便利な場所だからね。」
「じゃ、売られるわけではないのか」
「当たり前だ」
ミュウは驚いてないがマリーは驚いているようだ。
「さすが、よく分かってるじゃないか」
話しを聞いていたのか上機嫌で馬車に入ってきた。
「お父様。せめて、この子達にも説明ぐらいしたらいいじゃないですか?」
「何、お前なら俺より上手く出来るからな。後大人の俺より信頼度が違うからな」
レオンはため息をつきながら、ようやく馬車は王都に向かって出発した。