44 試験結果
試験結果の発表日、学園にはたくさんの人がどこの教室になるか不安がりながら、試験結果のボードを見てキャッキャしていた。
クラスは、Sが一番上のクラスとなり、そこからA〜Fのクラス分けとなっている。
このクラス分けは、冒険者ランクに似ているものだった。
そんな、キャッキャやっている中、レオン達は、ボードをよく見る為に近づくが何故か自然と避けるかのように道ができる。
「あれがあの…」
「そうそう」
「Aランクに勝ったっていう」
そんな、声があちらこちらから聞こえてくる。
気にせず、どこのクラスか見たがそのボードにレオンの名前だけが掲載されていなかった。
「なんで、お前だけ名前ないんだ?」
「知らん、どちらかというと僕が知りたいぐらいだ」
リアムと話しているとレオン誰かがレオンに目隠しした。
「それはね、君が成績優秀者で、今回の首席代表だからだよ」
女性の声が聞こえてくるが誰だか全くわからない。
首席と言ってるあたりで学園の関係者であることは間違いない。
「もしかして、学園長でしょうか?」
「あったり〜、そう、私がこの学園の学園長のエレノア・ガーネットよ」
「あの〜、それは良いのですが手を退けてくれませんか?」
「あら、ごめんなさいね。でも、改めて見ても可愛いわね」
レオンは、何故か狩られる獲物のように感じ、一瞬の恐怖を感じた。
「おねぇさんと一緒に熱い夜を、あいた!」
「全く何やってるんですか学園長、あなたはまだ仕事が残っているでしょうが!昨日も仕事をほったらかしで、勝手に観戦していたらしいじゃないですか!」
学園長は、これまた突然後ろから現れた女性教員に頭を叩かれ、手で頭を押さえていた。
そのまま、エレノアは引きずられながら女性教員が連れて行ってしまった。
結局のところ、無事全員Sクラスになったということらしい。
「一体何がしたかったんだ?」
「さぁ?」
レオン達は、気にせず制服を受け取るため受付の方へ向かった。
既に受付場は多くの人でいっぱいだった。
もちろん女性用と男性用と制服はあるためその採寸のために部屋は別れている。
「はい、採寸しますね」
「お願いします」
前に並んでいた人が次々と測られいく、これがプロなのかと思いながら、もうレオンの番が回ってくる。
「はい、では採寸を…えっと失礼ですが男性でいいんですよね」
「はい、間違いありませんよ。よく勘違いされるので慣れてます」
「あ、そうですか…で、では改めて採寸しますね」
そう言って、採寸をしようとするが思わず手を止めてしまう。
(服の上から測っていても、何故か犯罪感が…)
何故かそんなことを考える採寸をする人だった。
「ありがとうございました」
レオンは、笑顔でそう言い、そのまま部屋を出ていく。
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休憩時間
「はぁ〜、なんかドッと疲れた」
現在25歳女性独身、服屋を営んでいる。
仕事で忙しく婚期を迎えているが未だ良い人が見つからず、付き合っている彼氏もいない。
この世界での、婚期は成人になるのが早いため婚期というものも自然と早いのである。
女性の場合16〜25となっているのである。
「な〜に、そんな気を落としているのよ」
同業である女性も休憩を取りに用意された休憩室に入って来た。
「うん、ちょっと疲れただけ」
「疲れることなんてあったの?ただ採寸をして紙に書くだけじゃない」
「まぁ、そうだけどね」
「そういえば、今回の主席の女の子見かけなかった?」
「休みとかじゃないの?どうして、急に」
「なんかすっごい美人らしく、白い肌、白い髪が特徴の子なんだけど。他の生徒達から噂になってたからどんな人か見ようと思ったんだけど」
「ごふっ、ごふっ」
飲んでいた飲み物を吹き出しかけ少しむせてしまった。
「ちょっと大丈夫?」
「だびじょうぶ、ねぇ、もう一度特徴を教えてくれない?」
「えっと、だから白い肌に、髪も白っていうよりプラチナらしいんだけど」
(完全にあの子だ!)
「何?あんたもしかしてみたの?」
「う、うん。彼女じゃなくて彼だったけど」
「え?そうなの。なら猶更見てみたかったなぁ。私、次もあるからまたね」
「頑張ってください」
同業の女性は、少し休憩しただけですぐに出ていった。
「はぁ、どこかに良い人いないかなぁ。でも、彼可愛かったなぁ」
レオンの姿が頭によぎる、たった一度採寸しただけなのに彼のことが頭から離れないでいた。
「はぁ、一度里帰りするか…」
重いため息をつき、故郷に帰ることを決意したのだった。
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「おう、出てくるの遅かったなぁ」
「まぁ、少しね」
大したことではないので、皆には何も話さずそのまま屋敷へと戻った。
「始業式は明後日か…」
「まぁ、制服の準備とかがあるからな」
誰でも入学できるため、人数が多く始業式も少し遅れてから開催されることとなっているらしい。
制服の受け取りの為だけにまた学園に行かないといけないが、人数が多いので人数分揃えるのが大変らしい。
「まぁ、さっさと帰って、祝賀会でもしようか」
「よっしゃー!」
「やったー!」
リアムとマリーが同時に喜び、ミュウとルナリアも笑顔で頷く。
これからの学園生活を楽しみにしながら今夜は、祝賀会で喜びに耽るのだった。




