41 クロードウィル領は凄かった…
試験会場に着くと既に大勢の人が集まっていた。
「ちっ、姫様もう先約済みか」
「どうせ裏口で一番上のクラスに行けるんだろうな」
「ほんと羨ましいことだぜ」
勝手な噂が飛び交っている。
この学園には王族の権利や貴族の権利を使ってしまったら退学という方針がある。
いくら身分が高かったとしても裏口で一番上のクラスになんて行けるはずもないということだ。
「残念ながらそういうことは出来んぞ。この学園には身分なんて関係ないからな」
男性教員からそんな指摘が入った。
「なら、一つ提案があるのですが」
レオンが庇ってくれた教員に言った。
「最初か最後に試験を受けさせてくれませんか?」
「うむ、何故だ?」
「強さを見せたら流石に認めるでしょ」
「なるほど、それもそうだな。なら最後としよう。この試合会場には特殊な結界が貼られ外に出たら傷なんて全て消えるからな。冒険者達の負担的にも最初にお前らと戦ったら辛そうだ」
教員はレオンの手に付けられた指輪を見てから答えた。
「では、よろしく願いします」
レオン達は、そのまま会場の控え室に向かった。
「いいんですか?ルーカンスさん」
突然女性教員からそんな指摘が入った。
「あぁ、なんだお前かリズ。別に構わん。元々順番なんて決めてないしな」
「しかし、何故最後に回したのですか?」
「ん?あの子供の着けていた指輪、あれは魔力漏れを抑える指輪だ」
「それが何か?」
「はぁ~だからお前は昇格できないんだよ」
ルーカンスは呆れたように言う。
「まだ、気づかないのか?子供の時にあんなものを身に着けていたら普通はぶっ倒れる。他にも、俺にはあいつの魔力量が分からん」
「計測できなかった、ということですか?」
「そうだ」
教員は、ただ生徒を集めるだけでなく、試験前に魔法を使って魔力量を見ることも仕事になっていた。
ルーカンスは、レオンの魔力量を計ったがあまりにも多い為計ることができなかった。
「まぁ、最もな理由としては名前記載にクロードウィルと書かれていた」
「あのクロードウィル領の...」
クロードウィル領の地域、辺り一帯が魔の森で囲まれ魔物が多く住んでいるところである。
魔の森の魔物もただの雑魚ということではない。
そんな地域だからこそ、あの領に住んでいた者たちは皆冒険者ランクS~Aといった者たちや国家騎士だった者たちなどの隠居の住処として有名な場所であった。
そんな者達が集まっている領なので別名が化け物の住処と呼ばれているほどだ。
魔物も化け物、住んでいる者も化け物じみていることからこの別名が付けられた。
レオンが着けていた指輪、単純に魔力漏れを無くすことができる指輪だがこの指輪は本来大人ぐらいしか身に着ける者がいない。
子供が着けてしまうと魔力の調整がうまくいかず、激しい酔い通称魔力酔いが襲って倒れる。
魔力が多いものが好んでこの指輪を使うが理由としては魔力に敏感な者たちの為である。
魔力に敏感なものは魔力量が多い者とすれ違っただけで倒れたりする傾向があるのだ。
実際レオンも王都に出かけている時にあってしまいジギルから急遽その指輪を貰ったのだ。
「これは、冒険者の人たちに相当な苦労が」
「まぁ、あいつらと戦うのがAランク冒険者だからな。子供と思って油断してる冒険者は、多いから調度良いだろ」
(全くまた一段と面白い奴が来たものだな)
ルーカンスは、控え室に行くレオン達を見てほくそ笑んだ。
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