38 試験まで残りわずか
昨日は魔法の勉強に加え、夜には5人で勉強会をした。
魔法や剣、弓は実戦試験の為に、こうした勉強会は筆記試験の為に必死で勉強をしていた。
試験までの数日、朝には実戦訓練、夜には勉強会というスケジュールとなった。
翌日
「さて、二人に魔力の操作を覚えて貰ったわけだが、次に二人には複合魔法を覚えて貰う予定だ」
そう言うとレオンは二人の目の前に氷の塊を作った。
「氷魔法、これは火と水を合わせた複合魔法だ。これに必要になるのは魔力の調整なんだ。魔法の加減を少し変えたら、このように霧状になったりしてしまう。まず、二人には冷気を出す練習からだな」
レオンはそう言うとお手本として冷気を作って見せた。
春のこの季節には少し肌寒い感覚が二人に伝わる。
魔法を使うのに最も必要とするのは想像力だ。
そのため、基本的に魔法を覚えるのはお手本を見せた方が覚えが早くなる。
実際、レオンは母親であるユリアにいっぱい見せられた。
(ユリア本人は、レオンが喜ぶからいっぱい魔法を使っていただけ)
「私の適正魔法は風ですけど、私でも使えるんですか?」
ルナリアが悩みながら言ってきた。
「適正魔法は、自分が1番、想像しやすいだけだからな。基本的に適正魔法関係なく、色々な魔法を使うことはできるよ。だけど、光魔法と闇魔法だけは難しいかな。あれだけは想像がし辛いから簡単に使うことができないんだ」
レオンが説明し終えると次にミュウが手を上げた。
「風魔法を使った複合魔法もある?」
「雷魔法がそれかな。風と水が必要になるよ。どちらからやってもいいけど、多分氷魔法が1番簡単な複合魔法かな」
「お手本見せて」
目をキラキラと輝かしミュウからの期待を応えるためレオンは雷魔法を二人の目の前で見せた。
レオンは、パチパチと音を立てながら右手に雷魔法を纏って見せた。
「そうだな、二人とも複合魔法が使えたらご褒美として新しい結界魔法を見てもらおうかな?」
「「本当?(ですか?)」」
二人とも目をキラキラ輝かし、レオンに凄まじい期待をした。
そんな、話をしているとレオンの後ろからリアムが現れ、レオンに対して剣を振り下ろしたが、あっさり躱され、腹に一撃、拳を決め、くの字になりながら吹っ飛ばされる。
一瞬の出来事に二人とも何が起きているか分からなかった。
「さて、二人とも惚けている場合じゃないよ。訓練訓練」
手を掃いながら笑顔で言った。
そんなことを言っていたら次は上のほうから矢が三本飛んできたが、レオンは矢を二本躱し、残りの一本をつかみ取り矢が放たれた方向に対して矢を投げた。
「きゃっ」
そんな声と共に木の上に隠れていたマリーが落ちてきたが、レオンは急いで木の下に行き受け止めた。
「まったく、何やってるんですか?二人とも」
「あはは。えっと、訓練かな?」
マリーは笑いながら必死に誤魔化していた。
後からマリーとリアムの二人の先生をしていたジギルとリーシャが出てきた。
「うん、予想外だな」
「う~ん、まさか矢を掴み投げ返してくるとは…」
「全く二人ともどういうつもり?」
少し怒り気味にレオンは、ジギルとリーシャを叱りつけた。
「レオン自体訓練してないのも、少し問題だと思ったからで…」
ジギルは、言い訳をレオンに言ったが、レオンは、リアムを回復魔法で治した後、二人を正座させ30分ほど叱った。




