33 レオンの秘密
「私は転生者です」
「やはりか…」
「転生者?それはなんだ?」
聞いたことがない単語にジギルが反応した。
「転生者とは死んだ者がその記憶を引き継いだまま生まれてきた者のことだ」
「はい、その通りです。私いや僕はこの世界とは別の世界、如月 裕治の記憶を引き継いでいます」
レオンの発言にその場にいた皆は驚きを隠せなかった。
「別の世界?」
「そうですね。簡単に説明すると魔法というものが存在しない世界です」
レオンの言葉に皆さらに驚愕した。
「それなら、一体どうやって生活していたんだ?」
「私たちの世界はこちらの世界と一緒で知恵を使って生活しています。私にはそれぐらいしか説明できません。こちらに転生する前、神様にとある条件付きで転生させてもらったので言ってしまうとどうなるかはわかりません。少なくとも神様曰く、この世界が滅びるらしいです」
突然こんな話を聞かされた者たちは黙り込んでしまった。
「神か…あの古文書通りか…」
「古文書?」
「あぁ、賢者が残したものだ」
ケーニヒはそのまま賢者が残した古文書に書かれていたことを話し始めた。
「古文書はいや、日記と言ってもいいかもしれないな。賢者は、その日記に勇者のこと自分が転生者ということを残していた」
「勇者のことも…」
レオンは勇者という言葉に反応した。
「賢者の日記での勇者は転移者とされていた。賢者と勇者のいた世界は如何やら同じだったらしく、賢者は勇者を元の世界に戻す為に色々なことをやったらしい。国の勢力を懸けて賢者の日記を解読しようとしたが分かったのはこの程度のことだけだ」
ケーニヒは未だ解読を進められていない現状に落ち込んだ。
「レオン、いや裕治、聞かせてくれお前のことを…」
ジギルが覚悟を決めたのか握り拳を作りながら言った。
レオンもジギルの表情に気づき、レオンの方も覚悟を決めて話し始めた。
「僕は前世で25年間生きてきました。剣技や体術は全て僕の友人達に教わり・・・」
レオンの話はそのまま1時間以上続いたがその場にいた者は皆黙ってレオンの話を聞くのだった。
「そういえば、あの時お前の体を使って蜘蛛と戦っていたのは誰なんだ?」
「僕の世界の神様です」
レオンの言葉大きく反応したのはケーニヒだった。
「なんと!神懸りをしたのか?」
「神懸り?何ですかそれ?」
レオンも自分がしたことが分からなかった。
ケーニヒの反応を見る限りレオンのしたことが大事だということだけが分かったていた。
「神懸り、その名前の通り身体に神を宿すことだが、この魔法の成功例の報告は数少なく、ユステイーツ聖王国の聖女だけが唯一成功したらしいができたのは一度だけだ。一時的に神の力を使うことができ、魔導書に残っていた文献では町が一瞬にして湖に変わったと書かれていたぐらいだ」
「と言われても、どうやって神懸りをしたのか分かりませんし、むしろ神様から貸してくれと言われましたから多分もう使えないと思います」
レオンはあくまでツクヨミとの交渉をし、体を貸しただけなので方法が一切分からなかった。
「一つ言えることはこんな僕を何故婚約者に選んだんですか?ケーニヒ様」
「ふっ、転生者など関係ない。これは親として決めただけだ」
ケーニヒとレジーナはレオンに対して優しく笑顔を向ける。
「親として…」
レオンはルナリアの方を思わず見た。
ルナリアはレオンに見られると意識したのか次第に顔が赤くなっていく。
「たとえお前が転生者だろうが元々見捨てるなんてことは絶対にない。俺はお前の親だからな」
ジギルはそのままレオンに抱きしめた。
「よく話してくれた。ありがとう」
レオンはその暖かみに思わず泣きそうになった。
親という者の存在がこれだけ大きく感じ、暖かく感じる。
転生という得体のしれない自分の存在を受けいれてくれるかどうかの不安が消え、レオンは少しだけ体が軽くなった気がした。
「こちらこそ、ありがとう」
遅くなり申し訳ございません。最近、雨の影響か頭痛が多く投稿が遅くなりました。
レオンの過去はまた閑話で掘り下げていこうかとおもいます。
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とても励みになります。
次回は早めに投稿するように頑張ります!




