閑話 裕治の資料
「う~ん、なんでこれ二重パスワードなの?」
由香が不満そうに言った。
レオンの残した遺書から炙りだしで出たパスワードを入力するがまさかの二重パスワード設定になっていた。
「何かしらのヒントを残してるはずだ。とりあえず、適当に打って文字数を調べるか…」
稔はそのままパスワードを打った。
「五文字か…これはヒントなのか?」
入力し終わった後に出てきたのはパスワードを忘れた時ようの救済措置だ。
その文章には『私が最も好きで、最も嫌いな生物』と書かれていた。
「なんだこれ?なぞなぞか?」
「う~ん、全然わかんない」
由香と龍ヶ崎は一緒に考え込むが結局答えが浮かばなかった。
だが、三由栞はパソコンに向かいカタカタとパスワードを打っていく。
まるで答えがわかっているかのように。
三由栞がパスワードを打ち終えるとパソコンの画面がデスクトップ画面へと変わっていた。
「三由栞、どうしてわかったんだ?」
「昔、裕治から教えて貰ったのよ。この答えが人間だって」
そう、三由栞は打ったパスワードは人間=humanと英語表記で打ったのだ。
「なんで人間なの?」
「裕治は人間の持っている可能性が好きで人間の持っている強欲なところが嫌いって言ってた。まぁ、その後無欲の人間なんていないけどなって言って笑っていたけど」
そんな話をしているとパソコンからいきなり音楽が流れてきた。
「え、なになに?」
「電話だな、一応出てみるか」
稔は応答の文字をクリックした。
「Hello.UZ,Are you alive?」
アメリカ人だと思われる眼鏡をかけた男性がハイテンションで喋りかけてきた。
「英語か、My name is Minoru Kamishiro.I am UZ`s friend.He was killed in theaccident」
稔はすらすらと英語で会話をしだした。
「Really!?.はぁ~」
アメリカ人の男を思わずため息をついた。
「Can you speak Japanese?」
とっさに三由栞はアメリカ人に対して日本語で話すように呼び掛けた。
龍ヶ崎と由香は英語がさっぱりわからず、何を言っているか分からなかった。
「Oops,そうだね。日本語で話すべきだった。すまない、すまない」
三由栞の話を聞いた後にアメリカ人は流暢に日本語を話しだした。
「僕の名前は、ジェフ・ロビンソン。UZとは良い友人でありビジネスパートナーみたいなものだ。一応彼に日本語を教えて貰ったからある程度は分かるよ」
「なんでUZなの?」
由香がジェフに思わず呟いた。
「日本人の名前は発音するのが難しい。だから、僕たちの間ではUZと呼んでるんだ。というか一体そこに何人いるんだ?」
「4人です。さっき英語で話した男性は稔、で私は三由栞、質問したのは由香で、もう一人は龍ヶ崎っていう人よ」
全員パソコンのカメラに顔を向けた。
「ふむふむ。で、そんなUZの友達は、パソコンを開いて何をするきだ?」
「遺書はあなたのアドバイス?」
ジェフは遺書という言葉を聞き、少し思い悩んだ。
「一応アドバイスのつもりだったんだがまさかこのパソコンのパスワードを残すとは…」
ジェフは三由栞から裕治の遺書のこと聞き少し笑っていた。
「まぁ、とりあいず。ファイルを開いてみたら?」
「それがファイルの中に資料があったけど全部白紙なんだ」
稔はジェフと話しているときに裕治の作った資料を見ようかと思っていたが全ての資料がまるで消されたかのように真っ白だった。
「それはおかしいな。そこは一体どこなんだい?」
「裕治の実家よ」
三由栞はジェフに話すとジェフは少し思いつめた顔をした。
「なるほど、多分、資料は全部別のパソコンにあるのだろう。彼と話している時の背景はそんな部屋じゃないからね。彼のことだきっと何かしらのヒントを残していると思うよ」
4人ともまたヒント探しか、と思わずため息をついた。
「これは?」
稔はいじっていると一つだけ名前の違う資料に目がいった。
「なんかあったのか?」
龍ヶ崎もその資料を見るが他の資料と同様、何も書かれていない。
「ねぇ、ねぇ。ちょっと触っていい?」
「あぁ」
稔は由香にマウスを渡した。
「どうせ裕治のことだし、こーやったら何か出るでしょ」
右クリックをしながらマウスを動かすと青色の文字が現れた。
「「「・・・」」」
本当に文字が出てきたことに驚き思わず沈黙してしまった。
青色の文字はクリックすると別のファイルが開かれた。
そのファイルには一枚の写真だけが保存されていた。
「ん、何か出てきたのかい?」
ジェフが沈黙に気づいた。
「えっと、写真がでてきたよ。洋館ぽい建物が映ってる」
「ちょっと、その写真ファイルごと送ってくれないか?」
「はいは~い」
由香はそのファイルをジェフに送信した。
「これはその家から2時間ほどにあるようだね」
ジェフが確信したかのように言った。
「どうしてわかるんだ?」
4人とも写真を見ても特に変わったものは写ってはいなかった。
「マウスポインターをその洋館の扉に合わせたらマップが表記される仕組みのようだ。全くあいつがやりそうなことだ」
ジェフは少し呆れながら言った。
ジェフに言われ写真に写っている館の扉をクリックするとこの家からのナビゲートが表記された。
「まぁ、とりあいず向かって見ましょ。ジェフさん通信はどうしたらいい?」
「あぁ、それなら問題ない。もう着いたからね」
「着いた?」
ジェフの言葉を聞き4人とも不思議がっているとピンポーンと呼び鈴の音が聞こえて来た。
その音と共に窓を見てみるとさっきまで話をしていたジェフがそこにいた。
「さぁ、行こうか!let`s go !」
4人は驚きつつも、ジェフと共に地図に示された場所に向かっていくのだった。
次回から次章に戻ります。
良かったら、見ていってください。




