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男の子なのになぜか聖女と呼ばれてます...  作者: レーヴェ
3.王都誕生祭
33/94

閑話 メイドの過去

「はぁ、はぁ…」

 奴隷商人の馬車が魔物に襲われ、奴隷商人は魔物に喰われ、馬車の檻がボロボロになった隙を狙い裸足で森の中を走っていました。


 足から血が出ようとも私はその痛みに耐え必死に走り続けました。

 死にたくないその思いだけが私を繋ぎとめることができた。

 それでも血の匂いを頼り魔物は私に襲い掛かって来ました。


氷の矢(グラセ・アロー)

 

 アイラは突然の魔法の攻撃に驚いたが助かったという安心感を得て気絶してしまった。


 気づいたら私はベットにいました。


「ここは?」

「あら、起きたのね。もういきなり気絶しちゃうから魔法が当たったと思ったじゃない」

 ユリアはぷんぷんと少し頬を膨らませていた。


「私はユリア。ここは、私達の屋敷よ。少し待ってて食事を持ってくるわ」

 ユリアはそう言うと扉を開け急いで食堂の方に向かっていった。


 アイラは一人になった部屋を見渡した。

 綺麗で大きな部屋、埃一つ見当たらずただベットだけがある部屋だった。


「さぁ、ご飯にしましょう」

 ユリアはお盆を持ちながら笑顔で入って来た。

 

「はぁ、お前先走りすぎだぞ犯罪奴隷だったらどうするきだ?」

 アイラは男の声が聞こえ思わずびくついてしまった。


「大丈夫安心して彼は私の夫よ。こら、あなた怖がらせてどうするの!!」

「す、すまない。そんなつもりはなかったのだが。俺の名前はジギルだ。一応ここの領主をしている。君の名前を聞いてもいいか?」

 ジギルは少し慌てながら自己紹介を済ませ話題を変えてきた。


「私は…私はアイラ?」

 記憶が曖昧なのか少し考え込みながら答えた。

「まぁ、ご飯食べまっしょ。食べれる?」

 お盆をアイラのベットに置き、アイラはお粥を口に入れる。


「ごほっごほっ」

「だ、大丈夫」

 アイラがお粥を口に入れた瞬間にアイラは咽てしまった。


「このお粥お前が作ったのか?」

「い、いや~」

 とっさにジギルはそのお粥の中身を見るが異様に赤かった。


「はぁ~、一体何を入れたらこんな色になるんだ?」

 ジギルはあきれた顔をユリアに向ける。


「む、無理して食べなくてもいいからね」

 少し様子を伺いながらユリアは言った。


 ユリアはアイラの顔を覗き込むとアイラから涙がこぼれ落ちた。

 

 奴隷である者の食事は最低限の水と硬いパンとかだったので味のついた食べ物が相当美味しく感じたのだ。

 アイラはそんなお粥を飲むかのように食べた。


「ありがとう。ございました」

「なんであんなところにいたのか聞いていいか」

 ジギルはアイラに尋ねるがアイラは返事をしなかった。


「ジギル…」

「あっ、そうだな」

 ジギルはアイラの首の方に手を当て魔法を掛けた。


「!?」

 アイラの首にされていた奴隷の首輪をいとも簡単に()()したのだ。


 本来奴隷の首輪は奴隷商人の魔法により他人には一切解除することはできない。

 だが、魔法を使ったら無理やり首輪を破壊することができるが、首輪をつけている本人は外すことは出来ず、他人が外すにしても大量の魔力を必要とする。


「これで話しやすくなっただろ」

 アイラは思わず泣いてしまった。

  

「ゆっくりでいい。ゆっくりでいいから」

 ユリアはアイラに抱き着き子供を安心させるかのように背中を撫でながら言った。


 アイラは落ち着き何が起きたのか何故奴隷になったかを全て話した。


 アイラは母親によって奴隷商人に売られたのだ。


「安心しろ。ここの領地には奴隷制度はないし、奴隷商人の侵入も禁止しているからな。如何やらお前を乗せた馬車はこの領地を無理やりに回避した結果、あの森に入り込んだんだろう」

 ジギルは窓から見える森を指さした。


「見たところ、お前の年齢は5、6歳程度だろう。王都で勉強を受けることができるがどうする?」

 アイラは王都という言葉に嫌悪感を感じた。


「こ、ここで働かしてくれませんか?」

 アイラは二人に必死に訴えた。


「ジギル、ちょうどメイドがいなかったしいいんじゃない?」

「はぁ~、ではメイドとして雇うがある程度の読み書きは学んでもらうぞ」

「はっ、はい!」

 こうしてアイラはクロードウィル家のメイドとして働くこととなった。

 

 それから三年、私はユリア様に色々なことを学びました。

 魔法に読み書き、家事(料理以外)教わりました。


 元々、クロードウィル家の家事はユリア様一人で魔法で全て解決していた為、必要なかったらしい。 

 そんな、私も家事を一人でこなすぐらいに成長するとなんとユリア様に赤ちゃんができました。

 元々、夫妻の間には既に3人の子供がいるらしく長女のルミ様、長男のフラガ様に次男のアスト様がいらっしゃるらしいですが私はルミ様とフラガ様にあったことがございません。


 アスト様には一度だけ見かけたことがありますがお話することはありませんでした。

 

「う、動きました」

 アイラはユリアのお腹に耳を当て赤ん坊の蹴る音を聞いていた。


「もうすぐだな」

「えぇ、そうね」

 ベットの上で今か今かと期待をするが出産の時にあるハプニングが起こってしまう。


 出産の直前にユリアが病で倒れてしまったのだ。


「ユリア!ユリア!」

「い、医者を呼んで来ます!」

 アイラは町に走っていき医者を呼びに行った。


「ユリア」

 ジギルはユリアの手を強く握りしめていた。


「ふふ、痛いわよジギル」

「はぁ、はぁ。連れてきました」

 いきなりドアが開き医者を連れたアイラが現れるがユリアが再び苦しみだした。


「これは、出産が始まってます。急いでお湯を持って来てください」

 医者がユリアの異変に気づき、急いで出産の準備を済ませた。


「妻と子は?」

 ジギルは心配そうに医者に尋ねる。


「奥様の方は助かると思いますが、赤ちゃんの方は今の所分かりません…」

 ユリアに回復魔法をかけながら、医者が重苦しそうに答えた。


「うっっっ、あぁぁぁ。はぁ、はぁ」

「ゆっくり息をしてください」

 ユリアが声を上げついに出産が始まった。


 医者が必死に回復魔法をかけ、ユリアから赤ん坊が出てくる。


「はぁ、はぁ~、私達の赤ちゃんは?」

 普通、赤ん坊は胎内から出た後は大声で泣くが、その声が聞こえない。


 医者は無言で首を横に振り、三人から涙がこみ上がる。

 医者は赤ん坊が死んだと判断したのだ。


「おぎゃ、おぎゃ」

 そんな絶望に満ちた時、赤ん坊の声が屋敷に響く。


 それは奇跡としか言いようがなかった。

 

「奇跡…」

 アイラからそんな言葉がポロッとでた。


 ユリアとジギルは生き帰ったという奇跡に涙が零れた。


 私はこの光景は決して忘れないだろう。

 この奇跡の現場を決して…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 それから暫くして、赤ちゃんの名前がレオンに決まりました。


 ユリア様は暫くベットに寝込むようになりレオン様のお世話を任されました。


「は~い、レオン様おはようございます」

 寝起きのレオン様を揺らして起こそうとすると決まったその手を掴むような動きをしてきます。

 生まれて間もないですけど、やはり親の方がいいのでしょうか?


 私はそれからレオン様の食事の時間になったのでレオン様を連れユリア様の元へ連れて行く日々が日課になりました。


 レオン様に食事を上げているユリア様を見て正直少し、ユリア様が羨ましく思います。

 自分の胸を眺め私も出ないかな?と少し思ったりもします。


 半年ぐらい経った日、すごい出来事が起きました。

 なんと!レオン様が魔法を使ったのです。


 私はこのことを急いで二人(ジギル様とユリア様)に報告しに行きました。


 そんな出来事があってから3年ジギル様とユリア様の二人はレオン様を鍛えようと様々なことしました。

 ジギル様はレオン様にこの屋敷の外周を走らし体力をつけさせ、ユリア様は前の私のように魔法を教えるようになりました。


「はぁ、はぁ」

 屋敷の外周を走っていたレオンが屋敷の玄関で疲れはて大の字になっていた。


「お疲れ様です。レオン様」

 アイラはレオンにタオルを渡した。


「ありがとう、アイラさん」

 レオンはアイラからのタオルを受け取り笑顔を向ける。


 レオン様の笑顔は本当にずるいです。思わず頬を染めてしまいます。


「今日は確か買い物に行くんだっけ?」

「はい。お疲れのようでしたら翌日にしますが…」

「すぐ準備してくるよ」

 レオンはそのまま自室の方に戻っていく。


「さぁ、行きましょう」

「ユリア様も行くのですね」

「今日はたまたま予定が空いているので…」

 レオンは着替えを済まし、アイラとユリア、レオンの三人で買い物に出かけた。


「レオン様はいつもお着替えが早いですが何かコツでもあるのですか?」

 アイラはいつも覗こうと思ってもいつの間にか着替え終わってることに疑問も抱いていた。


「そ、それは~内緒です」

 町を手を繋ぎ歩きながらレオンが言った。

 

 私はまだ、町に出ることが少し苦手ですが、レオン様と一緒の買い物はとても楽しく苦手ということを忘れてしまいます。


「レオン様こんなご洋服どうでしょう?」

 アイラは女の子用の服をレオンに押し付ける。


 レオン様の見た目は髪が長いせいで女の子ぽい見た目をしておりユリア様もその姿を気に入りレオンの髪を切らずにいる。


「いいじゃない。レオン今すぐこれを着なさい拒否はないわ!」

 ユリアさえもレオンに着替えさせようとし、レオンは結局着替えさせられた。


「これで満足ですか?」

 レオンは頬を膨らまし少し怒り気味である。

 女の子ようのフリルの付いた服を着せられている。

 

「「うん(はい)、満足です」」

 アイラとユリアは嬉しそうに言った。


「はぁ~」

 レオンは思わずため息を吐いた。


 こんな日々が長く続くかと思いましたがレオン様が5歳になったので王都で勉強をすることになりました。


 2日経っただけでもいないと寂しく思いましたが買い物の途中レオン様の匂いに気づきユリア様を置いてその匂いに向かって走っていました。


「はぁ、はぁ、レオン様の匂いだ〜ぐへへ」

 私は思わずレオン様に飛びついていました。


 レオン様からここに来た理由を教えてもらいました。

 そのままレオン様は帰り際にレオン様の天使姿を見してもらいました。

 あれは凄いです。天使です!可愛さが限界突破しそうで思わず鼻血が出てしまいました。


 レオン様は再び王都に帰りましたが、すぐにここに帰ってこれるということを知り少し安心感を持ちました。


 次はいつ帰ってくるのでしょうか?

 帰って来るのが待ち遠しいです。


遅くなり申し訳ございません。

あれ、いつも謝っている気が…

遅くなったぶん、長めに書いています。

次回も閑話で裕治の転生した後の世界の話を書かして貰います。

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