27 ツクヨミ
時は少し遡る
十二時の鐘がなり音楽が鳴りやむ。
赤い光が差し込み、レオンの結界が消えていく。
「んっ」
「一体何が?」
レオンとルナリアの二人は思わず膝をついてしまう。
魔法が吸収され続けて立てなくなっていた。
「がはっ」
いきなり、レオンに激しい衝撃が襲って来た。
「レオン君‼」
ルナリアの声が聞こえるが何が起こったのかレオンは分からなかった。
一体何が起きたんだ?
レオンは思わず痛みがある場所を手で押さえた。
「まだ意識が飛んでいないとは、流石、あの忌々しい炎帝の息子だ。他の者達はとっくに意識がないとゆうのに」
そんな、聞き覚えがある声だったが誰だったか思い出せない。
わかるのはその声が男の声ということだけだ。
「うぐっ」
「所詮、炎帝の息子と言えど魔法が使えないとただのガキ同然だな」
レオンにまた激しい痛みが襲う。
今度は何かに切り付けられわき腹から血が流れ出る。
「本当に忌々しい。私の愛しいルナリアと戯れおって」
男はそう言うと何度もレオンを蹴りつけた。
「もうやめて!」
ルナリアは蹴られ続けるレオンを見てその男に対し叫んだ。
「まぁ、今はこの程度にしてあげますか、死なれたら困りますから」
男はレオンの手を持ち上げジギルの元へと近づく。
レオンは薄れる意識の中、最後に彼女の叫びを聞き意識を失ってしまった。
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僕はまた死ぬのかな?
折角、転生したのに…
もっと、この世界を見たかった、色々な人と出会い話をしたかった。
今度は誰も救えず死ぬのかな?
「かか、あそこまでされておいて、まだ他人のことを優先するのか?我にはわからぬな」
暗闇の中、少女の声が聞こえてきた。
誰だ?
「なんじゃ、忘れたのか?まぁ、よい。お主はここでされているのに何故他者を気に掛ける?」
人間が好きだから。ただ、それだけだよ。
「人間が好きだからか…お主の回答には少し嘘があるの」
嘘か…
人間は好きだ。大好きだけれど、大嫌いな生き物だよ。
「かか、面白い回答じゃな。今度は真実のようじゃな。やはり、其方は面白い人間じゃ」
少女の声のトーンが高くなりとても嬉しそうだった。
どこか聞いた覚えがある言葉遣いだった。
「いいじゃろ。お主を助けてやろう」
何故?
「ん?理由か、あやつらが儂の大好きな月を穢したからじゃよ」
そういうと、何処からともなくその声の主が現れた。
髪は月のように黄金色に輝き、子供のような体格をしている少女が…
「但し、お主の力を体を借りなければならぬがそれでもいいかの?」
暗闇だったその空間は彼女が現れた瞬間、明るくなった。
太陽のような明るさではなく、どこか優しく包み込むような光に…
僕の命で人が救えるなら是非使ってくれ。
「かか、即答か、まぁ命までは取らんよ。お主はゆっくり休んでおれ」
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「美しき月夜を穢けがした大罪人よ、自分の犯した罪を身を持って知れ、ツクヨミ」
呪文と共に辺りに眩しい光が会場内を包み込んだ。
眩しい光が収まると紫色の着物を着ており、手には細長い刀身をした刀を握っているレオンが立っていた。
「ほう、これは面白い化け物がいるようじゃな」
レオンの声だが口調が明らかに違う。
「はっ、早くこいつを殺せ」
我に帰ったディクは巨大な蜘蛛に魔力の吸収させるという目的を忘れ無我夢中に命令をした。
「かか、あの土蜘蛛がまさか人間のゆうことを聞くようになったか。傑作だな」
「私のことを一体何処でと聞きたいですが?まぁこれから死ぬことですし聞いても無駄ですね」
「この儂を殺すと面白い冗談じゃな」
土蜘蛛はレオンを踏みつぶそうとするがそんな攻撃は一切当たらなかった。
「何故当たらない?魔法は使えるはずが…」
紅い月の結界が発動している限り術者以外の対象は魔法を吸収され動けない状態にまで陥る。
そんな状況で動ける筈が…
土蜘蛛は驚きを隠せなかった。
そんな驚きをしている土蜘蛛を無視するようにレオンは刀を紅い月に向け振りかざす。
「馬鹿な、五芒星を使った結界魔法が壊れるなんて」
五芒星は魔法陣の一つ、五つの置物を置き中心に魔力を集め、始めて効力を発揮する。
その魔法を解くためには置物壊すことのみだが、レオンはそんなことを関係なしに結界魔法を壊した。
「あぁ、この光じゃ。下界に降りるのは久しぶりじゃからのう」
レオンは手を広げ月の光を迎えるような体制をした。
月の光が当たったとき、レオンの傷口は何もなかったようにふさがっていった。
「さぁ、月を穢した大罪人よ覚悟はできているか?」
レオンは刀を横に振りかざすと土蜘蛛の足を一本切った。
「あぁぁぁ」
土蜘蛛は何が起きたか一切分からなかった。
レオンとの距離があったにも関わらず剣を振りかざしただけで足が切られていた。
「何をしている‼紅い月の結界魔法を壊したとしても魔力は回復していないはずだ、さっさと殺せ‼」
ディクは命令をするが土蜘蛛は動けないでいた。
「魔力が回復していないか…お主はこの状況を見て言ってるとしたら相当の馬鹿じゃな」
レオンはディクを馬鹿にし嘲笑う。
「宵闇」
レオンのその言葉と共にレオンの姿が見えなくなった。
「お主は一つ間違えておる。確かに儂は魔力はほとんどなかったが、そんなもの既に回復しとるわ」
何処からともかくレオンの声だけが聞こえてきた。
レオン(ツクヨミ)の効果は月がある限り魔力が回復しあらゆる傷が治るようになる。
だが、朝にはこの効果が使えなく、月が見えない雨の時もこの効果は使えない。
「幻月」
その呪文と共にレオンは現れたがレオンは二人に増えていた。
「「さぁ、ちょいと遊ぶとするかの?」」
投稿が遅れて申し訳ございません。
今回は長めに書いてみたのでそれで勘弁してください。
コメントや誤字訂正報告をしてくれた方々大変ありがとうございます。
好きなキャラなどがいる場合感想をくれたら閑話で書こうと思います。
良かったら次回も見ていってください。




