26 紅い月
あと少し、あと少しで、この国が一夜にして滅ぶ時が...
「くっ、思ったより早い」
「ふふ、先程の勢いはどうされましたか?炎帝様」
二人の激しい戦闘は長時間続いていた。
巨大な蜘蛛の体とは思えない早い動き、一撃を貰ったら骨折は間逃れないぐらいの攻撃力、相手に近づこうにも近づけない状態に陥っていた。
それは相手も同じだった、一度でも切られて仕舞えば灰になるまで燃え続ける。
そのため、相手も容易に近づけなかった。
そんな戦いの中、パーティーの終わり12時の鐘が鳴り響く。
「ふふ、どうやらあなたの負けのようですね。炎帝様」
「どうゆう意味だ?」
そんな質問を問いかけるとレオンの張っていた結界が突然消えた。
会場にいた者たちが次々と倒れていく。
そんなことに目を向けているといつのまにかジギルの結界魔法も消えていた。
「魔力が抜けていく⁉︎」
会場の光が消え月の光のみ差し込むがその景色は赤かった。
空にあったのはいつもの月ではなく、まるで血に染められたような紅い月がそこにはあった。
「月が赤い…」
「やっと、お気づきになりましたか?綺麗でしょ。美しいでしょ。この紅い月はこの国全体に張られた巨大の結界魔法、魔法もこの結界魔法に吸収されているあなたでは何もできないでしょ?」
魔法が吸われ続けてジギルは思わず跪いてしまった。
「さすがの炎帝様も魔法が使えなきゃ何もできないですか?」
「くっ」
ジギルの体にけだるさと重さが急にかかる。
「お前の目的はなんだ?」
「目的といわれましても魔物がやる行為なんて一つでしょ?魔王の復活ただそれだけを私は望んでいるのですよ。この結界はいわば復活のための儀式のようなものです。人々から魔力を奪い一か所に集め、人々の血肉を生贄にとして復活させる。それが私の目的ですよ」
巨大な蜘蛛は笑っているかのように答えた。
「そんなことはどうでもいい。さっさとそやつを殺せ」
そんな男の声が聞こえジギルが振り向く。
「!!」
ジギルに目に映ったのは最初に話しかけてきたディク伯爵だった。
それ以前にジギルが驚いているのはディクの手によって持ち上げられた血まみれのレオンの姿だった。
レオンの体には打撲痕が多くあった。
生きているのはわかるがその弱々しい呼吸をしていた。
「貴様!よくも!」
「落ち着けい、ジギル」
そんなケーニヒの声でジギルは冷静を取り戻した
「いやいや、すまない田舎の貴族、この者が我が愛しいルナリアと戯れていたので思わずね」
ディクは笑い声と共にレオンをごみのように投げ捨てる。
「レオンしっかりしろ!!」
「あらあら、炎帝様は自分の心配をした方がいいですよ。我が愛しの子を殺した罪は大きいですよ」
ジギル達の目に映るの絶望の文字だけだった。
そんな中、血まみれの体で起き上がる者が一人いた。
「やめろ、レオンこれ以上動くな」
そんな、ジギルの声が聞こえてないのかレオンは誰かに操られているかのように詠唱した。
「美しき月夜を穢した大罪人よ、自分の犯した罪を身を持って知れ、ツクヨミ」
呪文と共に辺りに眩しい光が会場内を包み込んだ。




