23 桜の宴会
桜花の刃によって蜘蛛の巣を消された者は焦り始めていた。
(このまま失敗なんてさせるものか、こうなれば人質を取ってやるしない。)
「その考えはやめた方がいいと思うぞ」
その声に犯人は思わず驚いてしまう。
犯人は恐る恐る後ろを振り返るとそこには王様とジギルが立っていた。
ことの経緯を簡単に説明しよう。
『ルナリア様、あそこで上の方を向いている人の心を読んで下さい』
『どうしてそれを⁉︎』
『ふっ、やはり気づいてしまったか。一応言っておくがレオンよ、このことは他言無用で頼む』
『それはもちろんです陛下。隠していた理由も察しはつきますし。あ、気づいた理由としては階段を降りたらとき、僕の顔を見てみて驚き、怯えていたので瞳の色の違いを見破られて怯えていたのかと...』
ルナリアはその解説は聞いて驚くばかりだった。
『そして何より陛下が近づいて来るタイミングがあまりにも良かったものですから、思考伝達でルナリア様と連絡を取り、自分の善悪を確かめるために近づいて来たのかと』
レオンのその鋭い観察力と推理力で引き出された解答は否定できないほど完璧であった。
思考伝達は思考を相手と受け答えできる魔法だが、ルナリアの魔眼は見た者の対象の心を読み取ることができるものとなっている。
それ故に、1番厄介な魔眼とも言えてしまう。
考えている情報という物が全て筒抜けになってしまうということがもし、悪巧みを考えている連中にばれてしまったら必然的に狙われる運命にあるのは確かなことだからだ。
だから、ケーニヒ王はルナリアの瞳の危険性を知り、瞳の色に偽装を施した。
『そんな事より、ルナリア様、端の方で上を向いているメイドの心を読んでください』
『何故?あのメイドを?』
ルナリアは言われた通り、レオンの指摘したメイドを見た。
『桜を出した時に、上の方を見ていたので』
『なるほど、ルナリア頼むぞ、被害が出ないうちに』
『は、はいお父様』
(ちっ、一体どうなっているんだ?せっかく準備をして来たのに台無しだ、あの魔法が原因なのか?)
『ルナリアよ、なんて言っていた?』
『せっかく準備をして来たのに台無しと』
『ふむ、ジギル、お前はなるべくそのメイドの近くに行ってくれ。』
ある程度の作戦を考えるが、この会場の人の多さで被害者が出る可能性は高い。
『お父様、先程の方が人質を取ると』
『陛下、私達の近くにいる客は私が責任を持って守りますので安心した下さい。相手が行動を起こす前に早急に対処した方が適切です。』
『ふむ、では会場の客は任せたぞ』
レオンはその返答にニヤリと笑い魔法の構築を始める。
「さぁ、さぁ皆様観てるばかりではなく一緒に踊りましょう。今宵は宴ですから」
レオンの一言で皆会場の中心に集まり、レオンは全員集まったのを確認してから夜桜から結界魔法の千本桜を張った。
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「何か御用でございますか?」
「そうだな、上の蜘蛛の巣はお前が張ったのか?」
メイドは思わずビクつく。
「どうやら、図星のようだな」
「はぁ〜、まさかあの糸が、見える者が居たとは驚きですね。まぁ、ちょうど王様がいることですし、観客からもあのように見えないようですしね」
メイドは観念したように語り出す。
千本桜の結界により、パーティー会場の客は全員結界内にいるため容易に手が出せない状態になっており、桜の花びらにより見えなくなっていた。
千本桜の中では今でもパーティーが続いている状態で誰一人とも結界内だと分からない状態だった。
例え結界の外が騒がしくても、会場に鳴り響く曲にかき消されている状態だ。
「さて、あやつの魔力が尽きる前にやるとするか」
「そうだな、久しぶりの2人パーティーだな」
ジギルとケーニヒは顔を見合わせ神具を顕現させる。
「業火に焼かれし剣よ。その炎で何もかも焼き尽くせ、炎帝の剣」
「その光は闇を打ち消し、その光は全て包む、我が道を明るく照らせ光王の剣」
ジギルの剣は激しく燃え上がり、ケーニヒの剣は光輝く。
「「さぁ、覚悟はいいか?(できるか?)」」
二人は剣を前に突き出し、メイドに向け言った。
遅くなってしまい申し訳ございません。
次はなるべく早く出せるように頑張ります。
誤字報告をしていただいた方々本当にありがとうございます。
最近見直す時間がなく、できたら即投稿してしまっているので本当に助かります。
次回も楽しみにしてください




