21 蜘蛛の糸
「あれがこの国の第三王女、ルナリア・フィン・フライハイト様だ」
そんな説明をしているとまた男性が近寄って来た。
「久しいな、ジギル辺境伯」
「これは!ケーニヒ陛下」
これがこの国の王様やけに若く見えるというか若い。
ケーニヒは赤い服装をしておりどこか高級感が漂う服装だ。
なぜか、ジギルと随分としたしそうだ。
「はら、挨拶しなさい」
「はい、レオン・クロードウィルと申します」
そんなやり取りをしていると後からルナリアがやってきてケーニヒの背後に隠れた。
「る、ルナリアです」
ルナリアは勢いよくがちがちでお辞儀をした。
そしてなによりなにより彼女は何故か怯えていた。
「レオン・クロードウィルと申します。よろしくお願いしますねルナリア様」
一応、これ以上怯えささないように精一杯の笑顔を向けた。
『ジギル、お前ルナリアの瞳はどのように見える?』
ジギルとレオンは突然のことで驚いてしまった。
『そう驚くでない、ただの思考伝達だ。ちなみにこの魔法はお前たちとルナリアにかけている。あまり顔にだすなよ。でだ、ジギルさっきの質問に答えてくれ。頭の中で考えるだけで話せるからそれで頼む。』
「息災でなによりだ。さて私は別の所にも顔を出さないとな。これにて失礼するよ」
そういうと魔法をかけたままケーニヒは離れていった。
表情を一切変えず、考えていることと違う行動を取るのは難しい。
例えるなら、テレビを見ながら包丁で野菜を切っているのと変わらないことだ。
レオンは器用な人だなと感心しながら先程の質問の意味を考えた。
『先ほどの答えですが、私は黄色の瞳に見えました』
『うむ』
レオンはジギルの回答に驚いた。
レオンの目には確かにオッドアイにしか見えないからだ。
『次にレオンお前どうのように見える?』
『黄色と青色の瞳に見えました...』
先程と逆に今度はジギルが驚いた。
『なるほど、ルナリアお前はしばらくレオンの近くにいなさい。レオンはルナリアを警護してくれ。これは王命だ』
『それはやはり襲撃の恐れがあるからですか?』
レオンは冷静を装いながら質問した。
『やはりジギルも気づいていたか...そうだ、それにお前は相当魔力量が多い筈だからな。あと先程の戦いは私も見ていたからな』
『先程の戦い?』
『氷帝とされている現在の国家騎士ルミとの戦いだよ』
レオンは咄嗟に観てたのかよとツッコミをグッと抑えた。
(1人見ている人は気づいているけど王様も見ていたなんて…)
レオンは心の中で思った。
「はぁ〜」
レオンは思わずため息をついた。
『わかりました。ルナリア様は私が守ります。よろしくお願いしますねルナリア様』
『は、はい』
ルナリアは相変わらず怯えているのか少し遅れて返事をした。
(どうにかして安心させないとなぁ〜あの手でいってみるか)
『私とジギルで警戒にあたるようにはしておく』
『という事だ、レオン頼んだぞ』
『わかりました』
王様はその後、思考伝達を解いた。
「ぷはぁ、さてと」
レオンは手に持った飲み物を一気に飲み干し、出来る限りルナリアの近くに移動した。
「ん?なんだこれは?て、ただの糸か、でも何かネバネバする」
レオンはルナリアの近くに行く途中に地面にきらりと光った細長い糸を見つけた。
「蜘蛛の糸か、何でこんな所に」
(掃除が行き届いていないのだろうか?いや、それはないか、パーティーが行われるのがわかってて掃除ミスという事はないだろう。)
そう考えるとレオンは辺りを見回し他にも糸がないか探してみたら天井に無数に張り巡らされた蜘蛛の巣がそこにはあった。
「これは⁉︎」
レオンは蜘蛛の巣に驚き思わず声が出てしまった。
(待てこの量を他の人が見ていないのはおかしい)
レオンはそんな事を考えると先程の王様とのルナリアの瞳についての質問を思い出した。
魔力量の差で見え方が違うこと…
「これはどうにかしないとまずいな…」
誤字や感想などあれば気軽に報告してくれたら幸いです。




