19 コノハナサクヤヒメ
短めになってしまいました。
すみません次回はできるだけ長めにしてみます。
「さぁ、戦いの続きと行こうか」
レオンは本を開きながら笑顔で言った。
「我は桜人なり、桜と共に戦う力を我に授け給え、コノハナサクヤヒメ」
レオンは詠唱をした後、レオンの本から桜色の刀剣が現れた。
未だ、氷の世界の影響で桜は凍ったままだが武器が手に入ったことにより体制を立て直した。
「すごい、あの隊長にここまでやりあってるとは…」
そう驚くのは審判役の女騎士だ。
まだ幼い子供があそこまで激しい剣技を繰り広げていることに…
「はぁ!」
「くっ」
ルミはレオンの剣技に押され気味となっていた。
(まさか、ここまでの強さとは…)
ルミはレオンの強さに戸惑っていた。
レオンはそんな戸惑いに気づかず怒涛に剣を振りかざす。
その剣技はまるで踊っているような動きだった。
剣舞、言葉で表すならそれが一番しっくりくるだろう。
(確かに剣技で優位に立っているが勝負を決める決定打が見つからない…)
レオンはそんなことを考えていると剣に暖かみを感じた。
(これは?コノハナサクヤヒメが何かを伝えようとしているのか?)
レオンは剣を見つめながら考え込んだ。
(そういえばコノハナサクヤヒメの伝承に…)
レオンは何かに気づいたように剣を前に突き立て詠唱した。
「咲き開け、業火の中で負けぬほどに、桜火」
レオンはが詠唱し終わると凍り付いていた桜から炎が上がる。
その炎が氷をみるみる溶かしていった。
「何!」
ルミは桜が燃え始めたことに戸惑いを隠せない。
コノハナサクヤヒメの伝承の中で産屋に火を放たれても彼女はその中で必死に三人の子を産んだ伝承がある。
すなわち、コノハナサクヤヒメは火の性質を持っていることとなる。
「はぁ!」
さらに勢いがついたレオンはルミに剣を振りかざす。
ルミも反射的に剣を交えるが剣同士が触れた瞬間レオンが消えた。
氷が溶けたことにより千本桜の能力が使えるようになった。
レオンは別方向から次々と剣を振りかざす。
「舐めるな!」
ルミは自分の周りに鋭く尖った氷を出しレオンを貫いた。
ルミが貫いた分身は桜の花びらになり視界を一瞬だけ隙ができた。
レオンはルミの動きに気づき分身だけを攻撃に回していたのだ。
「吹きと飛べ、衝撃波」
レオンは至近距離までルミに近づいて放った一撃は体が吹き飛ぶほど強烈なものだった。
「うっ!」
ルミはその一撃をまともにくらい、そして倒れてしまった。
「しょ、勝者レオン」
審判の女騎士は少し驚きながら勝負の終わりを告げるのだった。
「はぁ、はぁ。もう無理…」
レオンも魔力を使い果て倒れてしまった。
レオンの結界魔法が次々と消えていき元の庭に戻っていった。
そんな激しい戦いを城から傍観していた少女が一人
「すごい、綺麗」
金色に輝く髪を持つ少女はレオンの結界魔法に見惚れて思わず声に出てしまった。
散り行く桜の花びらが舞うその景色に見惚れた。
城という狭苦しい空間からは決して見えないその景色に…
あの子が…
私と同じくらいかな?
会って話しをしてみたい、もう一度あの景色を見てみたい。
少女はそんな思いでいっぱいだった。
「パーティーで会えたらいいなぁ~」
少女はそんなことを言いながら自分の部屋に戻っていった。




