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男の子なのになぜか聖女と呼ばれてます...  作者: レーヴェ
3.王都誕生祭
20/94

18 レオンの姉

「さて、着いたな。レオン降りるぞ」

「はーい」

ジギルとレオンは馬車から降り、ジギルに連れられ何故か訓練所の方に歩いていった。


「お父様、何故訓練場に?」

「あぁ、実は」

ジギルが説明しようとしたとき遠くから声が聞こえた。


「お待ちしておりました。お父様」

白い鎧を身に着けたレオンの母親ユリアに似た髪色を持つ女性だった。


「お父様、呼ぶということは…」

「あぁ、お前の姉であるルミだ」

ジギルが答えた。


「白薔薇騎士団所属、隊長のルミ・クロードウィルだ。よろしく頼む」

ルミが笑顔で答えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

訓練所にて


「「「「「はぁ!やぁ!」」」」」

騎士たちが剣を振り、掛け声をあげていた。


まぁ、騎士と言っても全員女性だった。

いわゆる女性騎士団らしい。


「す、すごい、迫力ですね」

レオンは女性騎士団の圧におされていた。


「ん!皆、訓練やめ」

ルミに気づきその言葉に皆、訓練を止めた。


「おかえりなさいませ、ルミ隊長」

女騎士たちは皆、敬礼をしている。


「うむ、私に気にせず訓練を続けろ」

「はっ!」

ルミがそう言うと女騎士たちはまた訓練を再開した。


「いい団だな。皆よく鍛えられている」

「ありがとうございます。お父様」

ルミはジギルに褒められて少し喜んでいる。


「まぁここに早く着くようにした理由だな」

「ルミお姉様に会うためですか?」

「そうだ。お前のことについて手紙でやり取りしているうちにルミが早く会いたがったらしくてな」

一体何を書いたんだ嫌な予感しかしない…


「まぁ、そういうことでお前については色々聞いている。お父様と戦って勝っている事とかな。」

レオンはさらに、嫌な予感が増したような気がした。


「と、いう事でお前には私と戦ってもらう」

(やっぱり、そうなるか...)

レオンはため息をつきながら強制的にルミと戦うこととなるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戦うと言うことで訓練所の広い庭でやることとなった。

そして何故か審判がさっきまで訓練していた女性騎士が仕切ることのなった。


「まぁ、服は汚れても破れても魔法でもとに戻せるから安心しろ」

安心する所がそこじゃない気が…

レオンはそんなことを思いながら、準備運動をしていた。


「では、一応試合の説明をする。お互い死に至るダメージを与えないこと、相手が降参した場合と気絶した場合、終了とする。両者共魔法の使用と神具の使用を許可する実戦形式で行う。万が一大きな怪我をしても我が団所属の魔法医師がいるため治してくれるから安心して大丈夫だ。」

審判役の騎士は中央から離れ安全圏内に移動する。


「では、試合開始!」

そういった途端凄まじい風が吹く。


先制いきなりルミが神具の剣で切りつけてきた。

それをレオンは同じく神具である魔導書に強化魔法を掛け、防いだ。


「いきなり切りつけて来るとは思いませんでしたよ」

「ふっ、良く防いだな」

戦いが始まった瞬間にさっきまでとは別人みたいに冷徹さがにじみ出た。

ルミの持っている白い剣の神具から微かだが冷気を感じる。

その冷気によって少しだが魔導書が凍った。

レオンは冷静にルミとの距離を取った。


「氷の剣ですか?」

「正解だ。氷の剣(リオート・スパーダ)だ。触れたものを凍らせることができる。こんな風にな!」

ルミは剣を地面に突き刺し地面を凍らせた。


「しまった!」

レオンは少し反応が遅れたせいで足まで凍ってしまった。


「ふっ、貰った」

ルミが地面に刺した剣を抜きレオンに向かって来る。


「咲き誇れ千本桜」

レオンはジギルとの対戦に使った結界魔法を発動させた。

ルミが剣を振り下ろしたがそこには桜の花びらが舞いレオンの姿が消えた。


「結界での幻影か…桜の世界、確かにこの幻影はやっかいだが、これでは私には到底及ばないな」

ルミはそういうと剣をまた地面に突き刺し詠唱を始めた。

レオンはチャンスかと思うがいつさっきみたいに凍らされるかわからないため、また距離を取っていた。


「春の訪れはまだ来ないようだ。凍り付け氷の世界(グラセ・ヴェルト)

その詠唱を唱えた瞬間、レオンが作った幻影の世界・千本桜が全て凍り付いてしまった。

そして、氷でできた花が咲く。


これはルミが考えた結界魔法、何もかもが氷でできており、息さえ氷ついてしまうそんな世界を…


「氷の世界…」

桜を散らしながら戦うレオンの戦法ができなくなってしまった。

今現在息をするのもつらいマイナスの世界、体感だけでもマイナス40度はある。

魔法で体温は維持できているがここからどうやって巻き返すかを考える時間がない。


「はぁ!」

氷の世界で勢いがついたルミは連撃をくりだす。

レオンは無理やりよけるが地面の氷のせいでこけてしまった。


「もらった!」

ルミはレオンの隙をついて剣を振り下ろした。

剣はレオンの体に突き刺さったがその瞬間パリンと割れてしまった。


「これは!」

ルミが切りつけたのは氷だった。

レオンは光魔法を使い自身の姿を氷に映したのだ。


「まさか、私の結界魔法をも利用するとはな、だが、お前の位置はすぐにわかる」

氷の世界のせいで呼吸をしただけで白い息で場所がばれてしまう。

光魔法での投影は少しの時間稼ぎにしかならなかった。


「はぁ、はぁ」

躱すのに精一杯のレオンは疲れ切っている。

氷の足場、この気温のせいで魔力と体力が減っていく。


少し魔力を使うが水と火の混合魔法でお湯を作りそれを風に乗せ一気に広がらせる。

すると白い煙、通称お湯花火という現象が起こる。


この現象はマイナス25度以下でできる現象で、南極、日本なら十勝地方や富士山の山頂付近で見れることができる。


お湯を空中に勢いよく放り投げるだけで白い煙は発生する。


(さて、この間に勝つ手段を考えないと)

レオンは凍った桜の方に目を向けた。


(結界自体は破壊されてないのか、あとは武器だな。これを如何にかしないと…)

レオンは魔導書を開き、詠唱を始めた。

(これが勝てる手段かもしれない、イメージを浮かべろ桜の神様・()()()()()()()()()を)


「ち、吹き飛ばせ風よ(ヴァント)

ルミの風魔法によりレオンが作った白い煙が吹き飛ばされた。


「さぁ、戦いの続きと行こうか」

レオンは本を開きながら笑顔で言った。

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