1 プロローグは突然に
気がついたら真っ白い空間にいた
何も見えずただただ眩しいくらいに白い空間に...
ここがどこか分からず彷徨い続ける
やがて疲れ果てると目の前にドアがあった
「全く探し回ったわい」
そんな声が聞こえるとドアからガチャリと音がして、某有名な魔法学校の校長先生みたいな立派な髭のおじいさんがいた。
「ほれ、何をぼーーとしておる。さっさと中へ入らんか」
「わ、分かりました」
言われるがまま、ドアの中へ入っていった
「まずはどこから話そうかの?」
髭を弄り始めたらから自分から話題を出した方がいいのかな?
「えっと、ここは一体どこなんですか?」
「ここはまぁ神界というところじゃ」
「と、言うことはあなたは神様ということでいいんですか?」
「うむ、その判断で正しいぞ。儂は創造神じゃ。」
神様がいないと思っていたがこうも目の前にいると信じるしかないな。
「で、どうして僕はここにいるんでしょうか?」
「ん?なんじゃ記憶が飛んであるのか?」
「えぇ、そのようです」
「うむ、さて、どうしたものか、すごく端的にいうと其方は死んだのじゃ」
創造神は渋々裕治に事の顛末を話し始めた。
自分はトラックに轢かれそうになっていた女の子を助けて死んだそうだ。
話を渋っていたのは死んだという事のショックが大きくなり僕に負担がかかると思ったからだそうだ。
で、その助けた女の子は神社の子いわゆる巫女さんらしい。
創造神曰く、自分たちの世界はほとんど神によって作られおり、皆神の子という事になる。
その証拠が血の色らしい。
ある程度の生き物の血の色は赤、これは創造神自ら作り出した生き物という事で、他の血の色はまた別の神によって作られたらしい。
そして巫女や神父、まぁ神を信仰している人達は神の血が濃い者たちだそうだ。
そして女の子は創造神に死んだ僕をどうにかして欲しく必至に祈りを捧げていたそうだ。
「ちなみにその女の子はここにおる。あって話がしたかったそうじゃから、寝ている時に精神だけここにある状態じゃ。現実ではぐっすり寝ているがの。すまないが話を聞いたってはくれないか。」
まぁ断る理由もないし、僕は快く受け入れた。
頷いた瞬間突然視界が眩しくなると女の子が現れた。
「うぇーーん。お兄ちゃんごめんなさいーーーー」
会えた事に泣いているのではなく、死なせてしまった事に大号泣していた。
「ほ、ほら泣かないで。泣いたら君を助けた意味もないでしょ。」
子供には慣れている、こういった慰める事も医者には必須なものだからだ。
頭を撫でていたらようやく落ち着いてきたようだ。
「私を恨んでないの?」
「恨んでない、恨んでない。寧ろ君が生きていて良かったと思っているよ。だから、ほら泣き止んでね。」
裕治がそういうと少女は鼻をすすり、泣き止んだ。
「まだごめんなさいって思ってる?」
「うん」
「ならお兄ちゃんと約束してくれ、僕の分まで幸せに生きることいいね!」
小指を出し指切りをした。
少女は頷き、笑顔を残し消えて行った。
「ごほん、では其方の処遇なのじゃが異世界に転生させようと思うておる。其方のいる世界で転生させることは世に混乱をもたらすからのぅ」
「そうですか...」
「やはり少し後悔しておるのか?」
「いや、生きていたら生き物は死ぬものだし、遺書なんかももう何枚も書いてあるから後悔はしていない、寧ろ人を助けるために死んだなら尚更後悔なんてしない。」
「そうか、まぁ転生してすぐに死なれても困ることじゃし少しぐらいサービスするかのぅ。」
創造神の手から光の玉が出てきて自分の体の中に入って行った。
「使い方は転生した後にわかるじゃろうに、あちらの世界では魔法の方が発展しておる。
もう一度、人を助けたいと思う其方の気持ちを尊重し、回復魔法そして、神々の加護を其方に授けた。
あっちの世界では楽しく生きてくれたまえ。」
創造神はそう言い残し僕は異世界へ旅だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神々の会話
全く苦労したわい、可愛い孫のためにあちこち探し回ったりと...
そういえばあやつもう遺書書いてあるとか言っておったのう、あやつの履歴を見ておこうかの。
「ちょっと創造神一体何をしたの?」
創造神の目の前に現れた黒いローブを着て、鎌を持っている者、死と生を司る神 死神が...
「なーに、孫に頼まれたから、ちょっと転生させたんじゃよ」
「それー、絶対それのせいだよ。」
「どうしたんじゃ一体?」
「そいつがいた世界、急速に医療が発展していってるんだよ。そのせいで寿命を記していた本がめちゃくちゃに...」
「そんな馬鹿なことがあるか、たった一人でそこまで医療を発展させることなんて不可能じゃ。しかも其奴は事故で死んで...」
あやつの言っていた後悔と遺書もしや...
創造神は思い出したかのように如月 裕治の情報を見だした。
世界を大きく変えた医学論文、世界のメディアにも大きく賞賛され、医療会の神子と書かれていた。
特にメディアが注目していたのは彼の医療器具の開発案件だ。
不治の病の解決策に対して多くの書類を残した。
あやつの遺書もしかして、医学に関しての資料か!
病は邪神が残したものじゃが不治の病は、邪神の力が強く神々達が寄り添ってやっと治るようなもののはずじゃが、それを治したというのか!
「ウルズルちょっと来てくれんか」
「はぁーい、なんのごようでふか?」
「寝ぼけてる場合じゃない、ちょっと如月裕治の運命を全て見してくれ」
「分かりました」
目を擦りながら手に持ち出した水晶玉で彼が死ぬことのない運命を見た。
時女神・ウルズルまたの名はウルズ、時を操る力ではなくその人の運命を見せる力を持っている
時を操るのはウルズルを含めた三人の女神が集って始めてできるものだそうだ。
儂、もしかしてとんでもないことをしたのでは、創造神は後になって酷く後悔するのだった。