14 天使と呼ばれました
「はぁ、食べた食べた」
「美味しかった〜」
「ん!ん!」
「ジギルさん、美味しかったですよ」
ジギルさんは料理も担当している。
まぁ、たった2人でこの屋敷を管理しているのはとてもすごいことだな。
「もぐもぐ」
リーシャ、僕たちが食べ終わってもなお、食べ続けている。
まぁ、仕方ないといえば仕方ないが…
「今日から祭りだが、少し予定が入り、明日の朝から周ることになるが、皆それでいいか?」
「「えぇ〜(んん〜)」」
ミュウとリアムは少しがっかりしていたがマリーだけは下を向いて俯いていた。
「マリー、あとでちょっとバルコニー来てくれないかな?」
「う、うん。わかった。」
いきなりの誘いにマリーは焦った。
「ん?何するの?」
ミュウがレオンの袖を引っ張りながら言った。
「まぁ、来たかったら来てもいいが、見るだけになるぞ」
結局のところ皆、レオンのやる事に興味を持ち、全員バルコニーに集まるのだった。
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バルコニーにて
「さて、やるか、プロローグ」
レオンの前に一冊の魔道書が現れる。
「それがお前の神具か...」
ジギルはレオンの神具を見て驚いていた。
普通、魔法使いなら魔法の杖などをイメージするが、それが魔道書という事に驚いていた。
そして何より、祝福を受けて間もないのに、すぐに顕現させる事に驚いている。
「神よ、我に飛翔の奇跡を授け給え、天使の力」
唱え終わると、レオンの背中に白い翼が生えていた。
レオンのその姿は天使といえるものだった。
そして、レオンの持っていた神具は消えてしまった。
そう、レオンの神具は現在、天使の羽となっているのだ。
この前、冒険者を治した時に現れた蜃気楼の木あれは魔道書の神具が変わったものだ。
あの木が現れた途端に魔道書が消えた事がヒントとなった。
レオンの神具はイメージによって変わることができる神具ということだ。
「綺麗...」
マリーだけが感想を残し、他の人はただその姿に驚いていた。
「また、オリジナル魔法か...魔力は持つのか?」
「大丈夫、リーシャに大量に魔力を貰ってきたから」
レオンは笑顔で言った。
昼食を取る前の事
ジキルさんに呼ばれ、まだ庭のハンモックで寝ていたリーシャを起こしていた。
「リーシャさん起きて昼食だよ。」
「ん〜ん、お姉ちゃんと呼んだら起きる。」
チラッチラッと目を開き訴えかけてくる。
「起きてるじゃないか、お姉ちゃんと呼ばれて欲しいならお姉ちゃんらしい行動をしてよ...そうだ、なら魔力くれるなら考えてもいいよ。」
「え!ほんと?」
ものすごい反応し、リーシャはハンモックから飛び起きた。
一体どれだけ呼ばれたいんだ?
「どうぞ、私の魔力を吸い尽くしなさい」
リーシャは胸を張りながら言った。
そんな感じのやり取りでお姉ちゃんと呼ぶ条件のもと魔力を頂いたのであった。
ちなみにリーシャは近くにいるが少しやつれて今でも倒れそうだだったが、天使の姿に反応して大興奮している。
「さぁ、マリー行くよ。」
「い、行くってどこに?」
「そんなの決まってるでしょ」
そう言うとレオンはマリーの背後に周りマリーに抱きつき空へ飛んで行った。
「行ってきまーす」
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
マリーの叫びは空の彼方まで届くのだった。
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上空にて
「あ、一応と、我が身を光の衣で隠し給え、透明」
レオン達に薄い膜が現れた。
騒がれたら面倒だし、一応やっとかないと...
すでに下でちょこっと騒ぎになっているが気にしたら負けな気がする。
「天使様だ」「天使様よ」「この国を祝いにきてくれたのじゃ」
《称号》天使と呼ばれ者を獲得
(い、いらね)
こうしてまた不名誉な称号を手に入れたのであった。
マリーは相変わらずぷるぷると震えている。
まぁ、いきなり上空に飛んだし無理ないか...
「マリー、そろそろ慣れてよ」
「む、無理。怖くて目開けれない」
マリーはそういうと、より一層レオンに強くしがみつく。
「痛い、痛い。ちょっと強く握りすぎ」
「だ、だって〜」
「まぁ、まぁそんな事は置いといて目を開けてごらん、すごく綺麗だよ。」
そう言うとマリーはゆっくりと目を開けた。
その景色は、空を飛ぶ事が出来る者にしか見えない景色…
青空が広がり、前の世界の様に高層ビルなどがなく、下には緑が広がっている景色だ。
「綺麗」
ぽつりとマリーが呟いた。
「結局今どこに向かってるの?」
「クロードウェル辺境地、君のお父さんのところだよ。」
「え?」というマリーの声と共に魔力を使いさらに速度を上げていく。




