0 聖女と呼ばないで
寒い日の夜
「聖女様どうか私の子をお救いくださいませ」
子供を背負いながら痩せ細った女性が言った。
子供は苦しそうな表情で眠っていた。
「はいはい、分かりましたから少し落ち着いて下さいちゃんと治しますから」
銀髪いやプラチナといった方がいいのだろう、髪は長く司祭服を着ている少女? がそう言った
「彼の者を癒し給へ、治癒」
少女?が詠唱が終わった瞬間、緑色の光が放たれた。
子供の苦しい表情が治り、気持ち良さそうに眠っている。
「ありがとうございます、聖女様。お代は必ず支払いますのでしばらく猶予をくださいませ」
女性は声を震わせながらそう言った。
「あなたは何を言っているのですか?お代は結構です、それよりお願いがあるのですが」
少女?がそう言い放った瞬間、女性に戸惑ったが、
「私に出来ることならなんでも!」
せめてもの恩返し程度と思っているのであろう。
「近くにある孤児院に勤めてもらえませんか?」
「え、私めに仕事を与えてくれるのですか?」
お願いされた事が意外な事だったため少し戸惑い気味であった。
「まぁそういうことになりますね、孤児院に人手が足りないので、いい人が見つけたら雇おうかと考えていたので、ちゃんと給料は出ますよ。どうですか?引き受けて貰えますか?」
「も、もちろん引き受けさせてもらいます」
「そういえば名前を伺ってなかったですね。僕の名前はレオン・クロードウィルと申します」
「き、貴族様であられました、大変失礼しました。私はアンミルと申します」
「そんなにかしこまらなくていいよ。こっちが戸惑うから」
貴族と分かったからかアンミルの態度が変わった為レオンは少し戸惑っていた。
「わ、分かりました」
「あと、僕を聖女と呼ぶのをやめてください」
少し怒り気味に言った。
「え、何故でしょうか?」
女性は戸惑いながらに答えた。
「僕は男ですから決して聖女ではありません。だから聖女と呼ぶのはやめていただきたい」
綺麗な髪に女の子みたいな小柄で、顔は凛々しいというより可愛い女顔だった。
これがこの物語の主人公、レオン・クロードウィルであった。