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『自己進化 』 ~自分の道は自分で決める~  作者: 零度霊水
『輪廻転生』 〜光を示すもの〜
57/64

57、『厨二宣言』 俺の罪

厨二全開!

 一面の夕暮れーー黄昏の中一人の男が立っている。死ぬほど憎んだ男だ。

 今の俺とあいつは絶対に分かり合えないと感覚でわかる。黄昏の名を持つ暗殺者。

 強敵だったし、もう一度戦えと言われたら多分負ける。いや、絶対に勝てない。

 そんなすごい奴だった。


 空から声が聞こえる。


『その男はあなたが定めた明確な敵です。それでも、その死を背負うというのですか?』


 誰の声か、質問の意図、この空間……わからない事だらけだ。

 それでもわかっている事はある。この質問に嘘をついてはいけない。正直に、思った事を、感じた事を答えないといけない。


「背負うさ。敵であれ、味方であれ、俺が殺したことに変わりはない。

 魔物や動物を殺すのとは違う、何が違うかはわからないけど、人は他とは違う。


 俺はまだ命について語れる程大人じゃないけど、食べるために殺したわけでも、種族の違いや生存権の為に殺すのでもない。ただ違いが生きる為に殺しあったんだから俺はその死を無視していけないと思う。


 互いが自分の自己中(わがまま)を押し通した結果が俺の勝利(ダスクの死)。だから俺はその死を背負わなければならない。それが勝利の代償……俺の罪だ」


『その結果が貴方にデメリットしかもたらさなくてもですか?』


「俺はまだ十数年間しか生きていない。人の命の奪うのをメリットデメリットで決めるのは難しすぎる。

 だからもっとシンプルに、俺は出来る限り人を殺さない。それでも殺してしまったならその罪は背負う。

 それだけだ……強いて言うなら「俺の罪」ってフレーズが厨二くさいって事くらいかな」


『……そうですか。では、心に刻んでください。あなたの力を!』







 ◇◇◇





 目を開けると光が差し込んでくる。


「ミスト! 」


 俺が目覚めたのに気づきレフィーヤが駆け寄って来た。


 俺、最近気絶しすぎじゃね? そろそろ気絶耐性スキルとか獲得しても良いと思うんだけどな……


「レフィーヤ、俺ってどれくらい寝てた? あと、どれくらい聞いている?」


「一晩寝ていたよ。事件についてはミストがツバキを助けて倒れたって事を……」


「心配かけてごめん」


「心配した。でも、信じていたから」


 レフィーヤは俺に抱きついて来た。

 俺も抱き返そうと左手を動かしてーー


「腕が!?」


 ーー左腕の感覚がないことに気がついた。


 毒? ダスクの使っていた? 嘘だろ!?

 俺一生片腕か? このままじゃ冒険者続けられないぞ!

 レフィーヤとも別れたほうがいいよな? そうしないと彼女を俺が束縛することになってしまう。

 それだけはダメだ! 彼女には幸せになってほしい。その為には彼女の重荷になってはいけないんだ!


「レフィーヤ、俺の左手もうダメそうだ。ピクリとも動かない。冒険者も続けられそうにない。俺じゃあ君を……幸せにできない。だから……俺とーー


  部屋にパンッ! と乾いた音が響く。

 俺はレフィーヤにビンタをされていた。


「本当に私のことを考えてくれるならその先は絶対に言わないで!

 冒険者続けられないなら私が一生養うから……私一応【殲滅】のレフィーヤって呼ばれてるからさ、ミストを養えるくらい頑張るから……私を! 私を幸せにしてよ!」


 泣き顔のレフィーヤを見てようやく自分の間違いに気づいた。

 俺がもしレフィーヤに同じ提案をされていたらなんと答えていた? 相手のことなんて一切考えていなかった。ただ自分の不安を一方的に押し付けて、自分だけ楽になろうとしていた。


「こんな俺でも良いなら俺はレフィーヤ、君を絶対幸せにする。そう誓うよ」


 まだ恋愛に夢を見ている恋愛経験皆無な俺の言葉。青臭く、人によっては笑ってしまうようなセリフだ。

 でも、これは紛れも無い俺の本心で、なにかの本やアニメではない俺の言葉だ。


「そんな君に幸せにしてほしいんだよ。ミスト……」


 良い雰囲気だが閃いた。ステータスプレートに何かしら書かれているんじゃないかと。


(ステータスオープン)

 心の中でそう唱える。出現した青いボードには数行の文字しか枯れていなかった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー



『一心不乱』の代償により、三日間ステータスの観覧、『自己進化』の発動、左腕を動かせなくなります。

 それ以外のスキルは使えます。


 残り時間ーー2日ーー

 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 残り時間の行には残り何秒まで記入されており、いまも一秒ごと減っている。


 俺は赤い頬をしているレフィーヤにキスをした後ステータスを観覧可能にしてレフィーヤの前に出した。


「ステータスの観覧、能力の管理、左腕の使用不可……これって……」


 部屋一帯に気まずい空気が流れる。

 互いに俺が一生左腕を使えない物だと思い込んで告白紛いの事を言ったのだ。

 正直恥ずかしさと自分の馬鹿さ加減で気まずい。


 数分後俺と同じく気まずそうに赤面したレフィーヤが俺に質問をした。


「えっと、それで、結局事件ってどんな感じだったの?」



 ◇◇◇◇



「ああーーそれはずるい」


 事件の経緯を説明した後レフィーヤが門前一口に言ったのはそれだった。


「狡い? 防具をすり抜けるのが?」


「違うよ。()()()って言ってるの。自分を庇って死んだ人が復活して窮地を救ってくれるなんて惚れるわよ」


「そんな簡単にはいかないだろ?」


「私を助けた時ミストは私を庇って死んだ。今回もそうでしょ? 仮死状態とはいえツバキは本当に死んだと思ったんだから。模擬戦の時は結界の効果もあって本当に死んでるとは気づかなかっただろうし。

 あれって本当に心に来るんだよ。


 ……女ったらし……」


「違う! 俺は女たらしじゃない。

 それにあの技だってレフィーヤを心配させたくない気持ちから生まれた技なんだ。

 あの技を使えば真正面からの即死級の技を一撃耐えることができるし、格上を倒す可能性も出てくる。

 死ぬ確率を下げるスキルなんだ」


「まぁ私は、私のことをしっかり思ってくれるならハーレムを作っても良いと思うけどなぁ。

 もちろん私に一言言うのが条件だけど。浮気されるよるはずっとましだし」


「そんなもんなのかぁ……俺は絶対に嫌だけどな」




 ◇◇◇



 俺たちはツバキとシフォンに合流し、事情を説明した。



「そうですか……では残り数日は経験スキル習得を目標とした訓練をしていきましょう」


「わかった」


 ツバキが俺に近づいて来て耳打ちをする。


「領主はダスクを使ってミストを殺そうとしました。おそらくあと数日で商人も到着すると思います」


「り、了解」


 耳がこそばゆい。俺の弱点もレフィーヤと同じく耳かもしれない。


「……」


 俺がくすぐったそうにしたのを見たレフィーヤの目が光ったのは気のせいだと思うが……


「それと、後でレフィーヤさんを少し借りますね」


「ああ、わかった。ちょっとまって」


俺は去っていくツバキを呼び止める。


「どうしました?」


「なんで最近素の口調を辞めたんだ?」


「それは……その……」


何故か歯切れが悪い。


「そのですね……最初は協力して頂いたのにタメ口は申し訳ないと思ってです。今は……素で話すとあなたを意識してしまって。ごめんなさい。無理です!」


そう言ってツバキはレフィーヤの方へかけて言った。これは……察してしまいそうになるな。





 ◇◇◇




 訓練と昼食を終え俺たちは道を歩いていた。


 やっぱり左手が使えないとろくに戦えない。体の感覚も違うのでまっすぐ切ることもできない。


 結局今日俺が得たものは結果としては残らなかった。しかし経験は残った。

 次こそ、明日こそは経験スキルを習得するんだ。


 俺が決意を固めているとレフィーヤに肩を叩かれた。

 レフィーヤの方を見るとレフィーヤが耳に口を近ずけてきた。


「ツバキが私に話があるらしいから少し離れるね。後ろにいるからあまり早く歩かないで」


 うう! やっぱりくすぐったい。完璧に俺の弱点だな。


「やっぱり……ふぅぅ〜」


 耳に息を吹きかけられた。こ、これはきつい!


「レっレフィーヤ、宿で覚えとけよ……ヒャンヒャン言わせるからな!」


 レフィーヤの後頭部に手を回し頭を引き寄せる。

 左手で耳を触ろうとしたが腕が使えないので甘噛みしてみた。


「ヒャン!」


 絶対に人に見せたくない顔をしているが、すでに顔は引き寄せているので俺屍その顔は見えない。

 俺たちは今ツバキ達の後ろにいるし、壁際でやっているので通行人の迷惑にもなっていない。


 完璧だ! 一つ問題があるとすれば俺に殺気が向きすぎてシフォンを狙っているのか区別出来ないくらいか。


 一秒にも満たない一瞬だけ甘噛みしてレフィーヤをはなす。

 そしてすぐにツバキ達に追いつく。


「わかった」


「なんで何事も無かったかのように話を続けるの……」


 納得がいかない様子のレフィーヤを置いてツバキの肩を叩き入れ替わる。


 レフィーヤとツバキから少し距離を置いて数分歩いているとシフォンに話しかけられた。


「左手、大丈夫ですか?」


「特に痛みとかはないかな。ただ全く動かないから大丈夫ってわけじゃないけどね」


「そうなんですね」


 そういえば俺ってあんまりシフォンと会話していないな。話しても一言二言だし……レフィーヤは結構仲良いみたいだけど。


「ツバキのことありがとうございます。何か吹っ切れたようです」


「俺は何もしてない。ツバキが気に病みすぎていただけだよ」


「と言う事は聞いたんですねツバキの種族のことを」


「ああ。でも俺はそういうのは正直言って気にしない。白鬼族だろうと人魚だろうと」


「先祖返りでもですか? こんな変な力……人のあり方を捻じ曲げるような力を持っていても!?」


 シフォンの荒げた声を聞いたのなんて初めて会った時ぶりか? その時にも荒げなかったっけ?

 人のあり方を捻じ曲げるってのは若返りの力って事か……


「それでもだ。固有能力なんてものがあるんだぞ? 『若返り』や『時戻し』なんかのスキル持ちだっているかもしれないだろ?

 そんな簡単に考えられないかもしれないけどさ、その先祖返りの能力を固有能力を別に貰ったって考えて見るってのも一つの手だとは思うよ? 楽観視しすぎるのもよくないけど、悲観的になり過ぎても未来は楽しくならないからさ」


「固有能力だと考える……ですか。そうですね。別の視点から考えてみるなんて思いつきませんでした。ありがとうございます!」


そう言って笑顔を浮かべた彼女は年相応の魅力的な女の子だった。健気だよな。こんな子が辛い人生を送るのか。


「いや、そこまでの事はしていないよ。本当に。俺は君の苦しみをずっと見てきたわけじゃない。そんな奴の言葉は、軽いから。そんなに感謝されるようなものでもないって」


「そうですかね。 いえ、でも、感謝したかったのは本当ですから」


「そっか、ありがとう。それで、俺からも質問して良いかな?」


「良いですよ」


「ただの疑問なんだが、なんで壁の上に行きたいんだ?」


 今の俺たちが向かっているのは『壁』ーーこの町を守っている外壁の上だった。


「あと数日で私はこの町からいなくなります。どのような待遇であったとしても私があの家で過ごしたことは事実ですし、この町は私の故郷です。母も住んでいますし、お気に入りのお店だって少しですがあります。

 でも、嫁いでしまったらもう戻れないかも知れません。だから最後にこの町の姿を目に焼き付けたんです」


 そんな悲しい事を呟く彼女は笑顔をうかべている。でも、さっきの笑顔とは違う。悲しげな、年に似合わない大人びたものだった。


「シフォンはいいなりで良いのか? 多少は抵抗する事だってーー」


 言った後に気が付いた。シフォンがこの婚約を受け入れる理由の根本はツバキにあったからだ。


「ごめん。失言だった」


「いえ、いいですよ」




 この時俺はまだ気づいていなかった。俺たちの後ろからレフィーヤ達はいなくなっていて俺たちも周囲に人壁はなく、そもそも向かっている道すら間違っていると……

今回も話は進まず更新は遅いでした。このままではシフォンがチョロインとなってしまう。

どうにか手を打たねば……


更新がだいぶ遅れしまい申し訳ございません! 最近小説が以前にも増して書けなくなって来ました。

それでもエタることは無いのでどうかこれからもよろしくお願いします!


誤字報告機能もオンにしているので誤字を報告していただけたらすぐに直します!

(時間があったら使っていただけたらなぁなんて……)


次回もよろしくお願いします!

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