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『自己進化 』 ~自分の道は自分で決める~  作者: 零度霊水
『輪廻転生』 〜光を示すもの〜
43/64

43、『詳細説明』 既に、決めていた事

大変長い期間更新が途絶えてしまい本当に申し訳ございません。

気を抜いていたらこんなにも更新が遅れてしまいました。

本当に申し訳ございません。

「ミストさん、レフィーヤさん、おはようございます」


「おはようございます」


 昨日の入り口の前でシフォンとツバキは待っていた。


「おはよう」


「ああ、おはよう。案内は任せるぞ」


「任されましたっ」


 音符がつくような弾む声でシフォンは言う。何故かは知らないが機嫌がいいみたいだ。

 シフォンの少し後ろを歩いているツバキに気になった事を質問する。


「なんであんなに機嫌いいんだ? なんか良いことあったの?」


「あれは……空元気みたいなものね。それに、次いつ母親に会えるかわからないから」


 空元気? しかも、次いつ母親に会えるかわからない?


「なんで、そんな?」


「それはシフォン様の実家で聞くことになるわ。一体何から護衛するのかもね」


 そう、俺が気になっていたのはそこだ。護衛依頼と銘打っているのに何から護衛するのかも、期間の提示も無い。

 そもそも、この依頼は()()()()()()()

 あの家族 (とは言えないが)が出すとも考えられない。もしくは何らかの護らなければならない理由があるとかか?


 うーん。疑問は深まるばかりだがシフォンの実家でわかるらしいからこの問題は先延ばしにするか。


「それと、お嬢様の家ではゆるくならないからね」



「レフィーヤさんはミストさんと付き合っているんですか?」


 シフォンとレフィーヤの会話が聞こえてくる。結構こっぱずかしい。


「うん」


 レフィーヤの態度は柔軟だ。


「ちなみに告白はどちらから?」


「一応、ミストから」


 確かに死にかけてたとはいえ俺から告白したな。


「やっぱり嬉しいんですか? 告白されるって」


 なんか、昨日の俺とエイトとの会話みたいだな。


「まぁ、嬉しいことに違いはないかな。ただ、告白の前に『好きな人からの』って一言が追加されるけど」


「いいなぁ、私も恋愛してみたかったなぁ」


 そう言ってシフォンは悲しげに微笑む。

 やっぱり貴族っていうのは恋愛できないのか? いや、違うな。これは諦めた感じだ。なんか理由があるようだな。


 恥ずかしいしこれ以上聞くのは辞めとくか。




 閑話休題(貴族って大変)




「あ、そこ右です」


「ここ?」


「そうです」


 シフォンの実家は特別豪華でもない普通の民家だった。まぁ、元々あの家に仕えていたメイド? だったらしいし普通の庶民なんだろう。

 シフォンが鍵を開け家に入る。俺たちもそれに続く。


「お母さん。ただいま」


「失礼します」


「「お邪魔します」」


 玄関まで出て来たのはシフォンと同じ水色髪の妙齢の女性だった。

 顔はシフォンの母親と一目でわかるくらい似ている。むしろ年齢を重ねている分、シフォンのような美少女ではなく、美人というカテゴリーに分類されるだろう。

 体系はスラッとしており、全体的に品がある。領主が手を出したと言うのも頷ける。


 人間は青色の髪の毛はあり得ないとか言うが、ここは異世界だし、そもそも人族種じゃ無いから当てはまらないだろう。


「お帰りなさい。シフォン、ツバキさん。ところで、そちらのお二人はどなたですか?」


「えっと、ミストと言います。冒険者で、現在シフォンさんの護衛をしています」


「私はレフィーヤと言います。同じく護衛をしています」


「そんなにかしこまらなくていいですよ。私はシフォンの母親のミルフィと言います」


「皆さん、どうぞ中に入ってください」


 内装も普通だ。彼女の収入源は有るのだろうか?


 少し談笑した後俺はツバキに呼ばれた。


「では、私とミストさんは今日の特訓の話をするので席を空けますね。すいません、あっちの部屋を借りますね」


 椿と一緒に部屋を移動する。



「それではミストさん、あの護衛依頼についての詳しい説明をします」



 やっときたか。個人的にはミルフィさんが依頼したと思うが、何故今になってシフォンを護衛しようと思ったのかが謎だ。


「レフィーヤは?」


「彼女にはミストさんから伝えてください」


「わかった」



「まず、お嬢様の護衛依頼を出したのはファイル(領主)です。本当は馬車の護衛から私も参加する予定でしたが、アレハ……ファイルの妻によってお嬢様から遠ざけられてしまいました。

 彼女は人族至上主義の上、貴族的思想がとても強く、地位に貪欲です。なので平民、それも人族ではないミルフィ様の事を蔑み、嫌っています」


「ああ、昨日の一件でそれはわかった。それで続きは」


「今までは契約で奴隷に落とされた私を付き人(メイド)護衛(忍者)として私のみをお嬢様につけ、放っておきました。しかし、問題が起きました。今まで隠していたお嬢様の種族がバレてしまったのです」


「シフォンの、種族?」


「はい。お嬢様は人魚族と人族のハーフです。さらに先祖返りも起こっています。ファイルはその事を隠し続けていました。しかし、ある事件によってその情報が明るみになり、一夜にしてお嬢様は狙われる存在になったのです。

 その上、それを知ったとある大きな商会のトップがお嬢様を妾にしたいとファイルに大金を払い、三週間後お嬢様はそいつの妾となることが決まりました。

 お嬢様の身の安全を確保する為、コネを持っていたファイルは冒険者ギルドに依頼し、ミストさん達が護衛につくことになりました」


 彼女にはそんな秘密があったのか。これはつまり、言い方は悪いが政略結婚的な物の道具として使われったってことか。これなら道中の発言にも納得がいく。

 細かい疑問は尽きないが、大きく疑問に思う所は二点ある。

 一点目は人魚族の先祖返りにデメリットを追ってまで攫うほどの価値があるのか。

 二点目は何故ツバキがここまで深い情報を集められたのか。

 というところだ。


「まず、先祖返りって何が起きるんだ?」


「全員が同じ力を持つという訳では無いですが、人魚族の先祖返りした者の生き血は総じて、全種族の老いを回復させると言われているらしいです。」


「老いを回復? 寿命が伸びるとかじゃなくて?」


「詳しくはわかりませんが、老いだけを回復させるらしいです。寿命は変わらないようです。ただ、体が全盛期まで回復するそうです。五体満足で」


 そう聞くととんでもない効果だ。五体満足って事は体の欠落を治せるって事だし、例えば子のいない年老いた者でも子を残せるほど元気になるかもしれない。

 高値で売れるだろう。つまりシフォンは攫われる=生き血製造機として人権もなく扱われるのか?

 その上、嫁ぎ先も商会だ。しかも、情報を手に入れてから提案を持ちかけたような。

 家族は貴族という身分の者が生き血を売るという世間帯を気にして大金でシフォンを渡したのかもしれない。


「ッつ」


 知らず識らずのうちに右手に力がこもっていたようだ。血が出て入る。

 これは俺の勝手な妄想だ。攫われても丁重に扱われるかもしれない、商会も何もしないかもしれない、家族だってそんなつもり無いのかもしれない。


 ただ、どうしても頭からあの悲しげに笑う顔が離れないんだ。


 これは俺の同情心や、勝手な思い込み、下心から生じた勝手な独りよがりだ。何が『私はそんなに強くない』だよ、十分すぎるくらい強いじゃないか。

 俺はそんな事出来る器も、身分も、力も、何一つ持ってないのに『助けたい』って思った。


 俺は自分の事だけを考えた道化なのかもしれない。でも、それでも良いだろう。

 俺は自分のやりたいと思った事をする。俺は既に、そう決めていたはずだ。

 じゃあ、俺がすべき事は決まった。俺は彼女を『救う』のではなく、彼女に『手を差し伸べる』んだ。

 俺が彼女を無理やり引っ張ってもそれはただのわがままだ。それではレフィーヤにも迷惑がかかる。


 だから彼女自身に選んでもらう。いや、彼女が選べる様にする。

 さぁ、お膳立てを始めよう。


 そして、出来れば、彼女(ツバキ)も……


「お嬢様が狙われている理由は以上です」


「わかった。説明、ありがとう」


「いえ、大丈夫です」


「シフォンが、商会に行く件についてどう思う?」


 これをツバキに伝える必要はないかもしれない。


「どう思うとは?」


 ただ、彼女ならーー


「止めたいって、思わない?」


「当たり前です」


 ーー賛同してくれると思ったから。

 

読んでいただきありがとうございました。

誤字脱字や物語のおかしな点、矛盾等ございましたらご指摘頂けると幸いです。

よろしければ次回もお願いします。


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