42、『玉砕覚悟』 エルフの弱点
前回の投稿から13日も開けてしまい本当に申し訳ございません。時間が取れなかったとはいえ、どうにか執筆時間を作るべきでした。
捕捉説明
主人公は地球では未成年なのでお酒を甘く見ています。
急性アルコール中毒の事など考えておらず、後悔します。主人公が20になるまで酒を飲む事は金輪際ありません。
謎の魔法……状態異常回復系と思われる魔法をかけらられ、意識がスッキリする。ただ、まだ頬が熱く完全に酔いが覚めたわけではないらしい。
「どう? スッキリした?」
「はい」 「ああ」
俺と正面にいる男の声がかぶる。
「えーと、すいません」
売り言葉に買い言葉だったが、こちらも悪かったので謝る。
「いや、こっちも悪かった。隣で美人とイチャついてる奴がいることが気にいらなくて酔った勢いもあって喧嘩を売っちまった。こっちが8割くらい悪い」
8割。まぁ妥当な落とし所だと思う。こっちの謝罪を汲み取った上で、あくまで喧嘩を売った自分の方が悪いと明確な落としどころを出している。
「わかりました。ただ、貴方の連れの女性も十分美人じゃないですか」
そう、この人の連れの女性も十分美人、いや美少女の部類に入るのだ。髪色は金色で髪型はツインテール。目は割とツリ目できつい印象を与えるが、鼻や口の形がいい為むしろ彼女の美しさを際立たせている。
服装はたぼっとしたローブで、胸はあまりないように見受けられる。背は低く、歳は背が小さいため、15歳くらいに見える。
さて、ここで最も行っていけないのは、連れの女性のことをこの人の彼女という前提で話を進める事だ。
地球にいた頃一度やられたが、とても気まずくなる。もちろん勘違いされた女性とだ。というかそれが原因で疎遠になってしまった。
元々そんなに深い関係でも無かったし。
「こいつか? まぁ可愛いとは思うけどさ、俺たちはただの幼馴染だ。あんたなんてエルフのベッピンさんじゃねーかよ。羨ましいぜくそ!」
やっぱり彼女じゃなかったか。それよりも良いのか。彼女、苦笑いせてるぞ。嬉しいけど悲しいみたいな。可愛いって言われたのは嬉しいけど、ただの幼馴染って言われたのは悲しい的な。
俺は横にいるレフィーヤを見る。静かだと思っていたら。寝てしまったようだ。机に突っ伏させとくわけにはいかないので嫌かもしれないが膝に乗せる。
レフィーヤを褒められた。ここは謙遜するべきなのかもしれない。だが、俺はレフィーヤのことを意味なく落とす気は無いし、何より酔っ払っていた。
そう、完全に酔いが覚めたわけではなかったのだ。
「だろ。レフィーヤはすげぇ可愛いんだよ。依頼人とかにはキリッとしてるのに、俺には見せるデレ。本当に可愛いんだよ」
「クソぉぉぉ! 羨ましいな。それで、お前の名前は? 俺はエイトで、こっちが」
「カーラよ。家名は……私は無いわ」
ん? 私はって事はエイトには家名あるってことじゃん。あと、関係ないけどエイトとエクスって名前が何処と無く似てるな。
「私はって事は……貴族ですか?」
「親が家名を貰ってね、俺の代までは家名を名乗れるんだ。あと、もっと砕けて喋っていいぞ。それで、俺はエイト・アース。よろしくな」
これはエイトの元々のコミュ力なのか酒の勢いもあってなのかわからないがすごいフレンドリーに話しかけてくる。
相手が友好的ならこちらもしっかり挨拶するべきだろう。
「俺はミスト。家名は無い。で、この人はレフィーヤ。因みに彼女なので手を出さないで頂けるとこちらは助かる」
少し殺気を出しながいう。雰囲気だけだが……
手を出そうとしたら許さないからな。
「そうか。……残念だ。まぁ、付き合ってなかったらあそこまでイチャつかないか」
「私は眠いからそろそろ部屋に戻ってるわね。それと次会った時から私も呼び捨てで良いからね」
どうやらカーラは部屋に戻るようだ。
「おう」
テーブルをくっつけ。俺はエイトと話をする。
「いきなり聞くのは失礼かもしれないが……カーラの事が好きなのか?」
俺はエイトに問う。ほら、よくラノベとかであるじゃん。幼馴染が好きだけど言えない的な。
やっぱり小説オタクな部分がある者としては聞いてみたい。
「ああ。正直言って超惚れてる。ミストに絡んだのも実は少し嫉妬でもしてくれないなと思ってやった。悪かったな」
「それに関しては良い」
「そうか。その……やっぱり恋人って良いものなのか?」
そうだな。良いものっていうか良い関係だな。
「ああ、良い関係だな。心に余裕ができるよ」
「このままの関係が心配なんだよ。あいつ美人だし、面倒見いいからいつ誰に持っていかれるかわからないし、それでして告って玉砕して今の関係を壊したくもない……何より兄弟のように育ったせいで俺を恋愛対象として見てくれるかもわからない」
これが幼馴染ゆえ弱点か……でも、見た感じ成功しそうなんだよなぁ。
「俺はエイトにさっき会ったばっかりだから、無責任なことしか言えないけど……この際吹っ切れて見るのもいいんじゃないか」
「吹っ切れる?」
「明日デートに誘ってそこで告白する」
「もし振られたら?」
「エイトは関係が壊れるのが嫌なんだよな。じゃあ、もし振られたら『わかった。恋人は諦める』とか言って、冒険者の仕事の中でさりげなく自分をアピールしてもう一度告白する」
いわば当たって砕けろだな。まぁ、砕けない方が断然良いんだけど。
「成る程。わかった。俺もそろそろこの気持ちに決着をつけたいしな。玉砕覚悟で突っ込んで見るよ。
ところで、その……俺と友達になってくれないか?」
友達、か。俺こっちの世界で友達と呼べる存在っていなかったからな。リュウゴ達はただの同郷っていうか同じ世界出身ってだけだし、レフィーヤは恋人だもんなぁ。
「こっちからもよろしく」
「ああ!」
その後少し談笑しエイトは部屋に戻っていった。会計はテーブル別だ。
「みすとぉ〜なんか告白とか聞いたけど……浮気はダメだよ。ちゃんと話してくれれば、みとめるからぁ」
寝ぼけたレフィーヤが俺の腰に抱きつき寝言みたいなものをいう。
「わかってるよ。レフィーヤ」
レフィーヤのサラサラした絹糸のような髪を撫でる。
「だから……もう絶対に私を一人にしないでね。私は二度と大事な人を失いたくないから」
その一言によって一瞬で酔いから覚めた。『もう一人にしないで』か、そうだよな。俺が死んだらレフィーヤが悲しむ、悲しんでくれる。一人で死ぬのなんてただの俺のエゴだ。
誰かを庇って死ぬ……確かにカッコいい、意味なく死ぬより100倍な。それに自分が死ぬのを悲しんでくれる人もいる。だが、残された相手はどう思う? 自分のミスによって人が死に、文句を言おうにも相手は文句を言えない場所に死に逃げ、自分は罪の意識を背負って生きていかなければいけない。
俺は自分に酔っていた。もう二度とレフィーヤを庇って一人で死ぬなんて事はしない。レフィーヤが危機に瀕したら庇う……それは決定事項だ。ただ、どちらか一方、一人だけが生き残るんじゃダメだ。必ず、全員で。
それが出来ないならせめて二人で一緒に、ミスを帳消しにするような何かとともに死を選ぼう。
俺のこの世界での最優先時事項は『強くなる』だ。俺は誰かの死を背負える程 “強く” ない。
誰も死なせたくないなら、自分のエゴを通したいならそれを実現するだけの力が、強さが必要だ。
俺は、変わるんだ。何もしてないくせに努力した人を羨む自分から。机上の空論ではなく、変われ!
俺は店員を呼び会計を払い部屋へ行く。レフィーヤはお姫様抱っこで連れて行く。眠っている人間を一人でおんぶするのは少し難しかった。そういえば俺が森で倒れた時レフィーヤはどうやって俺を運んだのかな?
今度聞いて見るか。
指定された部屋へ行きレフィーヤをベットに下ろし俺も隣のベットで寝る。
「おやすみ、レフィーヤ」
◇◇◇
日の光に照らされ目がさめる。朝だ。
結構すっきりしている。二日酔いとやらはないらしい。結構辛いと聞くし良かった。
昨日の決意で『自己進化』が発動していないか微かな希望を込めてステータスを表示する。
「ステータス解放」
◆◆◆
名前 ミスト
種族 人族 (17)
所属 冒険者 一般人(異世界人)
レベル 19
職業 見習い暗殺者(暗殺者を目指すものが持つ職業。対象に気付かれずに攻撃を当てる事が出来ればステータスに補正。)
能力値
体力 101/101 (+15)
魔力 60/60 (+15)
力 63 (+8)
守備 46 (+8)
知的 46
魔力 33 (+5)
魔抗 37 (+3)
俊敏 53 (+9)
器用 49
技術 62 (+7)
合計70アップ
犯罪歴 無し
固有スキル
『自己進化』(スキル持ち主が何かを成し遂げた時に2〜5個の固有スキルの中から一つ選び自分に付与する)
(他人に表示できるスキルは一つだけであり、表示されてないスキルは『 』で覆われる。)
(能力値がスキルの持ち主の願いを多少は反映する。討伐時に使った能力値が優先して上がる)
◆◆◆◆
「基本斬撃」
(剣術、短剣術、槍術、投擲術(ナイフ、刃物のみ)の固有スキルが結合された物。しかし、このスキルの成長スピードはその人の気持ちに連動している)
『無我夢中』
(条件を満たした状態で「狂人化発動」と口に出せば発動。
条件
・自分の視界内に敵味方合わせた獲物が五体以上いる時任意で発動可能。封印選択も可能。
(敵が多ければ多いほど能力向上。スキル使用中は敵味方の判断ができなくなるが、戦闘に関する能力値が大幅にアップする。戦闘技術が上がり、スキル「狂人バーサーク」が自動で発動される。
周囲の獲物が四体以下になるまで固有スキルは使われ続けるが、スキル使用中の記憶は残る。)
『迷宮突破』
(迷宮内での行動に補正大アップ。
迷宮の最下層に到達すると一つの迷宮に対して一回だけスキルがレベルアップする。
スキルレベル×10の階層のマップが一部わかる。
迷宮内での獲得経験値アップ。
補正にはステータスにはない他人からの印象値や魅力も入る。
迷宮内での行動に適したスキルを一時的に習得。スキルの強さはスキルレベルによって上昇する)
『暗殺技能』
(暗殺に必要な技能をほとんど全て獲得する事が出来る。
しかし、この能力だけでは型に沿った動きしかできない。)
◆◆◆◆
スキル
「生活魔法」(生活に便利な魔法が使える)
「死に損ない」 (致死に至るダメージを負った時、体力が一桁になった時に発動。自分が死ぬまでの時間を数分間延長できる。その間に、回復が出来ればそのまま生きながらえることも可能)
「激痛耐性ーー大」
(強い痛みに大きな耐性を確保し、痛みに耐えられるようになる。)
経験スキル
「忍び足」
(存在を感知されにくくする事に大きな補正と、バレずに攻撃を繰り出せば攻撃力に補正大)
「暗殺者の第六感」
(対象の弱点や自分に対する殺気などを感覚として感じられる。)
称号
異世界人(異世界から来た者。本の内容などを覚えやすくなり、記憶力が上がる)
読書家 (多くの本を読んだ者が獲得する称号。つい描写をしてしまう。読書スピードが上がる)
女神様の玩具(たまに女神様が自分の行動を見てくれるかも?)
足掻きし者(変えられない運命を足掻いて変えた者が獲得する称号。スキル「死に損ない」を獲得する。)
意思を紡ぐもの(受け継がれる意思を紡ぐ資・格・を得たものに送られる称号。紡ぐ権利を得た時に、真の力を発揮するだろう)
◆◆◆
うーむ。やっぱりロードによるレベルアップは凄かったな。7レベルアップか。
個人的には暗殺者の第六感を獲得した事が嬉しいな。ただ、『自己進化』の能力数が減ってるな。対策を考えないと。
因みに、『自己進化』以外の固有スキルはデフォルトで非表示になっているらしい。
「うーん。おはよう? ミスト」
どうやらレフィーヤが起きたようだ。
「おはようレフィーヤ」
レフィーヤに暗殺者の第六感を使うと耳が赤く光る。
「レフィーヤ、耳触っても良い?」
「別に良いけひゃっ」
触った感じはスベスベしている。優しく押して見ると骨は柔らかくくにゃりと曲がった。
「ごめんっ、ミストっっ、ちょっと待って」
「え? わかった」
大人しく耳から手を離す。
「その、森林族は耳が弱くてさ、いろんな意味で “弱点” なんだよね。だから、触るなら夜にしてほしいなぁって、思って。ほら、今から依頼だしさ」
すごい可愛い。でも、確かに依頼があるからこれ以上触るのは無理だろう。仕方ない、諦めるか。
「じゃあ、夜ならいいんだな?」
「う、うん」
「じゃあ、宿の中庭でって、ここはあの宿じゃないのか」
つい癖で日課をやろうとしてしまう。慣れって怖い。
「ふふっそうだね」
「じゃあ、準備できたら朝食とって行きますか」
大変長い間更新できず、重ね重ね申し訳ございません。学生のオアシス、夏休みに近ずくにつれ更新頻度を上げていこうと思うのでこれからもよろしくお願いします。
読んでいただきありがとうございました。
誤字脱字や物語のおかしな点、矛盾等ございましたらご指摘頂けると幸いです。
よろしければ次回もお願いします。




