37、『三章開始』 永遠の別れ
プロローグなので短いです。
ここは……俺の部屋?
あれ? どうして? 俺はレフィーヤとパーティーを組んで異世界にいたはずなんだけど……まさか夢オチ?
目が覚めたのは俺の部屋のベットだった。壁には本棚があり、漫画やラノベがズラーっと並んでいる。部屋にゴミは落ちてなく、ベットの下には何も無い。
コンコンーー
悩んでいると部屋の扉が叩かれる。
「兄さん〜朝食食べないの?」
弟の声だ。中学三年生だがしっかり者で頭もいいので、俺とは別の高校に入るらしい。
「食べる。ちょっとまって」
俺は制服に着替え部屋を出る。俺の部屋は二階にあるので朝食を取るために一階におりる。
俺が降りていくと両親と弟、我が家にいる全員が食卓にいた。
食事をとり始めると父親が話しかけてきた。
「おう、崇史。最近どうなんだ彼女とか、いないのか?」
なんで父さんはいきなりこんな話を始めたんだろう?
まぁいいか。恋人、ね。レフィーヤがいたあの世界は本当に夢なんだろうか……
「いないよ」
「そうか……高校で恋人くらい作れよ? 大人になるまで恋愛経験無いなんて事になって俺が孫の顔が見れないなんてことないようにな」
父さん……そんなの、朝食の時にする会話じゃないよ……
部屋が壁から認識できなくなってきている。父さんの顔も、弟と母さんは既に構成されていない。
「あっちの世界で守りたい人を見つけられたから、孫の顔も見せられない親不孝者でごめん」
「良いんだよ。お前がいいならそれで。俺が言えることはそんなに多くない。一つ、お前の彼女を絶対に悲しませるな。二つ、絶対の後悔しない道を選べ。最後に、父さんたちの事は気にするな」
涙で視界が歪む。そろそろこの夢も終わるんだろう。夢は記憶に残らないことも多い。この夢だけは絶対に忘れちゃいけない。そんな気がした。
「わかったよ。父さん」
世界が崩壊し、現実へ引き戻される。
「頑張れよ。ミスト」
◇◇◇
「チュンチュン! チュンチュン!」
スズメの鳴き声を聞き目がさめる。
やはりレフィーヤは朝に弱いようだ。
自分の方が早く起きている事の方が多い。
自分に抱きつき幸せそうに眠っている彼女の髪を撫でる。
俺は彼女を悲しませず、絶対に後悔しない道を選ぶ。わかりきって居たことだけど、これで永遠の別れだ。
だからみんな……さようなら……
なぜあんな夢を見たのかはわからない。俺は地球ではトラックに轢かれて死んでいるはずだ。俺の言葉はあっちには届いていないだろう。
でも、父さんの願いが伝わって俺の夢に出た。と考える方がいいだろう。
「ん……ミスト……大好き」
レフィーヤが目が覚めたようだ。レフィーヤの蕩けきった声を聞くと恋人になったと実感できる。
レフィーヤは俺に抱きついてきた。
俺は、この笑顔を守るために生きる。
◇◇◇
???side
◆◆◆◆◆
奴の提示した人物を殺しに行かないといけない。本来忍者は主人にしか使えない。いや、これは私だけかもしれないけど主人と認めた人以外の命令を聞くのは嫌だ。
このステータスに刻まれた身分が忌々しい。幸い契約に体を差し出すことは無かったから良いものの、あの領主のことだ。いつ罠にはまって清い体でいられなくなるかわからない。
あんな男に初めてを奪われる事を想像すると鳥肌がたつ。
誰か助けてなんて無責任な事は言わない。ただ、誰か、きっかけを作ってほしい。
私はそんな幻想を抱きながら標的を見つけ闇に葬る。
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契約に縛られる鬼族の少女もまた、復讐に捕らわれたエルフの少女と同じく光が見えない暗闇にいた。
そして、鬼族を縛る者の娘も深い暗闇から抜け出せないで居た。
彼女たちが彼に出会ったのは必然か偶然か、変わってしまった運命は物語を書き換え、静かに変わっていく。
読んでいただきありがとうございました。
誤字脱字等ございましたらご指摘頂けると幸いです。
最近二十歳の女性は少女と表して良いものか悩んだりしています。
それはさておき、自己進化35話を少し書き足したのでそちらも再度読んでいただけると嬉しいです。
本当に、ありがとうございました。




