27、『迷宮誤算』 非常識
本当にすみません。また遅れてしまった......
初志貫徹できように頑張るのでこれからもどうかよろしくお願いします。
ステータス確認時から戦闘を数回挟み俺たちは最下層の六層にたどり着いていた。
「ここが六層か」
俺は多少の達成感を感じ、呟いた。
と言っても今までと見た目は特に変わっていない。
壁も床もでこぼこな黒い石で作られており、足場も整地なんてされていないので何回か転びかけた。
「そうだな......そろそろボス戦だ。気を引き締めていこう」
「なんか早かったなぁ......もうすぐパーティーも解散か......」
やっぱり強い人が近くにいてくれれば安定して行動できるからなぁ。こっちが背後取られてもすぐにカバーしてくれるし、しっかり注意もしてくれる。戦闘を繰り返すたびに自分の技術が向上し、洗練されている気がする。
しかも美人だから見ていて飽きないしな。
美人は3日で飽きるってのは恋人限定の話らしいな。だって全然飽きないし。
「そうだが、とりあえず目先のボスに集中しようか」
「ああ、ごめん」
◇◇◇
「ん? ......この道は右で合ってるよな?」
俺たちは三つの分かれ道がある分岐点にいた。
俺が地図を持っているのにも関わらずわざわざレフィーヤを呼んでまで確認したのには理由がある。
「ああ、確かに地図にはそう書いてあるが......この道地図に書いてないぞ?」
そう、ギルドで買った地図にはこの分岐点には第三の道なんて物は無いのだ。
分岐点の先を考えると新しい道になっているのは真ん中だろう。
「えーと......どうする?」
これは異常事態なんじゃないか?
はっきり言って冒険者もこの世界も初心者な俺には手に余る問題だな、本当に不甲斐ないがレフィーヤに頼るしかないか......
「そうだな......ここから外に帰るには時間がかかりすぎる。このまま計画通りに進んで安全地帯で一晩を過ごすか、名誉と財宝を求め新たな道を進むかミストはどっちがいいと思う?」
ああ、新しい道が作られるのはイレギュラーじゃ無いのか......
うーん、名誉と財宝か、冒険者の夢だよなぁ。この先がただの行き止まりで無駄足になる可能性もあるし計画通りでいいだろう。
「俺は計画通りに右の道を行くのがいいと思う。未発見の道ってことは即死はしないがある程度罠があると思うし、俺は罠発見系のスキルを持ってないしな。まぁ、レフィーヤが持ってるなら話は別だけど」
「そうか。私も数回なら発見できるが多くは確認できないからな。安全を考えて普通に進もうか」
俺たちはしっかりと話し合った上で新たに作られたと思う真ん中の道ではなく元からあったと思われる右の道を進むことにした。
▶︎▶︎▶︎
この選択はある者達にとっては間違いで、ある者にとっては正解であった。
異世界に住んでいたから、この世界の常識を女神がなんとなくまとめた。偏った常識しか持っていない者だからこそ気づけた非常識。
その違和感をミストがレフィーヤに発言していれば、自己完結して納得していなければ結果は変わったかもしれない。
この世界で生きてきた者では気づける者は少ないのだから。
何故なら初級迷宮で異常事態が起こらない事なんて子供でも知っている『常識』なのだから。
『非常識』というのは安易に想定出来ないからこそ『非』常識と呼ばれているのだから......
▶︎▶︎▶︎
既存の道だと予想された道をもう二時間も移動している。ゴブリンとの戦闘頻度が多くなったのも時間がかかった要因の一つだが、どう考えても移動距離が長すぎる。道も急な坂になっており、深いところに潜ったかと思えば剣を抜くことすらできない細い道があったりどう考えても初級迷宮じゃなかった。
迷宮の異変に気付き引き返した時にはもう遅かった。俺たちが入ってきた道には罠が仕掛けられていた。その罠を感知してくれたのはレフィーヤだった。
俺は殆ど何もできなかった。本当に情けない.....でも、一応俺も役には立てた。
『迷宮突破』のスキルによってどうにかマップを見る事ができるのだ。それによって俺たちは分岐点をどうにか乗り越えたりできた。
俺たちは焦燥感を少しでも和らげるために無駄に広い空間で水を飲んでいた。
「んく、んく、んく、ぷはっ」
「こく、こく、こく、こく」
レフィーヤは口調は硬いのに行動は凄い女の子らしさがある。食事も品があるし、水の飲み方も凄い可愛い。
こんな状況に陥ると目先の幸せに甘えたくなる。
だが、逃げてるだけじゃどうにもならない、食料は有限だ。水にも限りはある。どうにかここから出る方法を探さなければならない。
俺は思い口を開けて言葉にしたくない、受け入れたくない事実を述べる。
「レフィーヤ、これってどう考えても『異常事態』だよな」
「うん、普通は有り得ない。けど......そう考えるしかない。おかしい、こんな浅いのに中級以上? そんなの有り得ない。まさか例外迷宮? ならなぜいきなり活動を始めた? それも有り得ない......あり得ない非常識だ......」
「レフィーヤ? 大丈夫か?」
レフィーヤが有り得ないとひたすらに呟き続けている。それどころか心なしか口調が柔らかくなっている。
どうやらこちらの声が聞こえてないようだ。
レフィーヤの様子は明らかにおかしい、確かに今までの常識が壊れたら精神的に来るだろう。しかもその非常識の内容は自分の命に直結することだ。
例えるなら全日本人に『ネット、もしくはテレビを一年間毎日2時間の以上見た者は死ぬ』と伝えるのと同じぐらいの衝撃が訪れるのでは無いだろうか。
でも、レフィーヤの急激な精神の弱体化はまるで何かの毒にでも掛かったようだ。
でもそれだと俺が特に何もなっていない状況も変だ。
迷宮内、毒、異常事態、レフィーヤの豹変、耐性、補正、ステータス......
取り敢えず思いついた言葉をはじから並べてみる。
森林族、人族、スキル......
そこで頭に電撃が走った。これをわかりやすく説明するなら『ビビッときた!』という言葉が当てはまるだろう。
まさか、迷宮内の補正大アップって迷宮に適応できる、迷宮内で行動するのに適切な体に進化するって事か?
今この空間には神経に作用する毒が充満していると仮説を立てると色々とつじつまが合う......と思う。
ステータスに反映されない点も含めた補正大アップ。これにより「夜目」や「毒耐性」、「麻痺耐性」などのスキルを一時的に獲得できるのでは無いだろうか?
これはとんでもないチートスキルを身につけてしまったようだーー
ーーいや、身に付けることが出来たという喜ぶべきだろう。
俺はステータスを開き『迷宮突破』を確認する。
◆◆◆
『迷宮突破』
迷宮内での行動に補正大アップ。
迷宮の最下層に到達すると一つの迷宮に対して一回だけスキルがレベルアップする。
スキルレベル×10の階層のマップが一部わかる。
迷宮内での獲得経験値アップ。
補正にはステータスにはない他人からの印象値や魅力も入る。
迷宮内での行動に適したスキルを一時的に習得。スキルの強さはスキルレベルによって上昇する。new!
◆◆◆
どうやら俺の仮説は正しかったようだ。まぁ、自分の能力に仮説を立てるのもおかしな話だがな。
それにしても自分が知覚して初めてステータスに書き込まれる設定はやめてほしいな。
まぁ、贅沢は言えないから十分満足しているんだけどね。
このことから考えるにほかのスキルにも色々と未発見の要素がありそうだ。
だが、進化とは一体どこまで進化できるのだろう。
さて、レフィーヤが精神系の毒に掛かっているなら今持っている道具でどうにかなりな。
「レフィーヤ、しっかりしろ」
名前を呼びながら肩を揺する。
「あ......ああ、私は大丈夫だよ」
「強がんなくていいから。これを飲んで」
そう言って毒消しの薬品を差し出す。
「これは?......ありがとう」
最初はこれが何かわからなかったようだが、毒消しのポーションとラベルと匂いで気づいたのか受け取り飲み干す。
「ふう、すまない。いつ毒にかかったのかはわからないが助かった。さて、これからどうしようか......」
「それなんだけどさ、この先にここよりも広い空間があるんだよね。多分ボスがいる」
俺が『迷宮突破』の力を知覚することによってもっと詳細なエコーをする事ができ、この先にボスがいることがわかった。
「......」
「ボスを倒せれば帰還用の魔法陣が出現する時はずだ。それを使えば帰れるんじゃないか?」
「そうか 、その手があったか! でも、この『異常事態』 、ボスも強くなってると思うぞ」
「ああ、だからこの作戦は危険が大きい。それでも俺の案に乗ってくれるか? レフィーヤ」
俺は手を差し出す。まるで告白のようだ。シチュエーションも場所も相手の男も問題だらけだけどな。
「結局ここに居ても餓死するしさ、その作戦に乗ったよ」
レフィーヤがこっちの手を握ってくれる。
「じゃあ、進むか」
ボス部屋の前までは一回の戦闘でこれた。しかし、やっぱり雑魚も強くなっているらしい。
その後話し合いによりボス部屋の前の小さな小部屋で一人づつ仮眠をとることになった。どうやら『迷宮突破』は罠感知や安全地帯確認などのスキルもあるようで安全地帯を見つける事が出来た。
「じゃあ、レフィーヤ。二時間後に起こすわ」
「うん、頼んだ」
そう言い残しレフィーヤはテントの中に入っていった。いくら安全地帯とはいえ今は何があるかわからない状況のため一人ずつ仮眠をとることとなった。
さて、俺は食事でもしているかな。俺はバックから|非常食《カロリーなんちゃらチョコ味》を取り出し食べる。
ここなら人目を気にしなくていいから馬車護衛依頼の時とは違い食べることが出来る。
その後俺は剣に付いた血や油を拭き取ったり、スマホに魔物の情報を描き起こしたりしていたら二時間半経っていた。
まぁ、少しくらい長く寝かせてあげてもおかしくないよな。
俺は砂が完全に落ちきっている砂時計を持ってレフィーヤを起こしに行く。
「レフィーヤ、交代だよ」
「ん、んん、わかった」
レフィーヤは数回目を擦るといつものキリッとした顔になる。
「はい」
俺が砂時計を渡すとレフィーヤも「はい」と言って寝袋を渡す。
テントにしまっていたのバックを持ちそのまま無言でレフィーヤはテントから去っていった。
これはつまりそういう事だよねぇ。俺にレフィーヤの寝ていた寝袋を使ってもいいって事だよねぇ。
ストーカーみたいでも気持ち悪くてもなんだっていい。さっきまで美人エルフが寝ていた寝袋があるんだ。これを我慢できるやつは男子高校生じゃねぇ! 悟りを開いている奴だけだ!
俺は誰に対するかもわからない言い訳を重ね結局レフィーヤの寝袋で寝た。
それにしてもレフィーヤさん危機感なさすぎじゃないですかね。それとももうこの寝袋は要らないとかかな?
クラスの女子に消しゴム拾ってあげたら悲鳴が上がって捨てられる見たいな。
え? 俺の実話じゃないですよ? いや、マジで!
因みに寝袋には温もりとフローラルないい香りがあった。しかし、それを意識しすぎて俺が寝れたのはそれから30分後、羊を12,999匹数えたところだった。
やっと出す事が出来た地球から持ってきた物カロリーなんちゃら。ちなみに僕はフルーツ味が一番好きです。
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