22、『関係進展』なんでこんなことになったんだよ!
目の前から100匹を優に超えるオークが俺に迫ってくる。
「ひぃっ!? うわぁぁぁぁぁ!!」
「あぁぁぁぁぁ! って、ここは?」
俺はどうやら生きていたらしい。
気がつくと学校の保健室のような場所のベットに寝ていた。
装備はそのままなのか。
それにしても恐ろしい夢だった。100匹のオークとかシャレになんねぇよ。
「ん? 起きたか......」
「へ?」
ベットの隣に座っていたのはレフィーヤさんだった。
え? なんで? いや、助けてくれたのはわかるけどなんでここまでしてくれるの?
情けでもかけてくれてるのか? 俺に気があるなんて事は有り得ないし......
「傷は治っているよ」
「え? ありがとうございます」
服を見るとその部分だけ穴が空いているが、傷は治っていた。
魔法って凄いな! 完全に体に刺さっていたのにアザすら残ってない。
いやー、あんなに激しく動いたからな、絶対筋肉痛とかに......
「助けていただいたのに後ろから切りつけて、すいませんでした!」
俺は横になっていた状態から飛び起き土下座した。
「別に気にしてない。目が真っ赤になっていたし、狂化系のスキルを使っていたんだろう。それよりも敬語になってるところの方が気になる。敬語は辞めてくれ」
気にしてないって心が広い人だな。それとも俺の攻撃なんてへでもないって事かな。
真っ赤な目......黒髪赤目って完全にイタイやつだよ! 中二病だよ!
「それより、ミストはこれからの身の振り方を考えているかな? 」
「身の振り方? 」
「そう。冒険者を止めるのか、まだこれからも冒険者を続けていくのか」
そうか、そうだよな。俺、死にかけたんだもんな。普通は死にかけた時点で冒険者を辞めるって事か?
でも持っている金には限りがあるし、どっかでバイトして暮らすって道もあるけどどうせなら冒険者をやりたいな。
『自分の道は自分で決める』って決めたんだからな! せっかくだから俺はこの道を選ぶぜ!
「俺はまだ冒険者を続けるよ。これからは適当に初心者用ダンジョンでも潜ってその日暮らしでもするかな。『いつかダンジョンをクリアしてやる』って目標を設定して潜れば理由も出来るので本気になれそうだし」
ダンジョンをクリアすれば『自己進化』も発動するっぽいし。強くなればその日暮らしに休日ができたり、死ぬ確率が減るからな。
「ソロでか? 」
「まぁ、ソロかな。冒険者の中でパーティーを組めるほど親しい人もいないしね」
なんでこんな事を聞くんだ? 気をつけてくださいよレフィーヤさん。そんな聞き方するとまるで私とパーティーを組んでくださいって言ってくるって期待してしまいますよ。
まぁありえないけどね。
「じゃあ、私とパーティーを組んでくれないか? 」
ま、マジか......喜んで! と答えたいが俺は足手まといとかにならないだろうか?
「その提案は嬉しいけど、レフィーヤの足手まといにならないか? そっちのメリットが無くないか?」
「前にも言ったがある魔物を狩るために冒険者を続けているんだ。この町には一ヶ月ほど滞在するんだが特にやることが決まってないからな。君に興味を持ったからパーティーを組みたいんだ」
やっぱり何か事情があるみたいだな。それよりも俺にどんな興味を持ったのかが気になる。
「興味ってどんなか聞いてもいい? 」
「詳しくは言えないが私のスキルでミストを見ると、どんな事からも一歩引いてるように見えたからさ、ちょっと興味が湧いたんだよね」
うーん、詳しくは教えてくれないけど超絶美少女のお眼鏡にかなったと解釈しておこう。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
そう言って握手をすると「そろそろいいかな?」と声がかかった。
「傷も治ってるようだしここは逢引する為の場所じゃないんだよ。医務室なの。怪我人以外は帰った帰った」
白衣を着た水色の髪をした女性が声をかけてきた。手をしっしとふっている
「すみませんでした。
でも、逢引とか、彼女とはそんな関係じゃないです。というより彼女に失礼なのでやめてください。」
そう言って出て行こうとするとーー
「使用料金七千ジルドです」
ーー満面の笑みで俺に手を出してきた。
◇◇◇
部屋を出た後に聞いたが怪我はレフィーヤが直してくれたらしい。
俺が払ったのはあくまでも部屋の使用料金のようだ。
「ありえねぇ、半日いた程度で七千ジルドって、ぼったくりじゃねぇか」
「いや、すまない。あそこ以外にミストを休められそうな場所を知らなかったから」
「ごめん! レフィーヤは何も悪くない! むしろ傷を治してくれた命の恩人だよ! 」
「ああ、あんまり激しく動くと......」
「あれ?」
「ひゃっ!」
ーーポスン
全身から力が抜け俺はレフィーヤに倒れた。いや、抱きついたと言っても過言ではない。
柔らかい! 服の上からでもわかる胸の弾力がヤバイ! でもそれよりもレフィーヤの『ひゃっ! 』って反則でしょ! 普段かっこいい系のお姉さんが実は恥ずかしがりやとかやばい!
「血は減ってるんだから気をつけないと」
体を持ち上げられる。
レフィーヤ顔赤くなってるしな。
嫌われたかな? せっかくパーティー組んだり関係がいい方向に前進したのになぁ。
何やってんだよ俺、最悪だ......こんなのラッキースケベじゃなくてアンラッキースケベだよ。
「ごめんレフィーヤわざとじゃないんだ」
ああもう言い訳も鈍感系主人公みたいだし。
「わかってるよ。私も血が少ない事を伝えてなかったし。どちらが悪いって事は無い」
前言撤回する、どう考えてもラッキースケベでした。
「行こう」
その後受付でパーティー登録をした。オークの討伐料金は後日支払われるらしい。
でも多少は利子なしで借金できるらしい。
そりゃその日暮らしの冒険者がその日の金がなかったら終わりだしな。金貸しくらいあるか。
その時二つ隣の受付で悲鳴が上がった。
「なんで、なんでシャンは死んだんですかっ!? 次の依頼でランクDになれるから、そしたら結婚しようって約束してくれたのにっ! 一つ上のランクの護衛もつけるから絶対安全だって言ってたのに!
その護衛してたって言う冒険者を出してください! その詐欺師を! 」
声を上げたのはシャンの恋人と思われる茶髪ショートの女性だった。
「それは、守秘義務があるのでお伝え出来ません」
「でも! そいつは生きてるんですよね! シャンは死んで、護衛は生きてるおかしいじゃないですか!?」
最悪だ、心が痛い。正論だ俺は守りきれなかった。それなのに俺は生き残って、レフィーヤとパーティーを組めて舞い上がってるって、なんでこんな事に、俺は本当に最悪だ......
この場から逃げどそうとしたとき俺の後ろにいた優男が
「その護衛してたのって多分こいつだぞ」
といった......
読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字等ご指摘頂けると幸いです。
これからもお願いします。
すみません。テストがあるので、次の話は1/23になりそうです。
本当に申し訳ありません。




