13、『新人研修』 Sランク冒険者さんがログインしました
三行で伝える前回のあらすじ
一般的な装備と凄い短剣をもらう
冒険者ギルドでテンプレに会う
最初からランクアップ出来る
......「ランクアップてどこまで出来るんですか? 」
取り敢えずランクDまで行ければ良い方だろう。
「ランクはDから始められます。ところでギルドの説明を聞きますか? 」
水色髪をしたショートヘアの美人受付嬢が俺に聞いてくる。
今更だが、受付嬢の顔を見て少し照れてしまったが、どうにか首を縦に振り肯定という事を示す。
正直、ラノベ主人公とかの会ってすぐ女性の名前聞けるコミュ力すごいと思う。
返事したが、はっきり言って常識に含まれていたので知っているが、つい肯定してしまったし、それを撤回するのもなんだか恥ずかしいのでこのまま説明を聞くことにした。
「まず、ギルドランクとは冒険者の『強さ』の目安を表す為のものです。この『強さ』には冒険者の繋がりの強さなども含まれており、力だけでは無いです。なので、貴方様の様な貴族と関係ある人は上のランクから始められたり、強い魔物を狩った事を証明できればすぐに昇格テストを受けたりできます。
ただし、冒険者ギルドでは王家の者でも貴族の特権を行使出来ません。冒険者でいるうちは絶対にギルドの命令には従っていただきます。
また、冒険者間でのトラブルに貴族の『名』は使えても余程の事が無ければ不敬罪は使えません
ここまでで質問は有りますか? 」
ごギルドだって慈善事業じゃない。実力があり、ギルドに貢献できる『強さ』を持った者、人当たりや容姿が良く、一般人よりは戦える、言わばギルドの華になれる『強さ』を持った者、馬鹿な貴族の圧力を自分で
どうにか出来る『強さ』を持った者、ギルドが求めているのは何かしらの『強さ』を持った者だ。
何の強さも持たない者はランクC止まり、それ以上に行くには依頼を達成する実力を持つのはもちろん、ギルドの利益にならなければいけない。
もっとも簡単な方法は強い固有スキルを持つ事だ、言わば上級冒険者になるかどうかは生まれた瞬間に決まるわけだ。
「質問は特に無いけど様付けはやめてくれ、貴族とかじゃないしこそばゆい」
まぁ、ギルドに加入する人の何割かはここで質問するんだろうな、だって今の説明の中で無駄に強調している『強さ』の意味を知っていれば質問するところ無いと思うし。
「わかりました、では進みます。貴方は王家からDランクで始める権利を与えてくれと書かれていました。
ところで貴方は文字を読めますか? 」
文字はこっちに来た時点で読めるので肯定する。ランクに関してはは権利を与えられたのでランクDまでの好きなランクになれるし、ランクDを選ぶ。って言うか権利使わないってなんでだろう? 最初っから成り上がりたいとかなのかな? ランクDだったら場所によっては護衛依頼も受けられるし、安いお金で新人研修も受けられるのにな。
「はい、読めますよ。ギルドランクはDからお願いします」
「わかりました。ではこれを」
俺はギルドランクの事が書かれている紙を渡される。この紙があれば字が読める人なら質問もしやすいし、ギルド職員も仕事が少し楽になるので、大きな街にのみ導入されているようだ。
◇◇◇
Fランク……ギルドに登録したばっかりの一般人、基本的に雑用を受ける。
Eランク……多少は戦える見習い冒険者、街の外で行う簡単な採取を受ける事ができる。
Dランク……普通に戦える新人冒険者、魔物を討伐するクエストを受けることができる。
大きな街なら他の冒険者に混ざって護衛依頼を受けられる人もいる。
Cランク……数年冒険者を続ける事が出来れば基本誰でもなれる中級冒険者、ランクBの魔物の討伐の依頼や、護衛依頼が一般的。
Bランク……依頼をこなせる実力と何かしらの『強さ』を持った者がなれる上級冒険者、貴族に関わったりする。
Aランク……才能を持っている者だけがなれる。一つの依頼で数ヶ月は生きていけるくらいの儲けが手に入る。二つ名を持つものが多い。人格者が多い。
Sランク……天才が努力して人外に近づいてなれる冒険者、感覚がズレていたり、どこか狂っていたりする。
SSランク…勇者様の為のランク。
◇◇◇
つまり俺は見習い冒険者を飛ばして新人冒険者からのスタートか......良かった。いきなりBランクとかだったら怖すぎる。
「では、書類を書くのですが、文字は書けますか? 」
「はい、書けますよ」
「この書類はある程度の身分を聞いたりするのですが、貴方は王国から身分を保証されているので使う武器、特技、動機を記入したかったら記入するだけで良いですよ」
「記入して得られるメリットて何ですか? 」
「武器、特技を記入して頂ければ、斬撃を無効する魔物に剣士の方が戦うと言う事などが無くなります。動機に関しては、早く上のランクに行きたいと書かれたら、人によっては依頼を優先的に渡すといったものです」
「わかりました」
俺は書類にロングソード、短剣を使っている。とだけ書いた。記入するような特技や動機は無いしな。
「では、少しお待ちください」
受付嬢はそう言って裏に引っ込んで行く、数分ぼーっとしていたら帰ってきた。
「これが貴方のカードです。再発行には十万コル頂きます」
受付嬢はそう言って青色の水晶で作られた透き通った板を渡してきた。
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〈ミスト〉
17歳
レベル1
ランクD
使用武器…ショートソード、短剣
職業…剣士
犯罪歴…無し
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「これがギルドカードです。経験スキルを手に入れたら自動で書き足されますし、街に入る時もステータスでは無く、このカードを見せれば良いです。依頼を受けた場合は三つだけこのカードに書かれます。書く内容が増えた時は横にスライドさせると、次のページが見れます」
タッチパネルとかまるでスマホだな......
「わかりました。ところで、新人研修って出来ますか? 」
新人研修とはギルドが新人冒険者に戦い方や、一般的な野草の採取法、魔物の種類などを教えてくれる物で、王都なら新人がいるときに限り毎週行なっている。
「はい、受けられますよ。研修は一時間後に始まります。今回は魔物との戦い方と武器の手入れです。ギルド裏の訓練所でやっているので是非来て下さい。あそこの壁に掛かっているのがギルドの施設の場所です」
「ありがとうございました」
俺はお礼を言って受付から離れる。新人登録をしていると受付が一つ埋まるので多少嫌な顔されるが、今は冒険者が少ない時間のようで何もなかった。
「依頼が多いな」
依頼は見やすいように種類別に壁に貼られていた。この後の事を決めて訓練所に向かうことにした。
◇◇◇
訓練所は大きく分けて三つの場所に分かれていた。一つは冒険者同士が戦っている場所、一つは冒険者が素振りしている場所、一つはまだしっかりした装備が整っていない人が数人集まっている場所ーー新人研修だ。
どうするかなぁ、このまま研修の場所に行ってもいいけど時間がもったいないからなぁ......素振りでもしてるか。
俺は他の冒険者に紛れて素振りする事にした。幸い剣の振り方は常識だったので問題なかった。
おっ、人が増えてきたな、最初は三人だったのに十人位いるなそろそろ行くか。
「お前らが研修に参加した奴らだな、俺が今回の新人研修を受けたダインだ今日はよろしくな」
「マジかよ......」 「ダインさんって『冒険騎士』の二つ名を持っている」 「Sランカーじゃん」
周りがざわざわしている。無理もない俺も驚いている。ダインってSランク冒険者じゃん。なんでこんなとこにいるんだ?
ダイン、本名ダイン・ギルバードとは騎士学校の落ちこぼれだった少年が『気合』だけでSランクまで成り上がり、美人受付嬢を嫁にしたと有名な人だ。
「じゃあ戦い方を教えて行くぞ」
「「「「はい! ! 」」」」
◇◇◇
Sランク冒険者の教え方はわかりやすく合理的だった。『冒険騎士』なんて言われているが本質は冒険者だった。話の合間に採取のちょっとしたコツや、自分の武器を見せてくれたりと凄い良い人だった。
「じゃあ最後に俺と試合してもらう。右のほうにいる奴からかかってきな、ハンデとして俺は素手でやるから」
Sランク冒険者と試合することになった様だ。尚、武器は木、石で出来ているものだけだ。
俺は左から二番目にいるので最期の方だ。
「お、おりゃー! ! 」 「ふっ」
ダインは何処までも強かった。上段から振り下ろされる石斧の腹を蹴り体制を崩し、相手の腹で寸止めする。
剣、槍、斧、投げナイフ、魔法どんな攻撃も対処して見せた。しかも、相手が本物の武器を持っていても使える対処法でだ。その上負けた方は息が上がっているのに対して一切息を切らしていない。
「次、剣と短剣持ってるお前の番だぞ」
どうやら俺の番が来たらしい。
「お願いします」
さて、『基本斬撃』でどこまでいけるかな。
読んでいただきありがとうございました。
誤字脱字教えて頂ける都幸いです。
前回、その日のうちに更新できず申し訳ないです。
イブですが、メリークリスマス!!




