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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
異世界 3年目
84/119

84 金貨

 


 やれやれ、波を変えてこっそり買出しに行っちまったぜ。

 確かに2ページ、800枠、1枠ざっと10トンの砂糖はありはした。

 だけど全部合わせても8000トンにしかならないんだもんな。

 なんであんなに金を持っていたんだ、貴族連中は。

 5キロで金貨12500枚って話を聞いて、てっきり余ると思ったんだがな。


 フタを開けて驚いたよ。


 金貨千枚の袋が山のように積み上げられ、これでいくらでも買うぞと息巻かれてもな。

 そんなに搾取するからこそ、国が貧乏なんじゃねぇのかよ。

 やれやれ、とんでもない世界だぜ。

 しかもこの金貨、貴金属は殆ど入ってないじゃねぇかよ。


 なんだこの含有量は、詐欺だろ。


 あっちで検査してもらったら、金の含有量は実に1パーセントしか無かったぞ。

 確かに10グラムの時点でちょっとしょぼい金貨だとは思ったんだ。

 だって100円玉2つ分ちょっとの重さしかないんだし。

 でもまさかとは思ったさ。

 全くもう、検査官の言葉をそのまま伝えてやりたいぜ。


『何処の国の物かは知らんが、これはチップなのか? まさか現行の金貨ではないよな? こんなもの玩具にしか使えんぞ』


 ここにその分析結果があるけどよ、見てみるかい?


 金 1パーセント

 銀 0パーセント

 銅 0パーセント

 鉄 残り99パーセント


 どうだよこの含有量、詐欺もいいとこだろ。

 殆ど金メッキの鉄貨だぜ、全くよ。

 この世界の金貨ってさ、実質的には鉄だから鉄10グラムと砂糖1グラム、どちらが価値が高いか実に悩むところだぜ。

 資金的には大儲けでも、実質的には何をしていたのやら。


 はぁぁ、泣けてくるぞ。


 そうなればもう、溶かして成分を分離するしか無いとばかりに、そうしようと思った時、かつての研鑽が生きてくる事になる。

 錬金術とは言うものの、あれはそんなものじゃなかった。

 あれは元来、上の力を以ってして行使される力。

 万物を知れば万物を造れるという、管理必須の能力。

 今だからこそそれを理解し、したからこそスキルは進化する。

 かくして、お蔵入りとなっていたはずの魔法が、ここに完全な形で顕現する。


構築コンストラクション


 かつては見知った部品を作るぐらいが精々だったこの魔法も、世界の真実を知ると共に進化した。

 それと同時に【人造ヒューマンクリエイト】の確立をしたのであるが、今は【構築コンストラクション】のほうだ。

 すなわち、金貨の中のそれぞれの金属を、それ固有の分子式に基づき、分解してそれぞれの金属に再構成する。

 図書館のヌシであった経験がそれらを支え、金貨含有の金属の分子式があたかも魔法の術式のように作用し、【構築コンストラクション】は真の意味のそれに進化した。


 確かに含有量は1パーセントでも、数が数だからその量も増えたのは分かるよ。

 しかしなぁ、オレは金貨を【倉庫マジックボックス】に入れる為に、わざわざ貨物列車のコンテナに詰めたんだぞ。

 そりゃ貴族の屋敷の連中にも手伝わせ、【暗示インプリント】で調整もやりはした。

 だけど世界の全ての国の全ての貴族に対してそれをやるとなると、どれだけの労力か分かるかい?


 砂糖500万トンは金貨12兆5000億枚。

 千枚の袋が実に125億袋。

 袋だけでも物凄い量だろ。

 袋専用の枠を拵えたぐらいだぜ。

 確かにあのコンテナに入れたら、500万枚ぐらいは入ったけどよ。

 その重量は物凄く重くなるよな。


 実際、流し込んでいけば地面に潜っていこうとするんだよ、コンテナが。

 それでも何とか収納して、いざ分離する時にその場所が問題になるよな。

 その頃になればもう、オレは半分やけっぱちになっていて、無人の荒野に広大な精錬場を構築しちまったんだ。

 コンテナをつらつらとそこに並べ、コンテナだけ回収したんだ。

 そうしたら凄まじい量の金貨が、日の光を反射してキラキラと輝き……じゃなかったんだ。

 くすくだ金色っぽい金属の破片が、そこら中にあってさ、まるで夢の島の風景に思えたんだ。


 ここはゴミ処理場かよっ。


 それでも気を取り直して分離はしたよ。

 10グラムの金貨に金は0.1グラムだよな。

 んで、金貨は12兆5000億枚だよな。

 金貨の総重量は1250億キロって事は、金はその100分の1だ。

 結果、12億5000万キロの金になっちまったんだ。


 ちりも積もれば山となるとはこの事だ。


 100キロのインゴットにしたんだけど、1250万個の量になっちまい、1枠99999の制限のせいで、125枠と少しになっちまったんだ。

 仕方が無いからまた貨物用コンテナにそいつを詰めて、何とか1万のインゴットを収納したんだけど、その頃にはもうコンテナは色々に変形して、他の用途には使えそうになかったんだ。


 オレはな、こんな用途の為に購入したんじゃねぇぇぇぇ。


 確かにコンテナの再構成もやれと言われればやれるけど、もうその頃には半分嫌気が差していて、そのままインゴットの容器にして【倉庫マジックボックス】に

 ぶち込んだんだ。

 かくして1250の貨物列車用コンテナは、1万個の100キロインゴットを裡に抱えたまま【倉庫マジックボックス】の片隅に置かれる事となった。


 でもな、それは始まりに過ぎなかったんだ。


 もう忘れているかも知れないけど、鉄はその99倍の量だ。

 残りは鉄ってのもふざけた話だけど、99倍の量の鉄とかどう思うよ。

 もうね、この辺りでコンテナさんを犠牲にする気は失せちまってたんだ。

 隣に小型の精錬場みたいなのを構築してさ、そこに鉄の塊を拵えようと思ったのさ。

 でっかい……ばかでかい鉄の塊にしてさ、そのまま【倉庫マジックボックス】にぶち込んでやろうと思ったのさ。


倉庫マジックボックス】の限界の大きさというものは、無いように思えて実はある。

 ドラゴンも入るから無いかと思ってたんだけど、タンカーで試してみたら入らなかったんだ。

 いや別に原油の横取りを企んだ訳じゃないよ。


 本当だよ、信じてよ、嘘じゃ無いんだぁぁぁ……ああ、白々しい。


 我ながら白々しいからもう止めるけど、とにかく無理だったから諦めて、備蓄タンクで試したんだけど、それも無理だったんだ。

 だからもう原油の横取りは諦めて、素直に限界の大きさを探ろうと思ってさ、少しずつ小さな物で試してみたんだ。

 そうしたらタンクローリーが入ってちょっと食指が伸びかけたんだけど、可哀想だから元に戻してさ、大きさの調査を実行したんだ。


 その結果、50メートル角ってのが判明した。


 石油備蓄タンクの内径は80メートルぐらいあるらしくて、だから無理だったんだと分かったんだ。

 それはともかく、ならば45メートル角の鉄の塊にすれば、枠の消費も少なくてと思ったところで、鉄の質量の事を思い出したんだ。

 質量がいくらだったか、なんてのは確かに記憶の中にありはする。

 だけど以前、電気街でノーパソやら充電池やらを大量に買ったのを思い出し、折角だからと計算を始めたんだ。


 鉄の比重が7850キロ/立法メートルだから、45メートル角だと凄まじい重量になっちまうよね。

 71万5000トンって……こんなの使い道が無いよな。

 世界最大のクレーン船でも1万4000トンしか吊れないのにさ。

 陸上とかもう3500トンかそこらだよ。

 何処の精錬場も引き取ってくれないぞこれ。

 うっかり敷地内に置いておいたら、傍迷惑以外の何物でもないよな。

 そんな訳で、重さから大きさを決めようと思い、1000トンでの鉄の塊を作ろうと思ったんだ。

 んで、計算して1辺が5041ミリってところまで来て、まあ5メートル角で良いかなと思ったところにアレが来たんだ。


 ゴゴゴゴゴ


 またぞろ召喚かと思ったオレは、ノーパソ収納して身構えたんだけど、対象はオレじゃなかったんだ。

 少し離れて計算をしていたんだけど、そうしたら傍らの金貨のなれの果てが対象だったんだ。


 いやね、管理を悪く言うつもりはないけどさ、仮にも超越者が持ち込んだ品、しかも下の世界体験勝手って特典を借りている存在が置いてある品だよ。

 それをいきなり管理空間から突くってのは、間違っていると誰でも思うよな。

 確かに世界は管理の所有物のような位置取りになってはいるけど、オレはその範疇外になっている。

 となれば持ち込んだ品も当然、それに含まれるよな。

 そりゃ確かに金貨はこの世界の物質だけど、持ち込んだ砂糖との交換で既にオレの所有物だ。


 いきなりそれは起こったんだ。


 オレの横の精錬場がいきなり元の荒野になっちまい、あったはずの金貨のなれの果てが消えちまったんだ。

 誰も放置するとは言ってなく、終わったら元の荒野に戻すつもりでいたよ。

 そもそも誰も居ない荒野の外れの場所を少し借りていただけだ。

 確かに許可を申請はしていなかったけど、元来超越者ってものはそんな事はしないものだ。


 嫌なら始めた時に言えよとオレは言いたいだけだ。


 ずっと放置してオレが計算を始めて意識を逸らした途端、狙っていたかのような所業。

 大方? 何が起こったのか分からずに? 天の采配と諦めて? 甘いんだよ、てめぇ。

 いやぁ、あの時の体験が忘れられなくてさ、また味わってみたいと思っていたんだよ。


 行きまーす、2回目の管理殺し、クククッ。


転移ワールドアクセス】【枯渇ダメージインパクト】【枯渇ダメージインパクト】【枯渇ダメージインパクト】【枯渇ダメージインパクト】あれっ。

吸収バキューム】はぁぁ、前より少ないぞ。

 本当の雑魚管理かよ、残念だな。


 《またですか……いきなり攻撃を受けたんだ。反撃したら消えたんだ……はぁぁ、困りますね……管理の教育よろしく……命じてはいるんですけどね……ごめんね……仕方がありません、ですが次は消す前に連絡をお願いします……そっちに送ろうか……そうしてもらえるとありがたいですね……分かりました》


(ああ、資質は充分なのに、どうして望むのですか。望まなければ私の次と思いましたのに、実に残念ですよ)



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