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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
異世界 1年目
75/119

75 状況

彼が起きたのでひたすら会話になりました。

 


「オレ、どんだけ寝てた? 」

「寝るとなったらひたすらだな。かれこれ2ヶ月ぶっ続けだぜ」

「うげ、そんなに寝てたのかよ。ああ、あの精神疲労、かなりだったんだな」

「魔法ってな、そんなに疲れるのかよ。確かにすげぇの連発してたけど」

「いや、オレの方式はな、無意識で術式を組み合わせて、無意識で発動するって方式になってんだ。それをあの合言葉みたいなので、一連の作業を無意識にやるんでな、簡単そうに見えても頭ん中では派手な作業になってんのさ」

「それは慣れ、なのかよ」

「まあそうなるな。最初はちゃんと唱えて発動してたしな、長い詠唱を」

「その詠唱ってな、どうやるんだ」

「お前ら、特典もらったろ、自動翻訳とか」

「ああ、だから呪文とか読めるけど、発動しねぇんだわ」

「あれは原音でやらないと無理だ。オレは特典無しで覚えたから、原音でやれるけどな」

「うがぁぁ、そんな落とし穴があったのかよ」

「日本語しか知らない奴が、英語の呪文とか、やれると思うか? 」

「くそぅ、なら特典がある限り、魔法は使えねぇって事じゃねぇかよ」

「そこはアレンジだな。オレが日本語版に調整してやるさ。まあ、時間は掛かるだろうけど」

「頼むな、オレ、使ってみたくてよ」

「後はイメージだ。マッチの火をイメージして、『炎よ、我が手に宿れ』これやってみな」

「おっし『炎よ、我が手に宿れ』くそ、出ねぇぞ」

「オレが最初の火を出すまでに何年掛かったと思ってるよ」

「うげ、そうなのかよ」

「1回で出すとか、どんな天才だよ。じっくりやれ、出るまでな」

「ああ、そうするぜ」

「ああ、身体の中にもやもやするものを感じる訓練が先かな。んで、それを感じれるようになったら、自分の意思で動かせるようになれ。んで、それを ひたすらやって、まずは魔力に慣れる事からだな。その後からなら多分、1発成功するかも知れん」

「そっか、やっぱしそういうのがあるんだな」

「よしまた飲め。あいつは飲めば飲む程に身体が更新されていく。多分な、まだ間に合うはずだ。ハタチぐらいまではあれで身体を強化出来るはずだ」

「お前もあれを飲んだんだな」

「ああ、毎日毎日、ひたすらな」

「おしっ、オレもそうするぜ」

「よし、10樽ぐらい出してやる。毎日、少しずつそいつを飲め。まあ、大ジョッキ1杯ぐらいずつかな」

「それで更に強くなるってか」

「耐久力や魔力とかが強くなるんであって、技能やその他の力はまた別だ。あいつは基礎を上げる効果しかねぇぞ」

「それがありがてぇんだよ。今じゃ1日中狩っても、そんなに疲れてねぇからよ」

「まあ、スタミナ確保には最適だな。よし、【倉庫マジックボックス】ほれほれほれほれ」

「よし、マジックボックスっと、よし、よし、よし……んでと、ラストのこいつを、んぐっんぐっ、ゴクッゴクッ、ぷはぁぁ。うお、疲れが消えたぁ」

「一味違うだろ、クククッ」

「盗賊なんかとは比べ物になんねーぜ。あ、そうそう、あいつら、謝っていたからまた混ぜて良いよな」

「なんだ、もう泣きが入ったのか」

「山本は神殿通いの日々だとよ。毎日帰してくれと祈ってるらしい」


 ああ、山本の人格じゃあそうなんだろうな。

 つまり、中の人は修練を独自にやっていると。


「他の2人の腕前はどうなんだ」

「ゴブリンをソロでタイマンで何とか倒すぐらいかな」

「まだまだだな。それで、お前はそろそろドラゴン倒せたか」

「おいっ、強い相手とは戦うなと言ってたろうが」

「あんなの雑魚だろ」

「お前、自分を基準にしてねぇか? 」

「あっ、そうだったな。うんうん、それで、オークの群れは余裕だな」

「最初からそう聞いてくれよな。ああ、余裕だぜ」

「金はあるのか」

「あいつら、装備もロクに揃えてなくてよ、金貨30枚カンパしちまったぜ」

「オレも3人にと、金貨100枚カンパしたんだよな」

「うげ、あいつら、たった2ヶ月で使い過ぎだろ」

「お前は盗賊ってメシがあるから良いが、人間は1日3食だぞ」

「あ、そうだったぜ、くっくっくっ」

「安いこの宿でも1日銀貨50枚。2ヶ月で金貨30枚。もっと安い宿なら節約になるが、メシは180回食う計算になる」

「ああ、足りねぇな」

「武器はあったが防具は無い。おまけに……あ、ギルドはあったのか」

「あいつら、ギルド知らなかったみてぇでな、今ようやく下級認定でゴブリン狩れるクラスになったさ」

「お前は中級か」

「おうっ、何とかよ」

「よし、オレもいきなり中級狙うか」

「それは無理じゃねぇか? 」

「ふふん、ああいうのはな、実力を見せれば良いんだよ。だからギルド員の前で魔法の1つでも使ってやれば、すぐにしてくれるさ」

「あああっ、そんな手が」

「そこらのゴミを吹き飛ばしてやれば、どうぞ中級になってくださいって言うさ。言わなかったら他の町に行くと言えば良いだけだ。腕の良いのが消えるより、 中級に上げたほうが町の為だと思えば、それぐらいの融通は利かせるのが、ああいう組織ってやつさ」

「じゃあ、明日から一緒に狩ろうぜ」

「さて、オレも飲んでおくか……」

「よし、オレももう少し……ゴクッゴクッゴクッ……ぷはぁ、うめぇぇ……ふうっ……これってよ、人間の血じゃないんだろ」

「クククッ、気付いたか、魔族の血だ」

「うえっ、そうなのかよ」

「魔法が強い人間みたいなものだぞ。別に化け物って訳じゃねぇ」

「そう言う事なのか」

「ただな、そいつを飲めば飲む程に身体は強化されていき、寿命も延びていく事になる。だから人より強靭な肉体を持ち、そして人を糧にする」

「なら、オレも魔族だな、くっくっくっ」

「だから魔王と言ってもこの国の王様と同じ、領地を持った権力者だ。となると国と国の争い、つまりは戦争になるんだが、基礎体力が違うから一般人じゃ戦いにならない。だから勇者を召喚して代わりに倒してもらおうとする。自分の事しか考えず、他の世界から都合も考えずに誘致して、全く、傍迷惑な行為だぜ」

「それだけの事なのかよ」

「ああ、だから牛の勇者が人間を討伐って感じだ」

「同じ事なのに、それが人間になった途端、退治ってか。くだらねぇぜ」

「だから退治の話は放置して、こうやって修練にしてんじゃねぇか。機会は利用しないとな」

「それでかよ。おし、オレも利用するぜ」

「最後に使った魔法、あれ、世界を渡れるからな。強くなったら帰るぞ」

「それであんなにあっさりと言ってたのかよ。オレはお前と世界で探すつもりでいたってのによ」

「あれを使うと旅行が凄く簡単になるんだよな」

「なのに、航空機で何時間も移動した。つまり、バレるとヤバいから自制してたんだな、ずっと」

「いやな、アリバイになるだろ、殺しの、クククッ」

「ああ、そういう使い道かぁ、良いかも」

「北海道、お食事旅行、行くか、そのうち」

「くっくっくっ、良いねぇ、そういうのも」

「何を言っても変わらないな。つまり完全に開き直ってんな」

「試しかよ。もう別の存在って思うようにしてらぁ」

「それが正解だけどな」

「おし、寝るぜ」


清浄クリーン


「うほー、また便利な魔法だぜ。風呂がねぇからもう痒くてよ、助かったぜ」

「なら、明日は野原で露天風呂でもするか」

「やったぜ、待ってました」

「それはそうとお前、宿と交渉してくれたか? 」

「なんだそれ」

「あれ、1日銀貨50枚、日本円にして5万は高いだろ。だから寝ている間に値切ってくれたと思ったのに」

「そうなのかよ」

「情報得てないのか? 値切ったら銀貨10枚になるぞ」

「もっと早く言ってくれよ、そういうのは」

「行って来い、そしたら延長がタダになる。追加で半年、値切りでもぎ取って来い」

「おっしゃー」

「いいか、中級冒険者のカードも見せるんだぞ。町への貢献が高いから、恐らくいけるはずだ」

「おっし、半年だな。もぎ取ってやるぜ」

「買物も全てそうだからな、武器も防具も食い物も、値切り文化は面倒だが、貧乏人の防護策。金持ちはその手間を惜しみ、貧乏人は暮らしが楽になる」

「そう言う事か、成程だぜ」

「貧乏国と聞いて、ああ、値切り文化だと思ったが、やはり合っていたって事さ」

「そういうのも経験だな」

「あっちの国もそうだからな。まあ、お前は通訳された言葉しか聞いてないから判らないかも知れんが、オレは現地で日本円を現地通貨に両替する時とか、かなり値切ったから慣れてただけさ」

「ああ、あのツアーの時かよ」

「かなーり粘ってようやく負けやがって。今度行ったらもっと値切ってやるぜ、クククッ」

「それもこれも言語か。オレも色々覚えねぇとな」

「値切り勝負の為に覚えるんだ。覚えないといけないからじゃねぇ」

「目的が先かよ、それで色々覚えたんだな」

「必要で覚えていったのさ、何もかも全てな」

「おしっ、オレもそういうの、見習わんとな。さーて、値切ってやるぜ、くっくっくっ。黙ってたのは確信犯だろ、そこら辺りを突いてやれば、くっくっくっ」

「値切りのプロになりそうだな」

「くっくっくっ」


「5人で1人銀貨10枚。つまり、銀貨50枚は5人分だ。オレ達はまだ20枚分しか使ってない。で、残り1ヶ月余ってる」

「残り銀貨30枚で3か月分、プラスオレ達の分、そいつを5人で半年かよ」

「そこに中級が効くんだ。メシのランクを落としたり、宿の明かりの魔石を提供したり、魔物の肉を渡したり、やれる事は色々あるだろ」

「お、肉ならかなりあるぜ。オーク肉が大量にな」

「ありゃ豚肉だからな、宿も喜ぶだろうぜ」

「ボックスに50匹は入っているからよ、それでいけそうだな」

「いいか、王様にもらったと言うんだぞ、ボックスの事は」

「そうか、王様のせいにするんだな」

「召喚の意趣返しだ。便利なアイテムは全て、王様から勇者へのプレゼントだと言えば、欲しい奴は王様に向かう。だが、一般人では王様にはおいそれと会えない。だから真偽不明のまま、不満は全て王様に向かう。んで、欲しかったら国に貢献すれば良いとか、そうやってのらりくらりだ」


「おしっ、それでいくぜ」



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