73 力技
ミツヤ育成プログラムの開始である。
金貨袋を取り出し、あれやこれやと買い求める。
「その金はどうしたんだよ」
「宝物庫にな、複数あったんだけど、ボックスに入れて1袋だけ持って出たんだよ」
「くっくっくっ、抜け目がねぇぜ」
「確かに仲間になりはしたが、所詮はまだ浅い。ちょいと揺れたらああなる事は読めてたさ」
「オレは揺れてねぇぜ」
「当たり前だ。お前が揺れてどうするよ。何年来の付き合いと思ってんだ。揺れたら人間不信になっちまわぁ」
「ありがとよ、コージ」
「さて、そろそろ懺悔するか」
「何だよその懺悔ってのは」
「猟奇殺人、犯人はオレだ」
「うえっ、マジかぁ」
「血が無かったのは飲んだからだ」
「うううう、オレ、あん時、凄く悩んでよ」
「何を悩んだんだ」
「オレ、疑われてたろ」
「なんだ、気付いてたのか」
「あの刑事が消えたからいいようなものの、あのままだっら逮捕されてたかも知れないと思ってよ」
「だから処分した。下着ドロに罪を着せてな」
「うえっ、あれもかよ」
「首絞めて吊るしてやったんだ」
「お前ぇぇ、相当派手にやってんじゃねぇよ、バレたらどうする気だよ」
「あれ、そっちの心配かよ」
「当たり前だろ。オレも飲んだんだぞ、血を。同じになったんなら心配するのはバレる事だろうがよ」
「やっぱりお前、変わってるぜ、クククッ」
「オレだってあんなに美味かったんだ。きっとまた欲しくなる。けど、本当はもっと酷いんだろ。あの飴が無かったら」
「当時は記憶が無くてな、だけど罪悪感は無かったな。冷静に証拠を消す事だけ考えてた」
「今は記憶が戻ったのかよ」
「いわば前世の記憶と言うかな、元々異世界人だったオレが、あっちの世界に転生したって感じだ」
「それでかよ」
「よし、これでいい。さあ、狩りに行くぞ」
「あ、ああ」
ステータスオープン……ええと、ああ、あったあった、パーティ特約。
経験値分配は、均等、後は……スキルは、そうだなぁ。
防御系だけ共用にしとくか。
耐魔がかなり高いから、それを共用してと。
耐精神もかなり高いから共用と。
よし、こんなもんだろ。
「よし、背中におぶされ」
「うえっ、どうするんだよ」
「パーティで経験値は均等分配にした。しばらくパワーレベリングで上げるぞ」
「お前、どんだけ強いんだよ」
「レベルは聞くな、頼むから」
「うげぇぇぇ」
言えるかよ、100万とかさ。
数千年の集大成のレベルとか、到底言えねぇよ。
HP1億超えているとか絶対言えねぇよ。
「しっかり掴まっていろよ」
「あ、ああ」
「行くぜ、この世界初、飛行魔法」
「うえっ、あるのかよ、飛べる魔法が」
「オレは違う異世界の生まれだ。当然、あるに決まってるだろ」
「うひょー、やってくれ」
「おっしゃー、行くぜ、【飛翔】」
「うおおおおお」
「さあ、パワーレベリングの始まりだぜ」
「うおおおおおお」
上空に登って【探査】して、モンスターを確認して急行する。
赤い点々を確認後、集まっているところに【暴風】
「うげぇぇ、やっべぇぜ」
【乱風】
「うおおおおお、レベルアップの音が止まらねぇぇぇ」
【解体】でもって【倉庫】入れや入れ、おっと【風刃】【解体】【倉庫】次ぃ。
「今の、ドラゴンじゃねぇのかよ」
「あんなトカゲ、余裕だぜ」
「うへぇ、とんでもねぇ」
「レベル100になったら言え」
「今、74だ」
「早」
「さっきので大量だったからだろ」
「まだまだ行くぜぇ【乱風】【暴風】【竜巻】【解体】【倉庫】」
「92だ」
「もうチョイか、よしよしそいつで決まりかぁ……【風刃】【風刃】【風刃】【解体】【倉庫】」
「98」
「よしよし、ならばこっちだぁ……発見、せーの【乱風】【暴風】【解体】【倉庫】」
「行ったぁぁぁ」
「よーし、【転移】」
「うへぇ、ラストにとんでもねぇ魔法がキター」
元の町の片隅に【転移】して、ミツヤに金貨袋を2袋渡す。
これでやりくりしてくれと……
「良いか、あくまでも戦いの技量だ。レベルを上げようなどと思うなよ」
「そうなのかよ」
「雑魚相手でいいから、戦い方をまず覚えろ」
「ああ、そうするぜ」
「レベルが欲しいならまたやってやる。だから今は技量だけだ」
「そうするぜ」
「後はこれがメシ」
「串肉かよ」
「1000本のセットになっている。100本ずつの箱だ」
「妙に豪華な箱だな」
「手違いでな、だから箱も入れといてくれ。売れそうだろ」
「重箱のでかい奴みてぇだな」
「1000本あればかなり保つだろ」
「余裕だぜ」
「後は美味しい水の箱が詰まったコンテナだ」
「これってあそこの」
「契約してボックスだ」
「戻れたらオレもやりてぇぜ」
「ああ、やれやれ、金はいくらでもあるからよ」
「くっくっくっ、楽しくなってきやがったぜ」
「くれぐれも言うぞ。技量だけだ」
「おうっ、雑魚で慣れるんだな」
「盗賊見つけたらぶっ殺して飲み放題だ。命の軽い世界だしな。んで、死体はボックスだ」
「懸賞金ってやつかよ」
「おやつにもなるしな」
「くっくっくっ、すっかり吸血鬼、やってんだな」
「おうよ、とっくに開き直ってらぁ」
「おしっ、オレも開き直るぜ」
1日銀貨50枚の宿に3ヶ月契約。
2人分で金貨90枚渡しておく。
ミツヤには疲れたら戻るように伝え、オレはベッドに横たわる。
ああ、近年に無く魔法の連打だったな。
そりゃMP2500万ありはするけど疲れたぜ。
後は頑張ってくれ。
それなら少しぐらいタコ殴りに遭っても死なないからよ。




