表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
高1 1学期
66/119

66 辞退

 


 そのさりげなさを装った、意識の向けようは何だよ。

 まるで危険人物みたいに……まあ、連続殺人犯だけどさ。

 頼むよ、山本の意識の奥で寝ているお前、連絡しといてくれよ。

 佳代さんの意識の奥で寝ている彼女、お願いだよ。

 そんな一挙手一投足を監視されると、気が休まらないんだよ。


 それはともかく、特待生クラスの特典は以下のとおり。


 1 寄宿舎特別室の使用

 2 特待生メニューの注文

 3 生徒会への優遇勧誘

 4 各種試験の受験優遇

 5 校外活動での支援優遇

 6 進学先への優遇斡旋

 7 学長からの会食招待


 という訳で、全て辞退する事にした。

 だって面倒だし。

 そして辞退したのはオレだけであり、他の者達はその恩恵に与ったと、そこまでは良いんだ。

 けどな、全て辞退した者に与えられる更なる特典とか、そんな罠みたいなのは止めてくれよ。


 生徒で遊んでんのかよ、学長さんよ。

 オレと友達になった、同じ特待生クラスの彼。

 名前は橋本裕也。

 彼の学章は『1-S』なんだけど、オレは『1-SS』になっている。


 つまりさ、全て辞退したらこうなったんだ。


 そしてさ、その恩恵だけど、ミラサンしてても何も言われないんだ。

 オレさ、高校デビューって訳じゃないけど、変な校風に少し嫌気が差して、もう県立に移ろうかと本気で思ってて、なのに何も言われないんだ。

 思い切って授業で寝た振りしてみたんだけど、教師も何も言わないんだ。

 まさかと思って学長に聞きに行ったんだ。


 そうしたら言われたよ。


『欲を断ち切れたのはおぬしで2人目じゃ。見事なり。褒美としてこれからの3年間、大抵の事には目を瞑ろう。犯罪以外は構わぬから、遅刻なり欠席なり、好きにするがよい。まあ、出席日数はクリアすれば、後は何とでもしてやろうぞ、はっはっはっ』


 自己中やってんじゃねぇよ。


 そんな好き勝手、許される訳無いだろ。

 そう思ったんだけど、最初のクリア者は総理経験者とか言われてさ、家が裕福だったからたまたまクリアしただけとか、お前は平民上がりだから余計に偉いとか、時代錯誤な事を色々言った挙句、上流階級から見合いの相手に選ばれるかも知れんとか、将来は政財界に関われるかも知れんとか、なんかもうオレが嫌な事をつらつらとまくしたてられて、本気で転校を考えたんだ。

 そして転校したいって言ってやったら、目を丸くしやがって。

 そこまでの奴は初めてじゃ……とか、更に気に入ったとかもう、天邪鬼かよこのおっさんって、はぁぁ、もう何とかしてくれよ。


 そして今は『1-SSS』オレは車かよっ。


「お前、また隠してんのかよ」

「良いだろ、このAシール。何をしても構わんと言うから、校章に細工も構わんって事だしな、クククッ」

「しっかし、そんな事になってたとはよ」

「もう県立に変わろうぜ。こんな変な学校、将来がヤバそうだぜ」

「まあ、お前がどうしてもと言うならまぁ、そうだなぁ」

「ああ、それ、無理だよ」

「何でだよ、橋本」

「だって受理してくれないよ。特待生クラスの放出とか、あの学長が絶対に許すはずがないよ」

「じゃあ退学だ」

「おい、待てよ、早まるなよ」

「それも受理されないだろうね。だから退学して他にって手も使えない。在学したまま他の高校は無理だからさ」

「横暴だな」

「確かに義務教育は抜けたけど、学生は何かと不自由なものさ。諦めちまいなよ、特待生さんよ」

「木本か、交代しようぜ」

「嫌なこった。オレは一般学生で満足してんだ。そんなクラスとか肩が凝るぜ」

「オレも一般になりてぇ」

「くっくっくっ、残念だったな」

「そういや、部活、もう決めた? 」

「帰宅部」

「あ、くそ、それだけは羨ましいぜ。全員参加の部活、それもフリーなんだろ」

「ご苦労さん、オレは帰宅部ですから」

「あーくそ、そこだけ代わりてぇ」

「ミツヤは何にするんだ」

「魔術研究会」

「何だそれ」

「ああ、あの、オカルトクラブかよ」

「実はよ、だーれも入らないんだってよ。だから部員はオレだけだぜ」

「んじゃ、活動は自由って事かよ」

「まあ、期末に成果みたいなレポート提出は要るけど、特に何をするって訳でも無いらしいな」

「おしっ、オレもそこに入るぞ」

「僕もそうしよっと、くすくす」

「ふん、入ってやる」

「くっくっくっ、決まりだな」

「言い出しっぺが部長だぞ、良いな」

「任せた」

「お任せ」

「はぁぁ、仕方ねぇな」

「ミステリークラブが無かったから決めたんだろ、ミツヤ」

「くそ、廃部になってやがったんだよ。探偵クラブがよ」

「ああそれ、この前の事件で変に関与して、それで潰れたって話だよ」

「くそぅぅ、誰だよ、あの事件起こした奴はぁぁ」


 すまん、オレだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ