62 抱枕
翌日、朝5時に起きると、皆はまだ睡眠の中。
なのに何故かミツヤはソファで眠っている。
あれ、昨日からそこで寝たままかよ。
よしよし、そう言う事なら抱枕だ。
あれ、何か変な夢を見てないか? 抱き返して来るんだが。
まあいいや、ふわふわするからこのままで……おやすみぃ。
☆
(おほほほほほ……いいアングル発見よ……このままスケッチスケッチ……イマジネーションかき立てられるわね)
(あっ、僕も混ぜてもらおうかな、くすくす)
周囲がざわめいて目覚めると、佳代さんはスケッチ、山本は同じになっていた。
佳代さんはやっぱり腐女子で、山本はソッチの気ありか。
どうにもオーラの色がなぁ、昨日と全然違うんだもんなぁ。
佳代さんは空色、山本は淡いピンクだ。
あの、黄色と白のストライプってのが上の特徴か。
つまり、青と白の混ざりと思ってた斉藤さんはやはり。
いかんいかん、フタだったな。
それにしても、両親は昨日の夜また頑張ってたが、本気で作る気かオレの下を。
親父が39才でお袋が36才だろうに、36で妊娠はまだいけるのかよ。
こりゃ頑張ってサポートしないとな。
精神体でサポート要員頑張るか、クククッ。
待てよ、そう言う事じゃないのか?
例えばこの混ぜた力を、胎児に浴びせると同類になっちまうとか。
どうにもありそうな話だけどな。
つまり、ミツヤの母親とオレの母親、共に何かの要因で出産がヤバかったと。
それに対して上の力での干渉があったんじゃないのか。
だからオレ達がこんな存在になっちまったと。
どうにもあり得そうな推測で怖いな。
つまり、危険になるまでは放置しないと、同類を作っちまうって事か。
うっかり手が出せんな。
てかさ、魔法での治療でも魔法の素質になるんじゃないのかな。
こりゃうっかり手が出せないな。
こんな世界で魔法の素質を植えつけたら、またぞろどっかの世界から打診が来て、勇者召喚の役者にされたりしてよ。
そんな波乱万丈、望みもしないのに親と永遠の別れとか、可哀想だから止めておきたいな。
けど、危険なら使うから諦めてくれよ。
確かに身体も作れるし、それに植え付けるのもやれはする。
だけど最初はあくまでも自然に発生させたいしな。
人為的な生まれとか、どうにも自然な存在じゃないみたいでよ。
「うおおおおおお」
「朝から賑やかだな、ミツヤ」
「なななな、何でこんな事になってんだよ」
「ミツヤ君、朝から煩いよ」
「山本ぉぉぉぉ、お前もかぁぁぁ」
「シンジと言って欲しいね」
「シンジ、愛してる」
「くすくす、ボクもだよ、コージ」
「うおおお、お前らぁぁぁ」
「あはは、晩御飯ゲットだね」
「オレもだな。しかし、ミツヤはカップ麺だ」
「うげ、まだいいよな、あれ、佳代さんは? 」
「スケッチ終わって部屋に篭ったよ」
「しまったぁぁぁ」
「オレとシンジの対話が決め手になったみたいで、オーケーサイン出たからな」
「そうそう、あれでいけたみたいだし」
「うぐぐぅぅ」
「同じメシが食いたいなら、ヌードモデルでもして来いよ、クククッ」
「あはははは、それしかないね」
「くそぅ、こんな方式、ヤバいだろ」
「料理人の意欲に繋がれば、美味い飯が食える。ミツヤも賛成したろうに、今更かよ」
「仕方がねぇ、ここは恥を忍んで」
「くすくす」
あれからそういう方式に決まり、佳代さんの美味い手料理には交換条件が付いた。
オレ達は美味いメシが食え、佳代さんはネタに困らない。
皆が得をするこのシステムは、全員賛成で始まった。
そもそも佳代さんは家政婦として、部屋の掃除と洗濯がメイン。
料理は店屋物でも構わないつもりだったのだ。
だけど、料理も作れるという話であり、あくまでもサービスの一環。
そこにネタ提供なら腕によりをかけるって話になったのであり、後付けでの特典みたいになっただけなのだ。
つまり、給与外での労働に当たるから、そこに何らかの条件は必要だったのだ。
それはともかく、佳代さんはじゃれてるオレ達を色々スケッチして、イマジネーションをかき立ててそのまま作品にする。
それがかなり調子が良いようで、今度の即売会に出品の作品も、種類がかなりあるらしい。
その道ではそれなりの知名度らしく、時期になったら大勢が集まりそうな話だ。
なのでその時期には部屋を貸す事になっていて、オレ達は他に退避する。
それと言うのもネタ元を秘密にしないと、想像されるとお互いに困るからだ。
なので集まりがある時はそれぞれの部屋はロックして、オレ達はホテル住まいになる。
それで佳代さんは想像の存在を描いている事になるし、オレ達はモデルと言われなくて済む。
まさか一緒に住んであれこれモデルにしているとか、風聞も悪い話だし……特にオレ達が。
進学校にそれは致命的かも知れないし、そこは徹底して隠す予定だ。
あくまでも佳代さんは家政婦として、オレ達の面倒を見る契約になっていると。
まあ、その保証人が斉藤さんなので、弁護士相手にどうにこうのは無かろうというのが安心なところだ。
山本以外は親戚同士という事もあるしな。
まあその山本も3位入学で秀才だし、オレはトップ入学だ。
ミツヤも15位とか言ってたし、そんなのをそうそう排除もやれまい。
無理な排除は後見が煩くて、そして後見は現役の弁護士と。
それでも追い出すなら本家3男のミツヤの伝で、県立に揃って転校だ。
そうなったらどうなるかだな。
追い出した奴、かなりヤバい事になるぞ。
私立の評判落としたとか言われたりしてな。
オレ達はそれなりの大学の予定だけど、県立に転校になったら国立でも狙ってみるか。
てか、留学にも興味があるんだが、あいつらどうなんだろう。
高校では無理でも、大学で留学とかやりたくないかな?
オレは興味があるんだが、そのうち相談とかしてみるか。




