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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 夏休み
6/119

06 危惧

 


 そうして登校日……


「お前、残りの夏休み、どうすんだ」

「夏期講習かな」

「おいおい、遊ぼうぜ」

「オレはお前みたいに賢くない」

「何処を狙ってんだ」

「家の近く」

「あそこ、そんなにレベル高く無いだろ」

「お前にとってはな」

「偏差値、いくつだよ」

「45だ、悪いか」

「うっく……けどよ、あそこは70だぞ」

「だから必死にやってんだろうが」

「無難なとこにして遊ぼうぜ」

「卒業したら終わりになるのと、高校でもつるむのどっちがいい?」

「はぁぁ……それを言われると辛いぜ」

「まあ、お前なら他にいくらでも友達いるだろうけど、オレには唯一の友だしな」

「他の奴? そんなの居るはずがねぇだろ」

「あれ」

「あれじゃねぇよ。オレにはお前が唯一の友なんだぞ」


 ううむ、意外だ。


 ミツヤって友達付き合い多いのかと思ってたけど、オレと同じだったんだな。

 そう言えば、クラスの中でのあいつはオレ以外と話もろくにせず、休み時間になったらオレの席に来て放課後の事なんか話してた。

 特にゲームの話になるとあいつの独壇場で、新作のネトゲがどーのこーの、ゲーセンの最新ゲームの攻略がどーのこーのと……


 オレはゲームとか特に興味は無いけど、あいつとつるんでゲーセンに行き、あいつがやっているのを見るのが楽しかった。

 夢中になってゲームをやり、燃え尽きた頃にジュースの差し入れ。

 健闘を称えてゲームの感想。

 そういう何気ない時間が楽しかったのだ。

 それでもオレも何かやろうと思い、クレーンゲームでいくらか消費するのが毎回のパターンで、下手の横好きだと思われていたり……


 だから景品が取れる事など滅多に無かったが、それなりに楽しめていたと思う。

 3年になって進路が決まってからは付き合いも悪くなったが、それでも帰り道の道草には付き合う事にしていて、買い食い仲間としていくらか消費する日々。

 1500円の小遣いの事は知っているので、1日割50円のはずが数百円だったのが不思議だったのかも知れない。

 それでレース場でオレだと思ったのかな。

 ああいうアルバイトだからと納得し、それの確定の為の詰問だったのかも知れないな。


 だけどな……前にも思ったけど、本当に危険なんだ。

 だからこそ、これは誰にも言えないオレだけの秘密。


 数日後、サイトを見ていたらネットバンクなんてものを見つけた。

 これはもしかして……レースの支払いとかもやれたり。

 サイトを見ていると別に未成年でも構わない様子。

 仮想だろうと何だろうと、やっているのは銀行業務だからか。


 早速、そこに申し込みをして口座を獲得。

 郵便貯金を300万にして、ネットバンクに100万投入で、手持ちは20万。

 鍵の掛かる引き出しの中の20万はオレの小遣い不足分を埋める資金。

 端数は財布の中……20万あれば卒業までの補填金に足りるだろう。


 志望校は家の近くだが、あいつがあそこに決めたのは家が近いからじゃない。

 恐らく、学校の方針のせいだろう。

 放任と言うか自主性を重視すると言うか、制服すらも自由らしい。


 確かに制服がありはするが、それを着て登校するのも自由であり、余りに酷い格好じゃなければ教師も何も言わないらしい。

 それと言うのも芸能科があるせいで、そういうお堅い規則にしてないらしいのだ。

 小さな頃から芸能界で馴染んでいる奴とか、どうしても遅刻早引け私服で登校になってしまう。

 そんな場合、そいつだけの特権みたいになるからと、学園長の方針でそう決まったらしい。

 そういう学校だからあいつも自由にやれると思ったんだろうな。

 新設校なので余計に規則が少ないようで、あれが出来てからと言うもの、オレの目標にもなっていたんだが、偏差値を知って諦めかけていた。


 だがあの能力の開発をやるにつれ、テストの回答もぼんやり見えるようになってきた。

 さすがに全問だときついので、それからはその能力は使っていない。

 家で問題集を解く時に、タマゴ持参で解く修行をしたぐらいだ。

 だが、入試に向けてタマゴを10ケース入るような、大型の水筒を用意する事にしている。


 水筒なら何を飲んでいるかとかバレないだろうし……まあ、匂い消しは必須だし、食い物も欲しいが。

 腹がガボガボになるのがネックなのと、あんまり大量の場合、お腹が緩くなるのも困る。

 確かに時々大量摂取でも何とかなってるが、やっぱりあんまり身体には良くないような気もするし。

 第一、普通ならあれ、高脂血症の原因になるよな。

 だから毎日だと命に関わると、以前にミツヤに話したのも嘘じゃないと。


 どうにも言い訳っぽいけどな。



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