表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中学 卒業式
59/119

59 卒業

調子っ外れの表現に、誤字っぽいのを使いました。

 

 

「あの恒例の歌、英語で歌うとか」

「うっく、あれをかよ」

「良いかもね」

「歌えるのかよ、山本」

「うーん、何とかかな」

「オレは歌えるぞ」

「ダメだ、歌うな」

「青ゲバ糖と死、和菓子の恩、押し絵の二羽煮も刃や逝く戸背」

「歌うなと言ってるだろ」

「何でだよ、前にも止めて」

「お前の歌は有害だ」

「くすくす、確かに音程がおかしいね」

「ソングウェポンだろ」

「そう言われればそうかも」


吸収バキューム】しながら歌うからだろうけど、気分が乗るんだよな。

 その分、周囲の奴らの気分は低下するだろうけど。

 多分、観光バスで歌ったら、オレ以外はバス酔いになるかもな。

 けどなぁ、あれを攻撃スキルと言われるとさすがに凹むぞ。


「よし、あの訴え女の結婚式で歌ってやろう」

「可哀想だろ、止めてやれよ」

「まあ、機会があるかどうか分からんけどな」

「酷い……それも訴えてやるわ」

「お前、被害妄想が過ぎないか。入試の事もだけど」

「親戚の人に相談して、もうじき裁判になるわ。覚悟しとくのね」

「おいおい、やっちまったのかよ」

「そいつ、もうじき捕まるから」

「証拠も無いのによくやるぜ」


【もしもし、青山です。あ、斉藤さん、ああ、来ましたか、はい、対応お願いします。はい? ええ、もちろん対抗です。最高裁まで争いますよ。いえね。今ここに居るんですけど、凄い鼻息でしてね、反省の色も無いのでとことんです。はい、うん、その口座からよろしく。はい、では】


「今、うちの顧問からな、検察の話が来てな、反訴する事になったから、最高裁までよろしくな」

「何よそれ」

「言っただろ、検察動かしたらうちの顧問弁護士が反撃すると。勝てると思うなら好きにしろ」

「嘘よ、勝てると言ったのよ」

「そりゃ正直に言わないからだ。お前の一方的な主観で相談するから、そりゃ勝てると思うだろうが、そんな証拠は何処にも無い。大体な、そんな疑惑、学校側の管理不行き届きと言ってるようなもの。こっちは入試関連の奴らも巻き込んで弁護団を形成するからな、それでも勝てると思うなら好きにすればいい。言っとくが、資金は余裕だからな、示談で終われると思うなよ」

「あーあ、やっちまったな」

「そんな、嘘よ、そんなの嘘よ」

「今更そんな事を言っても遅いさ。実社会の機関を動かしたら、何を言っても遅い。学生気分で調子に乗ったんだろうが、社会は甘くない。精々、前科持ちにならんようにしろよ」

「覚えてなさい、後悔させてやるから」

「そいつは恐喝だな。罪が重くなるぞ」

「ふん、そんなの誰も言ってない」

「それが学生気分と言うんだ。オレはお前との会話は全て録音済みだ。だからそいつも証拠として提出する」

「そ、そんなハッタリ、あるはずがないわ」

「今も録音してんのか」

「一般会話は問題無いさ。後は田口の苛めの会話とかもあるし、徳本の罵詈雑言ばりぞうごんも録音している。他にも今まで苛めた奴らの会話は全て録音してあるから、卒業後にゆっくりと起訴していこうと思っている。高校に入っていきなり裁判になって、退学になっても自業自得だ。オレはやられたままで放置するつもりは無いんでな、やった奴ら、覚悟しとけよ」

「てめぇ……そんな事をしてやがったのかよ」

「この野郎、そんな事を許すと思うなよ」

「生きて出られると思うなよ」

「ああ、殺してやる」

「おい、青山を生きて学校から出すな」

「おう、殺してやるぜ」

「おい、お前ら、正気かよ」

「また録音が増えたな。今度は殺人予告に共同正犯に色々だ」

「ふん、そんなの殺した後で証拠隠滅するだけだ」

「悪いがそいつは無理だ。送信しているからな、顧問弁護士のパソコンに。だから殺すならうちの顧問ごとだ。弁護士に手を出したらもう、どうにもならんぞ」

「そんなハッタリ効くと思うな。学校を出たらお前の最後だ。卒業しても家に帰れると思うなよ」


 ああ、獲物が大量だ、嬉しいねぇ、クククッ。


 殺人予告と共同正犯は合計7人となり、卒業式の後で殺すと予告。

 オレは平気なツラで式に臨もうとするが、周囲の奴らは気が気じゃない様子。


「お前、どうするんだよ」

「え? 何が? 」

「あいつらだよ、ヤバいだろ、あんなの」

「そうかなぁ、大した事無いだろ。あんなの言うだけさ」

「警察に通報したらどうだよ」

「オレ、警察、嫌いなんだ」

「好き嫌いの問題じゃないだろ」

「いや、だからな、警察は、オレも、そのな、つまりな」


 くそぅぅ、オレは連続殺人と言えないのが辛い。


 だから警察と関わりたくないってのに、分かってくれそうにない。

 参ったなぁ、ちょっと【暗示インプリント】で突いただけなのに、潜在的に色々思ってたみたいだな。

 放置してたら半殺しになると思ったから、ちょっと欲望を解放させてみただけなのに。

 あれで是が非でも殺すつもりになってくれてるし、あれでもう言い逃れは利かない。

 半殺しじゃ傷害で止まるけど、殺人予告はそうはいかん。

 しっかりと少年院に入ってもらわないと、後々生活の邪魔になるのは困るんだよ。

 少年院の中なら突然死しても、オレのせいじゃないだろ、クククッ。


 ああ、楽しみだねぇ。


 ちゃんと少年院に入ったら、深夜に訪問してやるから、たっぷりと楽しませてくれよ、クククッ。

 ご機嫌で式に臨み、元気に歌おうとしてミツヤに口を抑えられながらも式は終わる。


「また歌えなかった、仰げば尊し」

「だからお前の歌はヤバいんだって」

「そんな事より、どうするの? 彼ら、本気みたいだよ」

「うん、返り討ち」

「それも本気なのかい」

「伊達に毎朝、5時に起きてトレーニングしてないよ」

「うわぁ、君って色々と対策が凄いんだね」

「義務教育の間は、色々と肩身が狭いけど、卒業したらもう自由だ。だからずっと我慢していたんだよ」

「じゃあ、後で下宿の件、頼むね」

「今夜、ミツヤ、セッティング頼む」

「お前は対決かよ」

「ヤリ過ぎないように気を付けないとな。うっかり殺したら大変だ」

「お前、色々と猫被ってたんだな」

「ミツヤの先輩の件とかか」

「そういやあれっ切りだけどな」

「今頃、東京湾に沈んでないか? 」

「うへぇ、マジかよ」

「お前を先に帰してな、オレは金持ってバッくれたんだ。だからあいつが責任を取らされたら、どうしてもそう言う事になるだろ」

「マジかぁ」

「あの時、オレは変装してたけど、ミツヤはどうだった? 」

「変装? そんな事してたのかよ」

「用意は周到だぜ」

「ヤベェ」

「クククッ」

「大変そうな話だね」

「ああ、裏の博打の話」

「うわぁ、だから警察が嫌いなんだね」

「ミツヤと一緒に競輪とか」

「うっく」

「意外や意外って感じでもないけど、興味なのかな」

「いや、実利さ」

「そうなのかい」

「とにかく、ミツヤ、下宿の件、進めてくれ」

「ほいきた」

「さあ、オレは今から運動だ。たまには運動もしないとな」

「知りたいような、知りたくないような」

「さあ、やりまっかいな。ほな、また後でな」

「どうにも心配無さそうなのが逆に怖いね」

「クククッ、素人には手ェは出さへんでな、心配はいらへん」


 さてさて、どんな手合いになっているのやら。

 おーおー、校門に7人揃って息巻いてますな。

 お前らなぁ、周囲の奴ら、脅してんじゃねぇよ。


 通報されるだろうが。


 頼むからオレを刺す前に補導されるんじゃねぇぞ。

 今日は特製の【偽装フェイクカバー】やってんだからよ。

 ちゃんと刺したら真っ赤な液体を【倉庫マジックボックス】から出してぶちまける準備もしてんだ。

 なのに……あーあ、サイレンの音が……誰だよ、余計な事しやがって。


 オレの準備がぁぁ……参ったなぁ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ