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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 3学期
57/119

57 入試

 


 2月になり、進学校の入試がもうすぐそこになる。

 ミツヤは従姉を専属にして、部屋でマンツーマンでやっている。

 そんなオレは今、セーフハウスで株の値動きを見ているところ。

 部屋にカギを掛けて、ここまで【転移ワールドアクセス】で移動している。


 離れた場所なので、これが楽で便利でいい。


 もっとも、オレの部屋の様子はモニターしているので、何かあれば戻って【暗示インプリント】で終わる。

 無いと思うけど天災とか……まあそうなれば仕方が無いさ。

 それはそうと、やはりそろそろヤバいようで、早めの対策が必要になりそうだ。

 後のファクターで情報が更新されたらしく、時期が早まりそうな感じだ。

 なので計画を前倒しして早めに全売りにする予定を立てる。

 恐らくあっちが計画を変えたんだろうが、その予測がやれなかったのはオレが金を渡したせいだろう。

 つまり、自分が絡めば自分の予測が変わるって事らしい。

 新発見のようだけど、自分はこの予知の範疇外って事になる。

 だからその原理が気になるところだけど、もしかしたら権利を貸してくれた奴のスキル関連かも知れない。


 それなら考えても仕方が無い。


 権利喪失と共に消えるスキルの可能性が高いけど、依存せずに利用だけやれればそれでいい。

 消えても困らないように、今から色々な品を買い込むのもその為だ。

 安易な金稼ぎがやれなくなっても、困らないように溜め込んでおく訳だ。

 さて、入試だけどマークシートは色のままに書くとして、記述はつらつらと書くだけだ。

 理解も何も全て記憶の裡にある訳で、それを見ながら書くようなものだ。

 つまり、頭の中に参考書があるようなものなので、これも厳密に言えばカンニングみたいなものだ。


 人間の理解が及ばないかも知れないが、これが魔族の記憶術って思う事にしている。


 実際、こんな感じでやってたみたいだし。

 確かにオレは顕著だったけど、大なり小なり似たような感じになっていたはずだ。

 もうあんまり覚えてないけどな。

 大体、魔法の構築式とか魔法陣とか、それを見て立体化して頭の中で合成して分解してってやるんだから、どうしても感覚的になるのも仕方が無い。

 魔法はイメージなんだから、そういう風になっちまうんだよな。

 そして確定した構築式を意識して、新たな魔法として記憶に留め、発動の為のキーワードの発声で、無意識的に構築式を稼動させる。


 これが魔法の発動ってものだし。


 そうしないといちいち全ての構築式を読み上げる事になり、意識発動とか絶対にやれなくなる。

 緊急時の無詠唱とか、やりたいならこの記憶術でやらないと無理だからな。

 だからミツヤ、後々魔法の時には苦労するかも知れないけど、勉強をしたという経験は邪魔にはならないはずさ。


 だから頑張れよ。


 よし、これでこの日に売りと。

 おっとこれこれ、これをやろうと思ってたんだ。

 もうやらない約束だけど、売らなければ良いだけだろ。

 うん、売らずに数年、寝かせておこう。

 かなーり安い株だけど、上昇気配で上がったり下がったりで後々下がる株。

 そして将来的に無くなりそうな株だけど、大量購入で残るかも知れない。

 まあ、消えても別に構わんから、やれるだけやってみるか。


 140円でTOB掛けてやれ。


 それと言うのも2回目の仕手の中抜き、とんでもない事になったんだ。

 色々やって8300億かき集めての、暴落1ヶ月前の抜きだけど、推定435倍になるところを300倍で抜いたんだ。


 つまり、249兆な。


 140円での大量購入なのでその限度も凄まじく、2兆株とかもう限度無しで良いぐらいだ。

 よし、後はその報告のメールを……TOB140円……資金249兆円……数年寝かせる……これで、後はよろしく。

 電気屋さんの株だから、ここの製品を買えば安いかな。

 大量に買ってやれば業績も上がるかも知れないし、よしよし、専門的に購入するぞ。

 後は3年寝かせて40倍になるこれ、これもやっておくか。

 そうだな、まぁ、10兆ぐらいでいいか。


 その頃、某社が131円でTOBを掛けて、大騒ぎになっていたのは全く知らなかったオレだった。


      ☆


 私立の入試も終わり、ミツヤは全力を出し切ったらしい。

 直前の飴の大量摂取が良かったらしく、また新たに詰めてやった。

 どうにも食えば食う程に勉強がはかどると言われるが、そのうち偽の価格を提示しようかと思っている。

 確かにいくらでもある魔石だが、そうそうバカ食いされては困る。

 あれはあくまでも非常食としての位置取りなので、今は単に緊急避難として渡しているだけだ。

 まあ、食うなら後々、モンスターを狩って魔石を集めて返却してもらうだけだ、クククッ。


 その時になって慌てても知らねぇよ。


 まあその時にはたっぷりと働いてもらうから、今は好きなだけ食ってろよ。

 ビー玉クラスの魔石だけど、それってオークの魔石だからさ、ゴブリンなら3倍必要だぞ。

 あの豚の品種改良みたいなモンスターも、あの町の地下では元の木阿弥になってたが、魔石回収業者をやってたから、それも含めて増えたんだよな。

 金さえ出せばいくらでも売ってくれたし。

 もっとも、魔物肉との交換で快くだったから、それは助かったけど。

 あいつらは魔石大量よりも魔物肉大量のほうがありがたいみたいで、食えないと思い込んでいる魔石より、食って美味いほうの魔物肉のほうが良かったみたいだな。


 まあ、人間だしな。



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