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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 冬休み
50/119

50 新年

 


 新年2日、オレとミツヤは今、オレの家でのんびりしている。

 それと言うのも家での正月は辛気臭いと、ミツヤが嫌がったからだ。

 どうやら上の兄達から色々言われるようで、そういうのが毎年だったらしい。

 本当は中卒で仕事をしろと言われていたらしく、だから成績が良くても進学の支援は期待出来なかったとか。

 まあ、どうにも資金ショートのようだし、資金対策に投入されるのがオチだったろうから、オレの金で止まったってとこだろう。

 もしかしたら、あの仕手に絡んでいたのかも知れんが、そんなのは知るかよ。

 だからまた困る事になるかも知れんが、いくらでも金を出して恩は着せてやる。


 だから手は出すなよ。


 それでも出すなら諦めてくれ。

 オレも嫌いじゃないばかりか、好きな方向に……はぁぁ、はいはい、好物ですとも。

 全く、とんだ人格破綻と認めるが、仕方が無いだろ、もうかれこれ長いんだし。

 これもフタの予定だけど、思い返すと年寄り気分になるから嫌なんだ。


 ああ、忘れた忘れた。


「盗んだカードで金を出すぅぅ……行き先は遊園地ぃぃ」

「なんちゅう替え歌や」

「くっくっくっ」

「行き先は監獄やろ」

「いやな、前に誰かが歌ってたんだ」

「もしかして、最後には銃が欲しいって歌か」

「お前も聞いたんだな」

「銃が欲しいかそらやるぞ、みんなで楽しく撃ちに来い」

「ハトかよ」

「トカレフならたくさん」

「嘘だろ」

「そこらの事務所にあるだろうな」

「びっくりしたぜ」


倉庫マジックボックス】の中だけどな。

 まあ、出す必要もあるまいし、そのうち潰して金属にして何かに活用すればいい。

 ここでも出る前に回収作戦、やるかも知れないが、クククッ。

 在庫を思わせて今、大皿に串肉を載せて……まあ、4本あれば余裕かな。


「ほれ、差し入れだ」

「うおお、やっぱりでけぇ肉だぜ」

「オークションで落札してな」

「色々やってんだな」

「うん、美味い」

「やっぱりこれ、マジ美味いぜ」


 後28ページとは到底言えんな。

 数百年の集大成とかさぁ、さすがにやり過ぎたな。

 これを食い尽くす事がライフワークになりそうだぜ、クククッ。


「何か飲み物はねぇか」

「お、ちょっと待ってろ。果物ジュースがあったから」

「頼むな」


 良いのかな、異世界の果物のジュースだけど。

 まあ、別に構わんか。

 あの獣人の町で売ってたのを大量に仕入れた品だ。

 と言っても5枠ぐらいしかないが。

 後は何故か、アンコまぶした団子があるんだよな。

 大方、あの世界に行った日本人が開発したんだろう。

 そいつは3枠しかないが、この世界ならたくさん買えるか。

 そうだな、どうせだから稼いだ金で大量に仕入れるか。

 その為には串肉をどうにかせんといかんが、まあ何とかするか。


「おっ、なんか、これ、何のジュースだよ」

「スイカだ」

「いや、確かにスイカみたいだけどよ、妙にあっさりとしているのに甘みがあってよ」


 あれは何て果物だったかな。

 ミカンみたいな形でスイカの味って言ってて……

 ええと、えっ、うーん、いかん、思い出せん。


「スイカンだ」

「なんだそれ」

「いやな、形はミカンで味はスイカって聞いたんだ」

「そんなバイテクやってんのかよ」

「日本人は色々な物を作るのが得意だからな」

「ありそうで怖いぜ」


 ああ、マイタンだ、そうだそうだ。

 スイカンで思い出したな。

 そういや、あれも買ったよな。

 まあそのうち出しても良いが、何枠あったかな。

 あんまし無いんだよな。

 なんせ、もう串肉オンリーの生活だったから。

 参ったなぁ……本当に。


「それはそうと、初詣どうする? 」

「静岡で行ったからもういい」

「ああ、そうだったな」

「地元の神社はちょっと行きたくないぜ」

「親戚連中に出会うのか」

「神主も居るからな、会えば色々言われるのさ」

「本当に色々と大変だな。となると、外のほうが良いのか」

「理想はな、けど、あの高校なら新設だし、そんなしがらみも無いしよ」

「県立だから分からんぜ」

「あれ、私立だろ」

「あれ? 近所のあの高校だろ? 」

「お前、もしかして、芸能科のあるほうの事を言ってんのか」

「あれ、だから校風が自由だからかと思ってた」

「あっちはヤバいんだって。確かに県立だけど、うちの関連が教師に何人か居るんだ」

「じゃあ近くと言っても少し離れてるな」

「だからだよ。この県は県だけど、外れのほうだから目指してたんだ」

「あんな進学校かよ。だったら偏差値80は要るだろ」

「だから言ってんのに」

「70の県立かと思ってた」

「あそこの理想は83だ」

「マジかよ」

「無理かもな。オレでもちょいときついと思っててよ。なのに……さすがに45はなぁ」


「ううむ、実はな、家での自己採点、偏差値77なんだよな」

「お前、どんだけ手を抜いてたんだよ」

「いや、だって、成績上げたら苛め再開になると思ってよ」

「しかしそれなら、少しやればいけるかも。希望が出て来たぜ」

「困ったら勘で勝負だ」

「それは万が一の保険にしとこうぜ」

「万能スキルだと思ってたのに」

「頼って外れるとヤバいだろ」

「期末3位の実績が」

「あれ、どこまで本気だよ」

「全身全霊」

「それで偏差値77は嘘だろ」

「自己採点だからな、はっきりとは分からん。確かに大学入試ではそうだったんだ」

「お前……オレ達が受けるのは高校入試だろうが」

「あ……それでかぁ」

「お前、オレより賢くないか」

「それで妙に難しいと思ったんだ。あんなの授業でやってないのにどうしてかなって、そうかぁ、大学入試の問題だったのか」

「図書館のヌシをやってるうちに、訳が分からなくなったんだな」

「そうかも、オレ、授業とか全く聞いて無いし」

「今度、一緒に模試受けるぞ」

「目指せトップ」

「ありそうで怖いぜ」



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