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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 冬休み
49/119

49 両親

 


 飴を食い始めてからミツヤの調子が良くなり、どうやら切らしていた関係での大食いだったのだと知った。

 自覚させるのは簡単だけど、人間の感性で耐えられる話じゃないだけに、知らないままのほうが幸せかも知れん。

 ただな、ミツヤの親とは対決せねばなるまい。

 知らないままに過ごさせるなど、許される事じゃ無いからだ。

 自覚してそれを望んで飲むという意思、これの無いままにってな、ちょっと琴線に触れると言うかな。


 仮初にも親ならそんな、人形扱いはさすがによ。


 そんな訳で新年のリフレッシュは終了し、旅館の人達の恐縮っぽい雰囲気の中、オレ達は地元に帰る事になる。

 うちの親達はまだ七尾の旅館らしく、すっかり新婚に戻った気分になっているらしい。

 もしかしたら下が出来るかも知れんが、それならそれで構わんよ。

 ちょっと年がいってるが、【治療セラピー】だろうと【回復リカバー】だろうと【復活リバイブ】だろうと任せとけ。

 オレは攻撃魔法は少ないけど、その手の魔法には事欠かかん。

 まあ、生活魔法や精神系、それに色々な魔法の開発や合成なんかが得意だけどな。


 あんまり自慢にはならない話だけど。


「それはなんだね」

「親子の縁切りの書類や。そいつにサインしたらこれ渡すでな」

「いきなりだね。それでそれはなんだい」

「ほんの5億や」

「んな、なんだと」

「それで縁が切れるんや。どや、満足やろ」

「どうやって作った、そんな金」

「関係あるか? ええ、堕とされし者さんよ」

「ぐ……やっぱりお前、超越者か。何のつもりだ」

「管理殺しって二つ名、忘れてるぞ」

「なん、だと」

「今、上に誰も居ないだろ。オレが食った」

「そ……そんな」

「おら、サインして金を受け取って、あいつと切れろ」

「は、はい」


「何のつもりか知らんが、下を染めて楽しいか? 」

「いえ、そんなつもりでは。あれは事故で」

「すっかり吸血鬼の素質にして、事故で済ますつもりか」

「俯瞰さんは仕方がないと仰られて、そのまま継続にしてたんですが」

「淡い記憶にするから、手を出すなよ」

「分かりました。後は宜しくお願いします」

「仮初でも親子か」

「情はありますよ」

「そうか、まあいい。それならそれでな。とにかく、高校はオレと一緒に暮らす事になるから、中卒で家から抜け」

「分かりました」

「役割はあえて聞かんが、やっぱりグレムリンとかレミングとかシルフの関連なんだろうな」

「まあそうですね」

「精々、絡まないように伝えておけ。絡んだら処分する」

「分かりました」


「あいつは東なら構わんと言ったんだ。だから多少は諦めろよ」

「それなら仕方が無いですね」

「シナリオ上で困ったらカンパしてやるから、どうしてもきついなら言え」

「助かります。なかなか稼ぎも思うようにならず」

「5億で足りるか」

「何とかですかね」

「追加でもう少し渡しておく。だからくれぐれも手を出させるなよ」

「助かります」


 そんな訳でミカン箱を10個置き、手切れ金という名目で……やれやれ、事故かよ。

 どんな事故かは知らんが、あれは元にはなかなか戻れない体質だ。

 そう言う事なら連れて出るしかあるまいな。

 残しても役柄に押し込められるか、やり直しにさせられるだけだろう。

 そんな人形扱いにされるぐらいなら、これから先もオレの相棒として、世界巡りも楽しいかも知れん。

 学生体験が終わったら、2人で剣と魔法の世界にでも行ってみるか。

 オレも魔法の研鑽をもっとやりたくなっているし、あいつにも経験させてやりたいし。


 ただな、あんまり変な管理は止めておいてくれよ。

 そりゃ食うのは良いが、後のあのクレームの人。

 ありゃ物凄い感じを受けたぞ。

 とぼけて対応したけど、勝てる気は全くしなかった。

 あっちがその気になったら多分、オレは一瞬で消されるだろう。


 そんな感じがしたな。


 特権みたいなのを借りているからこそ、こういう体験もやれるんだな。

 誰が貸してくれたかは知らんが、有効に活用させてもらうぞ。


(あっさり50億とはまた……しかしありがたい。これで何とかなる……全く、シナリオは良いが、資金は自前で何とかしろと言われても困るんだよな。だから色々と手を回して……なのにそれも巧く行かなくなるし……けどこれで継続も可能だな……ミツヤか……後々、資金稼ぎの関連に投入しようかとも思ったが、50億なら問題無い。だからな、もう関係無いから平穏に暮らすんだぞ。こちらの関連は到底、平穏って訳にはいかんのだから……そしてな、可能ならずっと一緒に連れて行ってもらえ。そうすればそのうち、登れるかも知れん。そうなれば未来は明るいからな……自分達は罪を犯してこうなっているが、お前は真似するんじゃないぞ、いいな)



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