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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 冬休み
47/119

47 疑惑

改〉タイトルミス修正

 


 中に入るとミツヤの声が聞こえてくる。

 やはり何かのトラブルのようだけど……ああ、金の話か。


「だから何度も言ってるだろ、あれは友達からもらったんだ」

「そないな都合の良い嘘、誰が信じると思てんねん。さ、言い、どっから持って来たんや」

「ワイが渡した金の何が不都合なんや。ええ、あんさん」

「コージ」

「なんならうちの顧問弁護士と話付けるか? 今から連絡してもええけど、濡れ衣やったら後の公判、期待して待っててや。東京やさかいな、列車代は自前やで」

「そんな事を言えば止まると思うたか、甘いわ。大阪モンを舐めたらしまいや。さあ、何処へなりとも電話してみんかい」


 やれやれ、身の破滅を自ら招くか、ならそうすりゃいい。


【もしもし、斉藤さん? ああ、どうも。あのですね、今、大阪なんだけど、丸橋電化店って店の店員とのトラブルで、濡れ衣の窃盗容疑。ああ、うん、可能ならやるよ。金はどうせ余ってるし。うん、え? 話? まあいいけど、訓戒するより裁判にしたほうが、そっちの収入が多くなるんじゃない? 優しいねぇ。うん、あい、分かった。んじゃそれで】


「あんな、ここに電話しぃ」

「な、なんやて」

「ほらこの名刺、斉藤弁護士てなってるやろ。ここに電話したらうちの顧問が出るさかい。しっかり訓戒してくれるっちゅう話や。けどそれで納得せぇへんのやったら裁判にするでの、とにかく電話や」

「まさか、そんな」

「はよしぃ」

「あ、ああ」


【あの、丸橋の、えええ、あ、は、はい、す、済みません、いや、あのですね、若く見えて、その、大金なので、はい、はい、済みません】


 やれやれ、これで解決やな。

 顧問弁護士って色々と便利やな。

 税金の処理のつもりだったけど、この年齢だから何かと役に立ってくれるな。

 こりゃ契約料の値上げも考えに入れとこうかな。

 けどなぁ、100億で生涯保障って言われたからなぁ、もう要らんと言われそうで……参ったな。


「さっきは済みませんでしたぁ」

「納得したな」

「はい、はい」

「ほな、ミツヤの買物、あんじょう頼んまっせ」

「はい、サービスさせていただきます」

「良かったな、ミツヤ」

「顧問弁護士ってな、便利だよな」

「そうやろ、ワイも今、それを実感してるとこや。税金対策のつもりで契約したけど、これからも色々と頼む事になりそうでな」

「そのうちオレがそうならねぇといけねぇんだよな」

「頼むで、相棒」

「はぁぁ、そんなにやれるかなぁ」

「ほれほれ、買物やろ。ついでに電話の新調もどうや。スマホたら言うの欲しがってなかったか」

「アレも良いのかよ」

「100万で足りんか? 」

「そのつもりかよ、おっしゃ」

「車で待ってるさかいな」

「おっし、すぐ行くからな」

「配送してもらえよ」

「あのな、それな、コージの家で良いか」

「親に言われるんか」

「旅行の事もやけどな、実は初日の出を見るってな、貧乏旅行って言ってあるんだ。だから土産も本当は拙いんだけどな」

「分かった。うちに送りィ」

「悪いな、うちの親、頭が固くてよ」

「心配無い」


 そうかそうか、そう言う事なら勝負やな。

 どのみち上の関連やろうから、その辺りを突いてやれば問題無いやろ。

 どないもこないもあかん言うたら、【枯渇ダメージインパクト】して【吸収バキューム】して【暗示インプリント】でしまいや。

 管理殺しの超越者っちゅうて脅したろ、クククッ。


 はぁぁ、いかんいかん。


 下の体験中は上の事を忘れるつもりが……スキルを使う関係があるからつい、意識が上になっちまうんだな。

 それを気を付けんとな。

 あんまり上の力で下を突く訳にはいかん。

 だからそういうのは今は忘れて……はぁぁ、ビギナーは色々と浅いねぇ。


 もっと修練やな。


 何か知らんが、殆ど卸価格にしてくれたらしく、ホクホクのミツヤ。

 しかもあれ、店長らしくて、オーナーに大目玉になるから内緒にしてくれと頼まれたらしい。

 その口止め料も込みのサービスらしく、そう言う事ならもうその話は終わりになりそうだ。

 運ちゃんもトラブル即解決の顧問弁護士の話に食い付き、事業所で話題にして相談するらしい。

 ドライバー全員で分担金にすれば可能そうで、後々のトラブルの保険って話で、オレ達の事をそれとなく話すとか。

 まあ、身元が分かるような話にはしないと確約してくれるので、体験談としてなら問題あるまい。

 ボートの稼ぎの話は事業所経由なので、初回の契約金を被る事になりそうやけど、それでいけたら安心やと。


「色々世話になったなぁ、またこっち来たら頼むでな」

「それはこちらの台詞や。あれはほんまに助かったでの」

「土産もたっぷりや。さあ、帰るで、ミツヤ」

「浜松、忘れてねぇか」

「ああ、ウナギやったな」

「はっはっはっ、楽しそうでなによりや。ほなまたな、気ィ付けて帰りィ」

「ありがとね、山根さん」

「おっちゃん、ありがとよ」

「おうっ、またな」



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