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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 冬休み
46/119

46 容疑

 


 翌日は元気一杯のミツヤなのだが、やはり発散がよく効いたらしい。

 それに……あれで恐らく、アレなんだろうし、クククッ。


「よっ、捨てたな」

「あはは、お互い、やったな」

「ミツヤはそれが狙いやったんやろ」

「まあな、もしかしたらと思ったんだけど、やれて良かったぜ」

「これで高校デビューもやれるやろ」

「くっくっくっ、オレ達はもう違うからよ」

「そこいらの未体験野郎と一緒にすんなってか」

「くっくっくっ」


 やはりそうか。


 道理で食道楽な割りに、あっさりと夜の街に向かったはずだ。

 狙いはそれか……まあ、地元じゃ何かと煩いからなぁ。

 さて、朝飯の後は市内観光だけど、昨日の運ちゃんの案内で電気街でも行くか。


「お前、PCで欲しいの何かあるか? 」

「どんだけあるんだよ」

「もうこの際、好きなだけ言え。年末年始、大サービスや」

「ならな、凄いのがあるぜ」

「そいつは100万か? それとも500万か? 」

「マジかよ、そんなにするかよ、38万5800円だ」

「えらい細かい数字やねんな」

「色々と付けた合計金額だけどな、サイトを見るたびにああやって色々やっててよ」

「それを買うんだ、金は出す」

「本気で良いんだな」

「後の専属弁護士、その契約料や」

「うへぇ、マジかぁ」

「頼むで、契約違反は無しやで」

「高校デビュー、どないするんやぁ」

「それはそれ、これはこれや」

「マジかぁぁ」

「くっくっくっ」


 オレのも新調しようかな。


 メモリは一応拡張したし、HDDは2つだろ。

 グラボも最新のにしてあったし、まあ、全部ミツヤの入れ知恵だけど。

 オレはどうせ株式投機に使うぐらいだから、どんなのでも関係無いが、こいつが色々言うからそれを真に受けて買ったんだよな。

 オレのあのマシン、まともに活用出来てない気が……ううむ。


 店は10時開店という事で、運ちゃんの案内で市内観光が先になった。

 車窓越しの観光だけど、あちこちに連れてってくれて、あれやこれやと説明を聞く。

 オレもミツヤもそれを聞き、改めて運ちゃんの知識と言うか、地元への愛着を知らされる。

 景気はやはり下降線のようで、どうにも米国の銀行の倒産が原因とか……それで父さんの会社が……そうなのかよ。


 経営方針だけじゃなかったんだなぁと、改めて思わされた。


 そんな中の仕手か、そりゃ大騒ぎにもなるわな。

 起死回生の一手の中抜きかぁ、悪い事をしたな、クククッ。

 しかも、それの補填のような次の仕手。

 それも中抜きの予定だけど、頼むからもう何も言って来るなよ。

 オレはただのゲームのつもりでやってるんだし……まあ、投資ぐらいならしてやっても良いが、変なちょっかいは困るぞ。


 市内観光は順調に進み、いよいよミツヤの気持ちが盛り上がってくる。

 時間になるとミツヤは運ちゃんに、店への移動を促してくる。

 そうして丸橋電化店とかいう店の前にタクシーを止める。

 ミツヤに100万手渡して、好きなのを買って来いと送り出す。

 オレ達はここで待機とばかりに、運ちゃんのウンチクを聞く事になる。


 始まるのはひいきの野球チームの優勝の頃の大騒ぎの思い出から。

 最近の低迷を嘆きながらも、2匹目のドジョウを待ち焦がれている様子。

 どうにもリーグのほうでは勝てても、全国ではダメなようで、色々と奥が深いんだなと思わされる。

 オレはそういうのに疎いので、神妙にただ聞いているだけだが。


「それにしてもや、ええお年玉貰うたでの」

「それで足、洗えるやろ」

「はは、おう、スッパリ洗うで」

「まあそのうち、サイトやるでの、会員になりゃええ」

「あんなんやるんかいな、騒ぎになるで」

「オレは好き勝手に予想して遊ぶだけ。それを真に受けるのは勝手だけど、偽も混ぜるから心配無い」

「ほうか、混ぜるんやったら問題無いやろ。あんまし当たるばっかりやったら、色々と煩いよってにな」

「特別会員にしたるさかい、後のお楽しみにしたらええ」

「あんまりはええで、身ィ越える金は不幸の元や。まあ、お陰で当分の間は楽になったさかいな」

「名刺あったらくれへん? 」

「おお、そやったな……ほい、これや」

「まあ、困ったら活用すりゃええ」

「おう、そうさせて貰うでな」

「これで名刺は3枚目やな」

「他は誰がおるねん」

「テキヤが2枚や」


「おいおい、そりゃまた……待てよ、テキヤってな、もしかして、けんちゃんかいの」

「トラ頭をけんちゃん呼ばわりとは、度胸やな」

「やっぱりそうかいな。いやの、ワイの親戚やねんけどな」

「どないな親戚や」

「うちの女房の旧姓が大石や」

「あらまぁ」

「はっはっはっ、驚いたか」

「それって逆玉じゃねぇのかよ」

「ははっ、そうかもなぁ」

「神戸の観光もタクシーや」

「そら奇遇やな。いやの、ワイの事を知ってやな、気に入って二種受けた言うての」

「トップの気まぐれと思っていたら違っていたと」

「なんや、すっかり本職みたいになったっちゅうてな、噂は聞いてるでの」

「そのまま堅気でええのにね」

「ホンマやね」

「そういや、あいつ、遅いな」

「そういやそうやな」

「ちょっと見て来るわ」

「トラブルやったら呼びぃ」

「そん時は頼むな」



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