45 深夜
改)スキル名修正
ミツヤはすっかり熟睡の中、情報の中の精神体の皮。
【皮膜】として確立した。
ああ、これで楽になったな。
今までは飛散しないように、意識的に抑え付ける感じにやってたが、これで気を抜いても飛散しないな。
誰にも見えないが、オレはここで存在を保持している。
つまりこれ、殺り放題なんだよな。
そうだな、これからはこれで殺れば問題無さそうだ。
それは良いのだが、どうにも似たような奴を発見した。
ええと、あの会話、どうやったっけな……確か、ええと。
《なぁ、オレに何か用か……波通信までこなすのか。それで、何の用だ……それはこちらの台詞だ。今日、ずっとつきまとってたろ……あれに気付いたのか。はぁぁ、仕方が無いな。あのな、管理はオレが止めて止まらんかったから仕方が無いが、あんまり派手な事はせんでくれるか……こちらから介入する気はない。絡まれたから対処しただけだ……ならさっきのあれは何だ。あんな波して……来る奴、来る奴、目を逸らしたのは何かやってたんだな……事件は止めてくれ。地元なら構わんが、ここは舞台だからな……東なら良いんだな……程度はあるが、今までぐらいなら何とかな……分かった、大阪ではもう何もせん。やから絡んで来るなよ……ああ、それは止めよう。だから頼むぞ……シルフたら言う奴ら、絶対止めろよ……ああ、分かっている……ほなな》
はうっ、何とか通信がやれたな。
成程な、雰囲気の事を波と言うのか。
どうにも、もらった知識を活用しながらの試行錯誤だけど、少しずつやれているみたいだな。
付きまといのカマも合ってたし……そんなん気付くかいや。
あっちは相当の熟練みたいだし、カマでも何でも活用して、背伸びしてそれっぽく見せないと、実力知られたらヤバいぜ。
内心ドキドキだけど、何とか渡り合えたみたいだし、ひとまずは成功と言っても良いかな。
成程な、西は拙いから東で過ごせと、そう言うんだな。
あーあ、それなら京都料理は当分、お預けになりそうだなぁ……行きつけの料亭で我慢するかぁ、仕方が無いな。
おや、こいつに【偽装】
よしよしよーし。
これで人の目にも見える、精神体の皮の完成だ。
よしこれで買物がやれるな。
【倉庫】から直接の出し入れで、後は【暗示】で何とでもなるだろ。
さてさて、買物はお土産だけど、折角だから生八橋を大量に買っておこうか。
あれって抹茶によく合うんだよな。
けど、そこまで凝るなら茶せんや茶碗も欲しいところだよな。
今度、色々揃えてみるか。
何時までも【混液】に頼る訳にもいかん。
特に人に見られたら、手品とか超能力とか色々言われそうだしな。
生活魔法すらうっかり使えない世界だけど、あると便利な生活魔法ってか。
あれの確立も今、役に立ってるし、何でも研鑽は後の便利な暮らしになるんだな。
今度また、あんな世界に行く事があれば、何でも色々修練しまくってやろうな。
そうしてこういう世界で便利に過ごす……うん、良いかも。
おっと、ここかな。
あるある、たくさんあるな、よしよし。
「おっちゃん、これ、全部や」
「おいおい、金あるんやろな」
「何万でも何十万でも任しとかんかい」
「ほお、そりゃ頼もしいな。ならな、まだ倉庫にあるさかい、それも買うか? 」
「ああ、なんぼでもええで。1億でも10億でも任しとかんかい」
「ほんまかいな」
「ほれほれ」
「あわわ、とんでもねぇな」
「ほれほれ、とっとと持って来ィ」
「あ、ああ、分かった……ちょいと待っときぃ」
何とか会話もやれるな。
声帯もどきと言うのか、発声関連だけを皮の中に【構築】する感じと言うのか。
中は他には何も無いけど、人間にはそんなの分かるはずもないか。
あれ、皮が破れたな。
ああ、意味が無いから、ナイフで刺しても。
オレが平気な顔はしているわ、血は出ないわで呆然としているけど、邪魔だから何とかしてくれ、さっきの人。
えっと波の場所に【転送】さよーならー……
やれやれ、そこらには【暗示】でセーフ。
これで落ち着いて買物が出来るな。
おっと【皮膜】を修繕して【偽装】も治しとかないと。
もう、余計な事をするなよな、全く。
「850箱あったが、全部買うんかいな」
「うえっ、なんでそんなにあるねん」
「はははっ、魂消たかぁ。実はな、新年に団体さんが来るねんな」
「タヌキの皮はええが、その皮、全部貰うてもええのんかいな」
「ホンマに買うんやな。よっしゃ、全部売ったる」
「1箱2000円やったな」
「そや、全部で170万やぁ」
「消費税忘れてるで」
「そんなんサービスに決まってるやろ。気にせんとき」
「なんや悪いな」
「殆ど卸から右から左や、やからワイは損してへんさかいな」
「ほな倉庫に行こか」
「ほいきたこっちや」
もう【暗示】で不思議に思わないようになっているから、【倉庫】に入れても問題無いと。
やっぱりあるものは使わないと、色々と騒ぎになるのがよく分かったぜ。
だからもうこれからはガンガン使うしかあるまい。
そうしないと人は他人の事が、凄ーく気になる生き物なんだしな。
人は人ってやってくれたら良いんだが、それがやれない以上、こっちで対策するしかないってか。
かくして170万消費して、生八橋850箱は【倉庫】の中に入りましたっと。
ううむ、折角の枠なんだし、もっと欲しいな。
剣と魔法の世界には無いお菓子だからなぁ、この先行く事があってもたくさんあれば……そうだなぁ。
もう京都には行かない約束になっているが、どのみち明日の昼過ぎまでは観光のつもりだ。
何とかもっと大量に……まあ、旅行が終わってからでも良いか。
どのみち【転移】で来て【暗示】で買えば良いだけだし。
後の調整さえちゃんとやっとけば、あいつも煩くは言わないだろう。
やりっ放しだから色々言うんだろうし、誤魔化しがやれるなら問題あるまい。
決まりやな。
それにしても、こんな夜中まで店を開けておくなんて、世の中不景気なのかねぇ。
タヌキの皮でも少しは貢献になったのなら良いが。
気分の良いおっちゃんやし、店、長く続けられたらええね。
よっしゃ、この際、他の土産もありったけ買うたるわい。
在庫みーんな買うたるさかい、寝正月といきなはれや。
買うた買うた、ありったけ買うた。
寝正月推薦したら、すっかりその気や。
うちの親みたいにリフレッシュせんと、長く店やれへんかも知れんでの。
そや、親父と言えば親父の店、少し梃入れしたろかいな。
とは言うものの、ファンシーショップってな、よく分からんぞ。
女だけじゃないのは後から分かったが、男は客にならないだろ、あんなの。
どうにもパステルカラー系の商品とか、男が買うのかよ。
まあええ、今はまだ旅の途中やし、終わってから考えるか。




