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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 冬休み
32/119

32 温泉

  


「これだけでメシの代わりになるな」

「おう、オレもう弁当要らねぇぜ」

「オレもこれでいいや」

「それ、何処で売ってたのかね、やけに美味しそうだが」

「駅前の屋台」

「ううむ、それは残念だね」

「高かったから止めようかと思ったけど、匂いに負けた」

「やはり1000円ぐらいかね」

「その倍」

「ううむ……だが、しかし、それだけの大きさの肉が5つか。まあ、屋台なら妥当か」

「そのうち群馬名物になるかも」

「ははは、なるといいね。うん、情報ありがとう」

「どう致しまして」


 本当なら補導対策で裏の奴らの格好にしようかと思ったけど、【暗示(インプリント)】があるならそんなの不要。

 職質は逸らしてやれば良いだけだ。

 連行すら近隣の奴らに流してやれば、関係無い奴を連れて行く。

 その後でそいつがどうなるかなんて、知った事では無いさ。

 誤認逮捕で免職になろうと、オレには全く関係無いさ。

 もっとも、そういう事態にするつもりはない。

 もう、食料は自前でやれるんだから。

 さて、今夜にでもまた少し飲んでおくか。

 どうにもあれが無いとな。

 まあいい、今はこの飴で……うん、美味い。


「お、アレ食ってんのか。よし、オレも……うん、うめぇ」


 知らずに食うが美味いか。


 つまり、こいつも血を美味く感じるんだな。

 同類となると、最悪、堕とされた罪人なのか。

 はぁぁ、そんな舞台裏、知りたくないな。

 だから飲まなくて良いようにそいつをやるからな。

 オレの体験が終わるまで、そいつで凌げばいいさ。

 今はこの世界の中で遊んでいるから……これはフタだな。


 しっかし退屈だよな、列車の移動ってな。


 それでも何とか到着し、タクシーでまずはホテルに移動。

 ガキ2人に少し黄色いオーラだが、代理店差し回しのチケットでクリア。

 こういう時にはやはり、代理店の名前が効くな。


「市内観光も良いけどよ、風呂入ろうぜ、ミツヤ」

「まだ時間あるだろ、街行こうぜ」

「温泉浸かってのんびりしてよ、明日から観光で良いだろ」

「まあなぁ、寒いからそのほうが良いか」

「寒がりミツヤが外に出るとか、また珍しいぜ」

「いやな、最近、調子が良くてな」

「そりゃ良かったな」

「今も妙に身体がポカポカするんだぜ」

「もっと飴食え」

「あれってそんな効果なのかよ」

「おうっ、滋養強壮効果のある飴だぜ」

「おし、食っとこう」


 ジャムの空き瓶に詰めて渡したから、当分あるだろ。

 無くなったら言え、いくらでもやるからよ。

 言いたくないなら言わなくて良い。

 そんなの普通の奴には到底、話せる内容じゃねぇしな。

 秘密を抱えて生きるのも大変だろうけど、話したくないなら詮索はしない。

 そこまで深く関わると、後々……ああ、これもフタだ。


「タビユケバァァァ」

「うわぁぁ、お前、歌うなぁぁ」

「ううむ、そんなに外れてるかな」

「近所迷惑だぜ」

「参ったなぁ」


「ダイコンおろしをゴリゴリと、たっぷり作りたいんだけど。今はダイコン安くない。だーからあんまりつくーれない。たけぇたけぇダイコンたけぇ、かーしてやーる」

「あれっ、これって」

「ダイコン高ぇ、の歌だ」

「ダイコン代貸すの歌だろ」

「なんだ、知ってたのかよ」

「観るのは嫌いじゃないよ」

「まあなぁ、けど、年末だからもうオフだからよ、それがちょいと残念だよな」

「また、シーズンの時に来れば良いじゃない」

「また良いのかよ」

「余裕だぜ」

「そりゃ楽しみだな」


「いい湯だなん」

「ああ、気持ち良いな」


 のんびり浸かると気持ちが良い。

 身体がじんわりして、ふわ~とした気分になり……

 頭がボーっとして……少しのぼせたか。


「はぁぁ、ふわふわするぅ」

「のぼせたのかよ」

「かもなぁ、はぁぁぁ」

「部屋に戻ろうぜ」

「あ、仲居さん」

「はい、何でしょう」

「キキョウの間なんだけど、ソフトジュースでお願い」

「ああ、未成年ね、分かったわ」

「いくら旅でも違反は違反」

「感心な子ね、はいはい」

「おい、ちょっとぐらい良いだろ」

「こいつにお猪口1杯分」

「あはは」

「そんだけかよ」

「今はもう元服とか無いしさ、時代の流れだよ」

「まあそうよねぇ、昔ならもう成人なのね」

「ああ、働いているしな。3月には確定申告の身だ」

「あら、そうなの? 」

「高校は自分の金で行く」

「凄いわね」

「そういう訳で、この旅は慰安旅行みたいなものさ」

「そうだったのねぇ」

「てな訳で、伝言お願い」

「うんうん、伝えとくからね」


 黄色には対策で青くなるってか。



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