28 期末
さあ、テストが終われば冬休みか。
もうミツヤは気持ちは旅行に飛んでいるかな、クククッ。
「おい、お前、ちょっと職員室に来い」
「ほえっ? 何かあんの? 」
一体なんだろう。
教師の後ろからトコトコ付いて行く。
そのまま職員室に「失礼します」
「お前、どうしてもここを受けるのか」
「そのつもりですけど」
「自信はあるのか」
「いや、近いから」
「素直に諦めろ」
「うーん、家では勉強もしているんですけどね」
「ならな、期末でそれなりの点を取ってみろ」
「学年で何位ぐらいかなぁ」
「2桁だな」
「うえっ、オレ、前に285位だったけど」
「だから諦めろと言うんだ。あそこを受けるなら最低、80位ぐらいじゃないとな」
「はぁぁ、仕方が無い。本気を出します」
「お前なぁ」
「ただね、オレが本気でやると、また苛められるかも知れないんだ」
「だから目立たないようにしてたと言うのか」
「先生も大っぴらに止められないでしょ。だから自己防衛してたんですよ」
「確かに苛めの問題はあるが、もうじき卒業だろう。何とかやってみないか? 」
「分かりました。本気のオレ、見せますよ」
「期待しているぞ」
「はい」
(確かに話としては筋が通っているが、本気ねぇ……どれぐらいのものかねぇ。まあ、何とか以前より成績が良ければ目を瞑るが、あんまり冷やかしみたいな受験は学校の評判にも関わるからな)
「センセーなんだって? 」
「ミツヤ、オレはここに宣言する」
「なんだなんだ」
「お前、何かするのか」
「何だよぅ、集まって来るなよ」
「いや、何か宣言とか言ってからな」
「期末カンニング宣言だ」
「はははは、なんだそりゃ」
「目指せ、カンニングで学年1桁って宣言」
「そんなのやれるかよ」
「はーい、皆様、やれるかやれないか、賭けの始まりですよ」
「お前、胴元か。よし、なら、オレはやれないに千円な」
やれやれ、全員がやれないに賭けて来るか。
軽い【誘導】ですっかりその気ね。
後はこの調子の良い奴に被ってもらえばいい。
今は苛めてないが、かつてはよく叩いてくれたしな。
ここいらで報復の時間ですよっと、クククッ。
「やれるに1億」
「はは、マジかよ、大儲けだぜ」
おーおー、周囲がどよめいてますね。
さあ胴元君、後が楽しみだよな。
確実に払うよ、君は。
そういう【暗示】を使うから。
ほれ、こいつに拇印を押せ。
そして署名もしろ。
後は裏方に流してやるからな。
そいつは借金の証文だ。
1億を借りたって証文で、法定金利で払いますって書いてある。
ただし、1年後から返済開始の60回払いって事になっているからな。
んで、1回でも滞ったら、強制執行されても文句は言いませんってのも書いてあるんだ。
お前は県外の高校だったし、別れた後にどうなろうと関係無い。
精々、借金生活を楽しみな、クククッ。
そうして始まる期末テスト。
つらつらと書いてひっくり返して席を立つ。
そういうのを何日か繰り返し、発表の日にクラスが大騒ぎ。
しかしな、このクラスでトップの成績だぞ。
どうやってカンニングするんだよ。
誰の答案を見れば、クラストップになれると思う?
学年3位なら問題あるまい。
「お前、どんな手を使ったんだ」
「千円プリーズ」
「くそっ、そんなのありかよ」
「はいはい、皆さんよろしく」
「賭け事は違反よ、だから無効よ」
「うんそうだね。だから君は法律違反をしたんだね」
「何よ、それがどうしたのよ」
「いや、だたね、そういう言い逃れは将来の為にならないと思ってね」
「そんなのアンタに関係無いでしょ」
「まあそう思っていればいいよ」
「ふん、キモッ」
よしよし、そう言う事なら【暗示】の恐ろしさ、味わわせてやるさ。
そうだな、卒業式の後が良いか。
繁華街で裸踊りとか、面白そうだろ、クククッ。
よし、その時期になったらやるんだぞ……そうだ、どうせなら、クラスの中で冷淡な……まあ、ミツヤ以外あらかた半分か。
冷遇した奴ら総勢で裸踊りでもするか?
それっ【暗示誘導】
卒業式の後、揃って繁華街で服を脱ぎ、そのまま不純異性交遊しちまいな。
そうしたら皆、経験者だが、妊娠には気を付けろよ。




