27 暗示
「ミツ、先にいんどけ。これからはちょいとヤバいんでな」
「お前、大丈夫なのかよ」
「ガッコの姿を真実と思うなよ」
「あれじゃないだろうな。あれじゃ無理だぜ」
「ええから先に帰りぃ」
「あ、ああ」
「ちぃと待ってんか」
「おいコラ、こいつは関係あらへんやろ。それとも何か、このおっちゃんも同類やけど、おんなじように留めるんか? 」
「ああええ、帰したり」
「へいっ」
「また明日、ガッコでな」
「本当に大丈夫なんだろうな」
「心配無いて。ほれ、とっとと帰りぃ」
「あ、ああ。じゃあな」
よしよし、さっさと帰れよ。
ふむふむ、1億と2960万か、よしよし。
おもむろに懐から取り出すのは紙袋。
札束をバッサバッサと入れる。
「ごっつあんです」
「もうええやろ、こっち来ぃ」
「あいよ」
さて、ダミーの紙袋と交換してと。
移動しながら【倉庫】のゴミを詰めておく。
整理しようと思っていたゴミだけど、異世界じゃ使い道があるかも知れない品。
早い話が、雑魚系の魔物の素材の端切れやら何やら……この前見たらそんなのがやたらあってよ、うっかり捨てられないから困ってて。
ちょうど良いから処分してくれよな。
それはいいが、やはりこうなっちまったか。
広域系のバクチ場は、稼ぐには手っ取り早いが、大抵はこういう事になっちまう。
だからヤバいんだけどな。
そのまま事務所っぽいところに案内され、ドアが締まってカギも閉まるか。
「おうっ、兄ちゃん、そいつな、置いて帰りぃ。ほしたらそのまま帰らせたる」
「ここに置くね」
「えらい素直やな。おし、戸を開けたりぃ」
「へいっ」
そのままサッサとサッサとサッサと……
「待てコラァ」
【暗示誘導】……そこらのチンピラが引っ張られていく。
よしよし、クククッ。
稼いだのはそのチンピラだから、後はよろしく、クククッ。
ああ、ミツヤの先輩だったか、悪かったな、祝儀じゃなくて変な物で。
まあ、オレを誘致したのが運の尽きだ。
後は全員の記憶から飛ばしておけば問題無し。
【暗示誘導】
いきなり赤字になったろうけど、どのみちイカサマ博打だし、問題無いだろ。
次が00で親の総取りとかって言ってたけど、あれは本当なら賭けられる数字だよな。
それがやれないって事は、裏方でイカサマをやるって事なんだろうし、それならオレが予測しても似たようなものだ。
1億2千か、小遣い稼ぎにはなったな。
まあ、別に金などどうでも良いが、面白いからやっただけさ。
さてさて、後は帰って寝るだけ……あれ、ミツヤ、何してるんだ。
「あれ、帰らなかったのか」
「お前、大丈夫だっのたかよ」
「兄ちゃん、その金は置いて帰りぃ、そしたらそのまま帰したる」
「はぁぁ、やっぱりそうなるかよ」
「良い経験になったからこれで良し。さあ、帰ろうぜ」
「オレの勝ち分も結局、取りっぱぐれたしよ」
「アーケードゲームの博打と思えば意味は同じだろ。あれも換金出来ないんだし」
「まあ、そう思えばそうだけどよ」
「ラーメン食うか? 」
「そうだな」
2人してズルズルとラーメンを食い、そのまま旅行の話に【誘導】する。
後は博打の話は記憶から薄めておけば問題無し。
むかーし、そういう場所に行って、辛くも逃げ帰ったって記憶な。
そんな淡い記憶にしておけば、後々蘇っても昔話で終わる。
あっちも今頃、あのチンピラが災難に遭うだけで、金は何処に行ったやら。
ごっつあんでした。
さーて、後は冬休みを待つだけか。
どんな旅行になるのか、ちょっと楽しみだな。
あれ、この銘柄、またですかい。
やれやれ、仕手とかそんなにあるのかよ。
けどなぁ、またぞろ大金になっちまうと面倒だし、どうすっかな。
まあ、軽く……それで良いな。
口座は殆ど抜いて数億しかないし、投資スケジュールを組んでおくか。
落ちる寸前に売って、次のを買ってと、そのスケジュールを組む。
やっているうちにまた夢中になり、気付いたら大金投入の派手な介入になっていた。
そうして仕手らしき銘柄に全力投入するんだけど、推定8850億の資金って……やり過ぎたかも。
これで来年の2月下旬に売れば良いと。
しっかし、3月末で425倍ってどうなってんだよ。
こんなに連続で仕手とか、この国の経済がヤバくならないか?
そうだな、折角だからこいつに投入するか。
この株はゆっくりだけど、ひたすらひたすら登るだけっぽいし。
こういうのが優良株と言うのかな。
仕手っぽいのが終わる頃には、また派手な資金になるはずだし、そいつをそっくりこれに投入すれば、3年後には40倍ってか。
また専属さんに調整してもらわないといけなくなりそうだが、折角の専属料だしな。
ガンガン仕事して貰いましょうか、クククッ。




