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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 2学期
26/119

26 博打

 


 たっぷり燃えた後、軽く何か食べて帰ろうって話になり、繁華街を歩いていると、ミツヤの知人と出会う。

 かつて、この辺りで幅を利かせていたらしく、昔は本当に悪ガキだったのだと判明した。

 昔と言っても中1の頃らしく、彼は先輩らしい。

 今は中卒で働いているらしいけど、その職業が実に気になるところだ。

 だってまるでチンピラそのものだし、こりゃ下手するとゲソ付きか。

 黄色いオーラだから判らないけど、それはミツヤと話しているからそうなのかも知れない。


 普段が赤っぽいオーラなら間違い無い。


 オレは少し離れて会話に耳を傾ける。

 どうやら夜の遊びのお誘いのようだ。

 非合法のカジノとか、もろに広域系のお誘いだ。

 ミツヤは金が無いと断るつもりだが、貸してやるからと誘いも甚だしい。

 元手5万貸してやるから、儲けて増やして帰りには6万返したら、後の儲けは好きにしろと言う訳だ。


 カラス金より酷い金利だな。


 聞くところによると、夜借りて朝、カラスがカーと鳴いたら1割金利が付くとか。

 その倍だからとんでもない金利なのも分かるだろう。

 世には10日で1割、トイチすら裏金融と呼ばれていて、違法な金利と言われるぐらいなのに。

 どうにも断り切れなくて、仕方が無く納得させられた形になってしまったミツヤに対し、金はオレが貸すからと告げる。


「おいおい、兄ちゃん、そんなにあるのかよ」

「1人5万の掛け金か、余裕だぜ」

「ほお、そいつは頼もしいぜ。おい、ミツヤ、良いダチ持ってんじゃねぇか」

「こいつは素人なんだ、今回限りでいいよな」

「ああ、これっきりな、いいだろう」

「お前、本当に大丈夫なのか? 」

「問題無いさ」

「なら、良いけどよ」

「ほれ、こいつを持っとけ」

「財布?……うお、10万あるぜ」

「そいつが軍資金だ」

「良いんだな」

「ここに同じ財布がもう1つ」

「はぁぁ、あんまし使い過ぎんなよ」

「使わないと減らないんだ。ガンガン減らしてくれ」

「おうっ、景気の良い話だな」

「稼ぎ場に連れてってくれるらしいし、儲けたら祝儀は出してやるさ」

「そうか、期待しているぜ」


 おーおー、舐めまくっていますね。

 だけど本当に祝儀は出してやるから心配するな。

 ルーレットな、36倍で36倍で36倍か、クククッ。

 どんだけ稼げるか試してみるのも一興。

暗示インプリント】ある限り、いくら派手に稼いでも問題無いんだよ。


 スキル最高、記憶最高、戻って最高、クククッ。


 入場料1万円と言われ、オレが2万払って中に入る。

 ミツヤはひとまずと5万をチップに交換し、オレは10万をチップにする。


 真っ青な数字に1点掛け。


「おいおい、兄ちゃん、強気だな」

「金はまだあるから」

「どこぞのボンかいな。ワシゃそんな強気は無理じゃいの」

「ホイ来た」

「うおおお、とんでもないのぅ」

「36倍で360万獲得だな」

「大したもんじゃな」

「次はこいつだ」

「また1点かいの」

「よし、オレもそいつに乗るぜ」

「ふむ、ならばワシも乗ろうかいの」


 カラコロ……


「ホイ来た」

「うおおお、当たったぜ」

「ううむ、これは儲けたの」

「360万の36倍、〆て1億2960万だぜ」

「とんでもないのぅ。おぬし、天才かの」

「博打の才能ってあるもんだろ、クククッ」

「ほんにのぅ。で、次はどれじゃ」

「00だ」

「ううむ、つまり、親の総取りかの」

「オレは精算」

「僅か2回とはの」

「精算お願い」

「あ、ああ……」

「兄ちゃん、ちょいとこっちに来てくれんかの」

「精算は? 」

「それはしようが、先にちょいとな」

「ならこのチップ、この袋に入れて持っていくぞ」

「心配は要らん。ちゃんと交換してやるから」

「証文書くか? 初対面で口約束とか、どんな間抜けだよ」

「おまはん、筋者かいな」

「素人だけど? 」

「ええから来いっちゅうとるんじゃ」

「先に精算や。終わったらどこにでも行ったるわい」

「ええやろ……おい、用意せぇ」

「へいっ」


 さーて、周囲は真っ赤だな。



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